この判例集は,公刊物,雑誌,最高裁判所HP,兵庫県弁護士会消費者問題判例検索システム,消費者契約法に関心のある方々からの情報提供等により,消費者契約法に関連する判例を集め,一覧にしたものです。記載内容については正確を期しているつもりですが,これを保証するものではありません。詳しくは原典にあたるなどして確認をしてください。
 掲載内容について,誤り等を見つけられた場合には,当事務所までご一報いただければ幸いです。
 また,消費者契約法に関するこんな判例を見つけた,あるいはこんな判例を獲得した!という方は,是非情報を提供していただきたく,よろしくお願いいたします。

消費者契約法判例一覧(エクセルファイル)




国セン報道発表資料(2011年11月11日公表)

【事案の概要】
原告は、被告に対して、放送受信契約に基づいて、衛星放送の受信設備を設置したことを要件とし、視聴の意思がない者にも一律に衛星カラー契約の締結を義務づけることは、契約自由の原則に反する、信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害する(消費者契約法10条)と主張して、カラー契約から衛星カラー契約に契約変更する債務が存在しないことの確認を求めた。

【判断の内容】
放送法32条及びこれに基づく放送受信規約は、被告の放送を受信することのできる受信設備を設置した者に対し、放送を視聴する意思の有無にかかわらず、その受信設備の種類に応じた契約を締結し、その契約の種別ごとに定められた受信料を負担することを義務づけており、これは、契約による法律関係の形成についての個人の自由を制限するものであるとともに、法律の任意規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は義務を加重する消費者契約の条項(消費者契約法10条)を定めたものと解する余地がある。
しかし、衛星放送をカラー受信することのできる受信設備を設置した者に対し、衛星放送を視聴する意思の有無にかかわらず、カラー契約から衛星カラー契約への契約変更を義務づけることは、契約自由の原則の例外として許容されるというべきであり、また、信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの(消費者契約法10条)ではない。よって放送法 32 条及び放送受信規約は有効であり、原告に契約変更の義務があるとして、原告の請求を棄却した。

国セン報道発表資料(2011年11月11日公表)

【事案の概要】
貸金業者である申立人(被告)との間で金銭消費貸借を繰り返していた相手方(原告)が申立人に対して、過払金が発生しているとして、不当利得変換請求権に基づいて過払金等の返還を求めた事案につき、申立人が金銭消費貸借契約上の専属管轄条項に基づいて、移送の申し立てをした。

【判断の内容】
「訴訟行為については、姫路簡易裁判所を以って専属的合意管轄裁判所とします」との本件条項があることが認められるから、本件に関する訴訟行為については、姫路簡易裁判所が専属的合意管轄であるというべきである。相手方は、本件条項は消費者契約法10条により無効である旨主張するが、本件条項を貸金返還請求訴訟や保証債務履行請求訴訟だけでなく、本件のような過払金返還請求訴訟に適用しても、社会的弱者である消費者の権利を制約し、不当な不利益を与えたりするものとはいえないから、相手方の消費者契約法10条違反の主張は採用することができない。(申立人と相手方との間には姫路簡易裁判所を専属的管轄とする合意が成立しているというべきであるが、民事訴訟法17条の趣旨に照らし、本件移送申立てを却下した)

H19.10.30大阪地裁判決

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国セン報道発表資料(2011年11月11日公表)
控訴審 H20.05.19大阪高裁判決

【事案の概要】
本件団地の建替計画の共同事業予定者である不動産会社(原告)が、団地管理組合の一括建替え決議を踏まえて、建替え賛成者から区分所有権を取得した上で、区分所有者として任意に売り渡さない居住者(被告)に対して、区分所有法所定の売渡請求権を行使したとし同請求権行使によって売買契約が成立したと主張して、所有権に基づき、所有権移転登記手続等を請求した。被告らは、手続違反等による一括建替え決議の無効、消費者契約法8条ないしは10条による無効等を主張した。

【判断の内容】
(本件一括建替え決議の消費者契約法違反性について)被告らは、従前資産売買契約中の条項の消費者契約法違反をもって本件一括建替え決議の無効を主張するものであるが、従前資産売買契約は、本件一括建替え決議に基づく建替え計画実施の一部をなすものではあっても、本件一括建替え決議の内容をなすものではなく、従前資産売買契約の法令違反が直ちに本件一括建替え決議の違法や無効を帰結するものではないというべきであるし、従前資産売買契約が仮に法令違反で無効となったとしても、それが本件一括建替え決議の無効を帰結するものではないというべきである。また、消費者契約法8条ないし10条は、同条違反の条項を違反する範囲で無効とするものであって、当該消費者契約全体を無効とするものでないことは条文の文言に照らして明らかである。以上のとおりであるから、被告らの上記主張は採用することができない。
(なお、原告の被告らに対する本件各請求はいずれも理由があるとして、原告の被告らに対する所有権移転登記、明渡し請求を認めた)

H20.12.24東京高裁判決

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国セン報道発表資料(2011年11月11日公表)
原審 H20.07.29東京地裁判決

【事案の概要】
 オペラを鑑賞した控訴人が、上演において、実際にオーケストラの指揮を執ったのがパンフレット等で宣伝されていた指揮者ではなく、格下の指揮者に変更されたことにつき、公演主催者及び公演協賛者らの被控訴人に対して、鑑賞契約上の債務不履行、指揮者という重要事項に関し事実と異なる告知がされたとして、消費者契約法4条1項の取消事由があり、更に不法行為にも当たるとして、損害賠償請求又は不当利得返還請求を求めた。

【判断の内容】
 チラシやパンフレットにやむを得ない事情により指揮者の交代があり得る旨も併せて表示されていたのであるから、本件契約の締 結にあたり、本件公演の主催者たる被控訴人らが重要事項について事実と異なることを告げたとはいえないことは明らかである。したがって、消費者契約法4条1項により取り消すことはできないし、 被控訴人らに不当利得及び不法行為が成立する余地はないというべきであるとして、控訴人の請求を失当とする原判決は相当である として、控訴を棄却した。

平成21年(ワ)第4345号  不当利得返還等請求本訴,立替金請求反訴事件
最高裁HP
裁判官 長谷川恭弘

【事案の概要】
借家人が家賃支払を遅滞した場合に,保証委託契約が一度自動的に解除された上で更新され,その際に解除更新料を支払うなどとされた借家人と保証会社との保証委託契約における特約が消費者契約法10条により無効とされるとともに,保証会社が根拠不明の金銭を含め借家人に過分な支払をさせる行為や退去勧告を組織的に行っていたことが,社会通念上許容される限度を超えたもので,不法行為に該当するとされた事例

H16.07.08東京地裁判決

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平成16年(ワ)第997号
判例マスター
裁判官 綿引万里子

【事案の概要】
ペットの犬を業者から購入したところ、1年10ヶ月経過後に突発性てんかんと診断されたことを理由に、債務不履行、瑕疵担保責任に基づく損害賠償を求めた事案。業者の免責約款が8条1項1号、8条1項2号、10条により無効となるかが争われた。

【判断の内容】
1 本件は債務不履行にはならないが、突発性てんかんが遺伝的要因によって発症したものであるとすれば、隠れた瑕疵を有していたものとして業者は瑕疵担保責任を負担する。
2 8条1項5号は有償契約の瑕疵担保責任による賠償責任をすべて免除する条項を無効とするものであり、本件では、病気治療保障(購入日より2週間以内に発病し48時間以内に指定医に持ち込まれたときに治療費を負担)、先天的欠陥保障(購入日より3ヶ月以内又は生後5ヶ月以内に申し出があった場合代犬を提供する)があり、それ以外の場合を免責するものであり、すべてを免除するものではないから、同条項により無効となると解する余地はない。
3 保障部分を本件条項の場合に限定することは合理的理由があるから、民法1条2項の基本原則に違反するものとして10条に該当し、もしくは民法90条により無効であり、又は免責主張が信義則に反するとはいえない。

平成20年(ワ)第15684号不当利得金返還請求事件
未登載
裁判官 小林康彦

【事案の概要】
 認知症が進行していた92歳の独り暮らしの女性が、梵鐘の製作等を業とする業者との間で50トンの大梵鐘を製作する請負契約を締結し、代金3億円のうち2億円を支払ったが、当該契約が不実告知、不利益事実の不告知によって締結された等と主張して、返還請求をした事案。契約書作成前に支払われた2億円が、契約書において契約解除の場合には違約金として没収されるとなっていた条項の効力が争われた。

【判断の内容】
 次の理由から、不利益事実の不告知による取消を認め、2億円の返還請求を認めた。
①4条2項の趣旨は、消費者が事業者の不適切な勧誘行為に影響されて自らの欲求の実現に適合しない契約を締結した場合には、民法上の詐欺が成立しないときであっても、消費者が当該契約に拘束されることは衡平を欠くことから、消費者に当該契約の効力を否定する手段を与えたもの。
②梵鐘の設置場所が未確定なまま巨大な梵鐘を、寺院でない一個人が注文するという極めて異例な契約内容であることから、契約書作成時点において契約が締結されたものというべき。
③前払い金2億円について、中途解約の場合違約金となることが契約書においてはじめて記載されており、趣旨が変わっているにもかかわらずそのことを告げた事実は認められない。このことは、重要事項にかかる不利益事実の不告知があるものとして、取消事由となるというべき。

H23.03.24最高裁判決

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平成21年(受)第1679号敷金返還等請求事件
最高裁HP、NBL952号10頁
裁判官 金築誠志、宮川光治、櫻井龍子、横田尤孝、白木勇
原審 H21.06.19大阪高裁判決

【事案の概要】
 居住用マンション一室の賃貸借契約の保証金(敷金)の返還請求事案。敷引条項が10条に違反するかが争われた。

【判断の内容】
① 通常損耗部分を借り主の負担とするものであり、10条前段要件を満たす。
② 10条後段要件について
 敷引特約があり、金額が契約書に明示されている場合には,賃借人は,賃料の額に加え,敷引金額についても明確に認識した上で契約を締結するのであって,賃借人の負担については明確に合意されている。
 通常損耗等の補修費用は,賃料にこれを含ませてその回収が図られているのが通常だとしても,これに充てるべき金員を敷引金として授受する旨の合意が成立している場合には,その反面において,上記補修費用が含まれないものとして賃料の額が合意されているとみるのが相当であって,敷引特約によって賃借人が上記補修費用を二重に負担するということはできない。
 補修費用に充てるために賃貸人が取得する金員を具体的な一定の額とすることは,通常損耗等の補修の要否やその費用の額をめぐる紛争を防止するといった観点から,あながち不合理なものとはいえず,敷引特約が信義則に反して賃借人の利益を一方的に害するものであると直ちにいうことはできない。
 もっとも,消費者契約である賃貸借契約においては,賃借人は,通常,自らが賃借する物件に生ずる通常損耗等の補修費用の額については十分な情報を有していない上,賃貸人との交渉によって敷引特約を排除することも困難であることからすると,敷引金の額が敷引特約の趣旨からみて高額に過ぎる場合には,賃貸人と賃借人との間に存する情報の質及び量並びに交渉力の格差を背景に,賃借人が一方的に不利益な負担を余儀なくされたものとみるべき場合が多いといえる。
 そうすると,消費者契約である居住用建物の賃貸借契約に付された敷引特約は,当該建物に生ずる通常損耗等の補修費用として通常想定される額,賃料の額,礼金等他の一時金の授受の有無及びその額等に照らし,敷引金の額が高額に過ぎると評価すべきものである場合には,当該賃料が近傍同種の建物の賃料相場に比して大幅に低額であるなど特段の事情のない限り,信義則に反して消費者である賃借人の利益を一方的に害するものであって,消費者契約法10条により無効となると解する
のが相当。
③ 本件では、契約締結から明渡しまでの経過年数に応じて18万円ないし34万円を本件保証金から控除するというものであっ
て,本件敷引金の額が,契約の経過年数や本件建物の場所,専有面積等に照らし,本件建物に生ずる通常損耗等の補修費用として通常想定される額を大きく超えるものとまではいえない。
 賃料は月額9万6000円であって,本件敷引金の額は,上記経過年数に応じて上記金額の2倍弱ないし3.5倍強にとどまっていることに加えて,借主は本件契約が更新される場合に1か月分の賃料相当額の更新料の支払義務を負うほかには,礼金等他の一時金を支払う義務を負っていない。
 そうすると,本件敷引金の額が高額に過ぎると評価することはできず,本件特約が消費者契約法10条により無効であるということはできない。

平成21年(ワ)第4688号更新料返還請求事件
未登載
裁判官 和久田斉

【事案の概要】
建物賃貸借契約の更新料返還請求。

【判断の内容】
次の理由から返還請求を認めた。
① 更新料の法的性質について、賃料の補充、更新拒絶権放棄の対価、空室損料の違約金のいずれも否定した。
② 10条前段、後段要件を満たす。

平成21年(ワ)第4691号更新料返還請求事件
未登載
裁判官 橋本眞一

【事案の概要】
建物賃貸借契約の更新料の返還請求。消費者契約法施行前の契約が施行後に更新された事案で、消費者契約法の適用があるかも争われた。

【判断の内容】
次の理由から、返還請求を認めた。
① 賃貸借契約において,目的物を使用収益できる期間は契約の重要な要素であって,本件契約の契約期間も明記されているから,その期間の満了により契約関係は一旦終了し,本件更新料特約に基づいて,本件賃貸借契約を2年間更新する(契約期間を2年間として再契約する)旨の黙示の意思表示がされたものと認めるのが相当。
② 更新料の法的性質について、更新拒絶権放棄の対価、賃借権強化の対価、賃料の補充のいずれも否定。
③ 10条前段、後段要件を満たす。
④ 契約の核心的な合意内容については当事者間の自由に委ねるべきであるから消費者契約法の規制にはなじまないとの被告の主張については、本件更新料の法的性質を合理的に説明することができない以上,自由意思による合意の前提を欠いており採用できない。