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 この判例集は,公刊物,雑誌,最高裁判所HP,兵庫県弁護士会消費者問題判例検索システム,消費者契約法に関心のある方々からの情報提供等により,消費者契約法に関連する判例を集め,一覧にしたものです。記載内容については正確を期しているつもりですが,これを保証するものではありません。詳しくは原典にあたるなどして確認をしてください。
 掲載内容について,誤り等を見つけられた場合には,当法律事務所までご一報いただければ幸いです。
 また,消費者契約法に関するこんな判例を見つけた,あるいはこんな判例を獲得した!という方は,是非情報を提供していただきたく,よろしくお願いいたします。

◆ H26.08.07京都地裁判決

2014年12月14日 公開

平成23年(ワ)第3425号結婚式場解約金条項使用差止等請求事件
ウエストロー・ジャパン,京都消費者契約ネットワークHP(判決あり,PDF)消費者庁HP(PDF)
裁判官 栂村明剛,武田美和子,阿波野右起
適格消費者団体 京都消費者契約ネットワーク
事業者 株式会社Plan・Do・See

【事案の概要】
 婚礼及び披露宴に関する企画及び運営等を業とする会社に対し、結婚式場のキャンセル料を定める条項が9条1号により無効となるとして,キャンセル料条項の使用差止め及び同条項が記載された契約書用紙の破棄を求めた事案。

【判断の内容】
 以下の理由から,原告の請求を棄却した。
① 本件申込金の不返還条項は9条1号の対象となる。
② 「平均的損害」には,逸失利益が含まれる。
③ 90日前以前に解除されたとしても,逸失利益は生じ,その後の再販売により代替的な利益を確保できたとしてもそれは損益相殺の問題。
④ 本件平均的損害は,以下の計算式により算定するのが相当。
  本件平均的損害=本件逸失利益ー損益相殺すべき利益
   =(解除時見積額の平均×粗利率)ー(解除時見積額の平均×粗利率×再販率)
   =解除時見積額の平均×粗利率×(1ー再販率)
   =解除時見積額の平均×粗利率×非販売率
  これによると,本件キャンセル料は,損益相殺後の本件逸失利益を下回っている。したがって,平均的損害額を超えない。

◆ H26.04.24大分地裁判決

2014年12月14日 公開

平成24年(ワ)第499号違約金条項使用差止等請求事件
大分県消費者問題ネットワークHP(判決文あり,PDF)
消費者庁HP(PDF)
適格消費者団体 大分県消費者問題ネットワーク
事業者 北九州予備校(学校法人金澤学園)

【事案の概要】
 中途退学時の学費返還は原則として行わないとした契約条項が9条1号により無効となる等として,大学受験予備校に対し当該条項の差し止めを求めた事案。

【判断の内容】
 以下の理由から,当該条項の使用の差し止めを命じた。
① 当該予備校では,年度途中の入学を予定しており,現に途中で入学する者もいて,その際の入学試験もない。
② 当該予備校では,定員に達していない校舎も,定員に達した校舎も,定員数に縛られることなく新入生を受け入れている。
③ したがって,一人の希望者との間で在学契約を締結したために別の一人の希望者との在学契約締結の機会が失われたといった関係はおよそ認められない。
④ そうすると,いったん在学契約を締結した者が後にこれを解除した場合,これによりいくらかの損害を受けることはあり得るとしても,中と入学者を受け入れること,その他の対策を講じることは十分に可能であり,少なくとも,本件不返還条項が定めるような,当該消費者が納付した解除後の期間(いまだ役務を提供していない機関)に対応する授業料の全額について,一般的客観的に損害を被ることにはならないというべき。

◆ H25.04.19東京地裁判決

2014年12月14日 公開

平成25年(ネ)第3187号損害賠償請求控訴事件
ジュリスト1462号128頁,判例秘書
裁判官 三角比呂,足立堅太,高畑桂花
控訴審 H25.09.18東京高裁判決

【事案の概要】
 スイスの銀行に口座を有する日本人が銀行から勧誘を受けて株式を購入させられたことが適合性原則違反,説明義務違反に当たるとして不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を日本の裁判所に提起した事案。スイスの裁判所を専属管轄とする国際的専属的裁判管轄の合意について消費者契約法10条が適用されるかについて争われた。

【判断の内容】
 以下の理由から,本件管轄の合意について10条該当性を判断しつつ,無効とならないとして,訴えを却下した。
① 国際裁判管轄の合意の効力に関する準拠法は,法廷地法である日本法であると解するのが相当であり,法例7条は適用されない。
② 原告らは一個人であって,事業として又は事業のために契約の当事者となったものではなく,被告は法人であるから,本件管轄合意は,消費者契約に該当し,10条が適用されるというべき。
③ 本件管轄合意の内容は,確かに原告らに常居所国における訴訟追行を認めないという点で,原告らに不利益を被らせるものではあるが,原告らの資力からすれば,チューリッヒで訴訟追行をすることが著しく困難で,看過し難い損害を受けるとは認められないこと,また,本件管轄合意は,その内容,成立経緯などに照らし,被告が,原告らとの間の情報や交渉力の格差を利用して,殊更原告らに一方的に不利益な内容の合意をさせたなどの事情も認められない。
④ 以上の本件における一切の事情を総合すると,本件管轄合意は,消費者契約法の趣旨に照らし,なお原告らの利益を一方的に害し,信義則上原告らと被告との間の衡平を損なう程度に原告らの保護法益を侵害するとはいえず,10条に違反しない。

◆ H19.07.25東京地裁判決

2014年4月2日 公開

平成18年(ワ)21381号,25722号報酬金請求事件、着手金返還請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 笠井勝彦

【事案の概要】
 税理士である原告に相続した遺産の相続対策業務を委任した後、業務遂行に不信感を抱いて契約を解除した被告に対し、原告が契約に基づく報酬を請求したところ(第1事件)、被告が原告に契約解除に基づく原状回復請求として着手金の返還を求めた事案(第2事件)。被告が,被告の事情により,委任業務の着手前に本件契約を解除したときは既払報酬の返還を請求せず,着手後に解除したときは原告の請求した報酬全額を支払うとの条項が10条により無効となるかが争われた。

【判断の内容】
 原告からの報酬請求について,原告が行った業務遂行の内容等は安直で契約の主目的・内容に沿うものではない上、契約上の報酬金の定めも民法648条3項より消費者の義務を加重するもので、信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害するから10条により無効であるとして,報酬請求を棄却した。

◆ H19.01.29東京地裁判決

2014年3月29日 公開

平成18年(ワ)11115号不当利得返還請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 永野厚郎

【事案の概要】
 被告から未公開株式を購入した際に、被告従業員から株式が上場されることにより値上がりすることは間違いないとの断定的判断の提供を受けたとして、4条1項1号及び2号に基づく売買契約の取消しと代金の返還を求めた事案。

【判断の内容】
 被告による断定的判断の提供があったとして,4条1項2号により売買契約の取消を認め,代金の返還を命じた。

◆ H18.05.25東京地裁判決

2014年3月29日 公開

平成17年(ワ)第16768号入学金返還請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 松本明敏

【事案の概要】
 原告が、被告設置の大学の入学試験に合格し、入学時納付金として入学金及び授業料その他の費用を納付した後、入学を辞退したことにより在学契約は解除されたとして、被告に対し、不当利得返還請求権に基づき、未返還の学納金及びその遅延損害金の支払を求めた事案。

【判断の内容】
① 入学金は、入学し得る地位または学生たる地位取得の対価であり、入学事務手続の手数料としての性格を併せ有する。被告に対し入学金を納付したことにより、被告の原告に対する入学事務手続が履践されて本件在学契約を成立させることができ、本件大学に入学し得る地位を取得したのであるから、原告としては、納入した入学金の対価的利益を享受したのであり、原告から納付された入学金を取得することについて、被告に法律上の原因があるというべき。
② 授業料については,本件不返還特約は9条1号により無効であり,返還すべき。

◆ H18.01.31東京地裁判決

2014年3月29日 公開

平成16年(ワ)第14344号学納金返還請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 石井浩、間部泰、川原田貴弘

【事案の概要】
 被告が設置する大学に合格し、入学金や授業料等を納入した後、他大学への合格を理由に入学を辞退した原告が、不当利得返還請求権に基づき、被告に対し、入学時納入金の返還等を求めた事案。

【判断の内容】
① 平均的損害の立証責任は消費者が負うが,平均的な損害に関する情報及び証拠の多くは事業者側にあるものと認められるところ、消費者と事業者との間の情報の質及び量の格差を是正し、消費者の利益を擁護することを目的とする消費者契約法の趣旨にかんがみれば、平均的な損害の額を超えることが一応の合理的理由に基づいて認められた場合には、事業者において必要な反証がされない限り、消費者の立証責任は尽くされたものとして、立証された金額が平均的な損害の額であると事実上推定されると解するのが相当。
② 入学金は大学に入学し得る地位を取得することなどの対価であり、大学はその返還をすることを要しない。
③ 授業料・教育充実費については,入学予定者の入学辞退により何らかの平均的損害はないものと認めるのが相当であるから、授業料及び教育充実費を返還することを要しない旨の合意は9条1号により無効であり、被告大学はこれを返還することを要する。

◆ H17.04.22大阪高裁判決

2014年3月23日 公開

平成16年(ネ)第1083号学納金返還請求控訴事件
民集60巻9号3698頁,ウエストロー・ジャパン
上告審 H18.11.27最高裁判決(5)

【事案の概要】
 学納金返還請求。①在学契約及び学納金の法的性格,入学辞退の法的効果,②在学契約に消費者契約法が一般的に適用されるか,③本件特約が9条1号により無効となるか,本件特約が10条により無効となるか,等が争われた。入学手続要綱等に「入学式を無断欠席した場合には入学を辞退したものと見なす」などの記載があった。

【判断の内容】
① 学生からの在学契約解消については民法651条の類推適用を認め,同条1項により,いつでも在学契約を将来に向かって解除することができるものと解するのが相当であり,学生からの入学辞退の意思表示はこの在学契約解除の意思表示と理解するのが相当。
② 授業料等の不返還を定める部分は,9条1号に当たる。
③ 平均的損害の額の立証責任は,消費者が負う。
④ 3月31日までに在学契約を解除した場合,授業料部分は平均的な損害を超えるものとなる。
⑤ 4月1日以降に在学契約を解除した場合,学部・学科の授業内容,定員数,発生すると考えられる損害の内容,等の事情を考慮し,大学,各部,学科ごとに,20万円から30万円の範囲で平均的損害を算定した。
⑥ 本件特約には10条は適用されない。

◆ H17.03.15東京地裁判決

2014年3月23日 公開

平成16年(ワ)第13205号貸金請求本訴,不当利得返還等請求反訴事件
判例時報1913号91頁,ウエストロー・ジャパン
裁判官 工藤正

【事案の概要】
 特定の法律事務所の弁護士らが主体となり、報酬を得る目的で、業として、債務整理を受任した依頼者のうちから大手消費者金融業者甲に対して不当利得返還請求権を有している不特定多数の者から甲に対して貸金債務を負担している不特定多数の者に同請求権を譲渡させ、これらの権利実現を訴訟等の手段を用いて実行している場合において、このような債権譲渡は、公序良俗に反し無効であるとされた事例。
 金銭消費貸借契約の債務不履行に基づく返済債務に関する債務弁済契約における賠償額の予定の定めには、利息制限法4条が適用されるか、消費者契約法9条2号が適用されるかが争われた。

【判断の内容】
 11条2項は、「消費者契約の条項の効力について民法及び商法以外の他の法律に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。」と規定しているところ、利息制限法が、消費貸借契約の場合における相当な利得の利率及び遅延損害金の割合の上限を定めることを目的としていることに鑑み、「金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定」については、利息制限法の規定が優先して適用されるものと解するのが相当である。そして、このことは、「金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定」についての和解契約についても同様であると解するのが相当である。

◆ H16.03.25山口簡裁判決

2014年3月15日 公開

平成15年(ハ)第406号,第411号貸金等請求事件,不当利得返還請求事件
消費者法ニュース60号109頁,兵庫県弁護士会HP
裁判官 德丸哲夫

【事案の概要】
 貸金業者である原告が、原告と訴外Aとの間の金銭消費貸借契約の連帯保証人である被告に対し、貸金残金等の支払を求めた(甲事件)のに対し、被告が、過払金が生じているとして、原告に対し、不当利得返還請求権に基づき過払金等の支払を求めた(乙事件)事案。約定利息の支払を遅滞することにより、当然に期限の利益を失う旨の条項と支払いの任意性について争われた。

【判断の内容】
 貸金業規制法43条の適用要件については厳格に解釈すべきこととあわせ,消費者契約法の消費者保護の精神を総合的に考慮すれば,契約証書等の内容については,債務者に弁済を強要することになるようなあいまいな表現を避けて,明確な記述をし,債務者に不利益を与えないようにすべきであると判示して,貸金業者の主張を排斥し,みなし弁済の適用を否定した。

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