平成15年(ネ)第2237号立替金請求控訴事件
消費者法ニュース60号156頁
裁判官 井上正明,中村哲,久保田浩史
【事案の概要】
一般市場価格として41万4000円と表示された値札を付けて陳列されていたファッションリングを29万円で購入した購入者に対し,信販会社が立替金の支払いを求めた。
【判断の内容】
一般的な小売価格は4条4項1号に掲げる重要事項に該当し,これに不実告知があったとして,購入者による売買契約の取消しを認めた。
平成15年(ネ)第2237号立替金請求控訴事件
消費者法ニュース60号156頁
裁判官 井上正明,中村哲,久保田浩史
【事案の概要】
一般市場価格として41万4000円と表示された値札を付けて陳列されていたファッションリングを29万円で購入した購入者に対し,信販会社が立替金の支払いを求めた。
【判断の内容】
一般的な小売価格は4条4項1号に掲げる重要事項に該当し,これに不実告知があったとして,購入者による売買契約の取消しを認めた。
平成14年(ワ)第2347号違約金請求事件
金融商事判例1179号58頁,私法判例リマークス29号50頁
裁判官 豊田建夫,松田浩養,菱山泰男
確定
【事案の概要】
消費者が,LPガスの切り替え工事,ボンベ交換の契約後1年未満で販売会社を変更した場合には,88,000円の違約金を支払う旨の違約金条項は,9条1号により無効であると主張した。
【判断の内容】
① 「平均的な損害の額」(9条1号)の立証責任について,同法が消費者を保護することを目的とする法律であること,消費者側からは事業者にどのような損 害が生じ得るのか容易には把握しがたいこと,損害が生じていないという消極的事実の立証は困難であることなどに照らし事業者側が負うとした。
② 本件においては,平均的な損害について事業者から具体的な主張立証がない以上,「平均的な損害」やそれを超える部分を認定することは相当ではないとし,88,000円の返金を命じた。
平成15年(ワ)第10908号授業料返還等請求事件
判例時報1845号78頁,判例評論547号14頁,判例タイムズ1164号153頁,消費者法ニュース61号161頁,NBL785号72頁
裁判官 齋木教朗
【事案の概要】
大学医学部専門の学習塾において講習を受けていた受講生が,申し込んでいた同塾の①冬期講習を冬期講習開始前に,②年間模擬試験を中途で,それぞれ解約して,冬期講習受講料全額と模擬試験の未実施分受講料の返還を求めた。塾側は,受講契約を解除できないとの合意が成立しており解除は認められないなどと主張した。
【判断の内容】
契約の一部について,契約解除を制限する特約の成立を否定した上で,特約の成立部分について,実質的に受講料の全額を違約金として没収するに等しく,信義則に反する等として,法10条により無効であるとして,受講料の返還請求を認めた。
未登載
【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金の返還を求めた。
【判断の内容】
入学金は「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
平成14年(ワ)第20659号,第26683号,平成15年(ワ)第4440号不当利得返還請求事件
未登載
裁判官 宇田川基,室橋秀紀,岡部純子
控訴審 H17.03.30東京高裁判決
上告審 H18.11.27最高裁判決(6)
【事案の概要】
大学の入学試験に合格し,学納金を納付した後に入学を辞退し,民法又は9条1号,10条により学納金の返還を求めた。
【判断の内容】
①入学金は,在学契約により取得する地位及び利益に対する対価であり,返還を求めることはできないとした。
②平均的損害の立証責任は事業者側にあるとした。
③消費者契約法施行前の契約については返還を認めなかった。
④消費者契約法施行後の在学契約につき,3月31日までの入学辞退者については授業料の返還を認めた。
⑤不返還合意は消費者契約法10条に該当しないとした。
平成15年(ハ)第234号損害賠償請求事件
消費者法ニュース56号148頁
控訴審 H15.09.26大阪地裁判決
【事案の概要】
子犬の売買において,感染症に罹患した子犬が引き渡された後に同犬が死亡したことにつき,消費者が,売買代金の返還を求めた。
【判断の内容】
生命保証制度に加入しなかった場合,販売会社は免責されるとの契約条項は,1条及び10条に照らして無効であるとして消費者からの請求を全面的に認めた。
平成14年(ワ)第1815号,第2661号,平成15年(ワ)第990号学納金返還請求事件
最高裁HP
裁判官 八木良一,飯野里朗,財賀理行
控訴審 H16.10.01大阪高裁判決(1)
【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。一部当事者につき消費者契約法施行前の事案。
【判断の内容】
①在学契約は施設利用等を要素とする有償双務契約であり,かつ消費者契約である。②入学金は「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。③授業料を 返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じる一方,公序良俗には違反しないとして,消費者契約法施行前の当事者については返還義務を 否定した。
平成15年(ワ)第28402号求償金請求事件
判例タイムズ1153号277頁,金融法務事情1717号76頁
控訴審 H16.05.26東京高裁判決
【事案の概要】
信用保証委託契約に基づき,求償元金及び約定遅延損害金(年利18.25%)の支払を求めた。
【判断の内容】
遅延損害金につき,被告の主張を待たずに9条2号により年利14.6%を超える部分の約定は無効とした。
平成15年(ネ)第3268号学納金返還請求控訴事件
国セン報道発表資料HP2006年10月6日
裁判官 小田耕治,山下満,下野恭裕
第1審 H15.10.06大阪地裁判決
【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。
【判断の内容】
原審と同じ
① 在学契約について,主として準委任契約,付随的に施設利用契約等の性質を併せ持つ有償双務の無名契約であるとした。
② 入学金について,当該大学に入学し得る地位を取得することへの対価であり,一部は,全体としての教育役務等の提供のうち,入学段階における人的物的設 備の準備,事務手続費用等,大学が学生を受け入れるために必要な準備行為の対価としての性質をも併せ有しているとして,返還義務を否定した。
③ 授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして,授業料の返還を命じた。
④ 「平均的な損害の額」(9条1号)の立証責任は消費者側にあるとした。
平成14年(ワ)第1789号学納金返還請求事件,平成14年(ワ)第1832号入学金返還請求事件,平成14年(ワ)第2642号学納金返還請求事件
最高裁HP,判例時報1825号46頁,消費者法ニュース56号165・167頁
裁判官 水上敏,福井美枝,尾河吉久
控訴審 H16.08.25大阪高裁判決
【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。
【判断の内容】
① 学納金の法的性格について,特段の事情がない限り,その名目にかかわらず,広い意味ではすべて大学等が提供する狭義の教育活動その他の役務,施設利用 の対価であるとし,そのうち,入学金の法的性格について,学生としての地位を取得するについて一括して支払われるべき金銭であって入学に伴って必要な学校 側の手続き及び準備のための諸経費に要する手数料の性格を併せ有するとした。
② 「平均的な損害の額」(9条1号)の主張立証責任は事業者が負うとした。
③ 在学契約の始期となっている4月1日以降に入学を辞退した者については,学生としての身分を取得した以上,大学は入学金に対応する契約上の義務を履行 済であるとして,入学金の返還は認めず,それ以外の学納金の返還を認めた。4月1日より前に入学を辞退した者については入学金と授業料の返還を命じた。い ずれも,平均的損害の主張立証が不十分,またはないとして,学納金不返還特約全体が無効とした。