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「不当条項」カテゴリー|消費者契約法判例集

◆ H18.03.10右京簡裁判決

2010年5月30日 公開

平成17年(ハ)第212号損害賠償請求請求事件
兵庫県弁護士会HP

裁判官 喜久本朝正

【事案の概要】
中古車買取業者が中古車を117万円で買い受けたところ,約2週間後までに接合車であることが判明したとして,代金の返還請求をした。「本契約締結後,売 主の認識の有無に係わらず,契約車両に重大な瑕疵(盗難車,接合車,車台番号改ざん車など)の存在が判明した場合には,買主は本契約を解除することができ る」との条項が10条に反するか否かが争われた。

【判断の内容】
①民法570条にいう「隠れた瑕疵」とは,買主が瑕疵のあることを知らず,かつ,知らないことについて過失のない瑕疵をいい,買主に過失がある場合には解除することはできないし,瑕疵の存在を発見したときから1年以内にしか解除権を行使できない。
②本条項は買主が瑕疵の存在を知らなかったことについて過失がある場合も解除でき,解除権の行使期間の定めがないから解除権行使による原状回復請求権の消滅時効(10年と解される)完成までは解除することができることになる。
③したがって,消費者(売主)の瑕疵担保責任を加重する条項であり,民法1条2項の信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害するから,10条により同条項は無効である。

◆ H18.03.27福岡簡裁判決

2010年5月30日 公開

平成17年(ハ)第60340号敷金等返還請求事件
未登載

【事案の概要】
マンションの居室賃貸借契約で,中途解約をした借主が,敷金及び違約金の返還を求めた。敷引特約(家賃3ヶ月分,15万6000円)及び中途解約違約金特約(家賃1ヶ月分)の効力が争われた。

【判断の内容】
以下の理由から,敷引特約が10条違反により無効であるとして返還請求を認め,違約金特約は有効であるとして違約金については返還請求を認めなかった。
① 敷引特約は,その合意内容が当事者間において明確で,合理性があり,賃借人に一方的に不利益なものでなければ,直ちに無効とはいえない。
② しかし,敷引には合理性がない。
③ 賃貸借期間1年以内の借主による一方的解約は,貸主に不測の損害を与えること,1ヶ月前の予告があったとしても,新たな借り主を見つけるには2ヶ月程度を要することから,本件特約は9条1号,10条には反しない。

◆ H18.04.14松山地裁西条支部決定

2010年5月30日 公開

平成18年(モ)第25号移送申立事件(基本事件平成18年(ワ)第61号不当利得返還請求事件)
兵庫県弁護士会HP
裁判官 中嶋功

【事案の概要】
貸金業者に対し,不当利得返還請求訴訟を提起したところ,「訴訟行為について松山簡易裁判所を以て専属的合意管轄とします。」との条項を根拠に松山簡裁への移送申立をされた。

【判断の内容】
以下の理由から,専属的合意管轄は生じておらず,仮に合意をしたとしても10条違反であり無効となるとした。
①貸金請求とは訴訟物が異なる。
②借りる際に,業者側の違法行為による不当利得返還請求の訴訟について管轄の合意をすることは考えにくく合理的意思解釈に反する。
③約款が業者側の利益を考慮して定型文書で作成され,そのまま署名しなければ借入自体ができなかった。
④業者が全国展開する企業で,法律及び訴訟の理解度や経済力の点で借主とは比較にならないほど優位に立っている。

◆ H18.04.28木津簡裁判決

2010年5月30日 公開

平成17年(ハ)第170号敷金返還請求事件
未登載
裁判官 根本正彦
控訴審 H18.11.08京都地裁判決

【事案の概要】
敷金返還請求。敷引特約(35万円から30万円を差し引く)の効力が争われた。

【判断の内容】
以下の理由から,敷引特約が10条違反により無効であるとして返還請求を認めた。
① 敷引特約は,その合意内容が当事者間において明確で,合理性があり,賃借人に一方的に不利益なものでなければ,直ちに無効とはいえない。阪神地区においては慣行として存在するのも事実。
② しかし,まだまだ賃貸人,賃借人間においては対等の立場で契約することは困難である。
③ 敷引には合理性がない。

◆ H18.05.19枚方簡裁判決

2010年5月30日 公開

平成17年(少コ)第89号保証金返還請求事件
未登載
裁判官 矢野隆

【事案の概要】
建物賃貸借における,保証金の返還請求。保証金45万円の内30万円を控除するとの条項の効力が争われた。

【判断の内容】
以下の理由から,当該条項について,賃貸物件の価値を高めるものではなく,また,賃貸期間の長短に関係なく賃借人が交替する毎に生ずる費用(例えば不動産 業者の仲介手数料)については有効であるが,それ以外については10条違反により無効であるとしてその部分について返還請求を認めた。
① 民法に,賃借人に賃料以外の金銭的負担を負わせる旨の明文がないから,賃借人の義務を加重する条項である。
② 賃貸人側,賃借人側の事情を検討すると,賃貸期間の長短に関係なく賃借人が交替する毎に生ずる費用については,賃借人に負担させることも合理性があり,消費者の利益を一方的に害するとはいえない。

◆ H18.05.24大阪高裁判決

2010年5月30日 公開

平成18年(ツ)第13号敷金返還請求上告事件
http://www.geocities.jp/blackwhitelaw/
第1審 H17.07.12京都簡裁判決
控訴審 H17.12.22京都地裁判決

【事案の概要】
敷金返還請求。敷引特約の有効性が争われた。

【判断の内容】
通常損耗部分の原状回復費用を借主が負担することの合意は成立していないとの原審判断を維持した。
また,仮に合意が成立していたとしても,このような合意は許されないとも付言している。

◆ H18.06.06大阪地裁判決

2010年5月30日 公開

平成18年(レ)第5号敷金返還請求控訴事件
未登載
裁判官 堀正博,武部知子,湯浅徳恵
原審 大阪簡裁平成17年(ハ)第70334号

【事案の概要】
建物賃貸借契約における保証金返還請求。保証金35万円の内25万円を控除するとの条項の効力が争われた。

【判断の内容】
敷引特約は特段の合理性,必要性がない限り10条違反により無効であり,本件でも合理性を認められないとした。
 なお,原審では保証金の3割相当額の敷引を有効としていたものを全部無効としたが,借主側の控訴・附帯控訴がなかったため,控訴棄却となっている。

◆ H18.06.12東京地裁判決

2010年5月30日 公開

平成17年(ワ)第22799号契約金返還請求事件
未登載
裁判官 田中俊行

【事案の概要】
建物建築請負契約を建築開始前に解約し,支払済みの契約金300万円から10万円を差し引いた金額の返還請求をした。「請負代金総額の3分の1または請負人に生じた損害額のどちらか高い方を賠償する」との条項の効力が争われた。

【判断の内容】
以下の理由から,当該条項について9条1項に違反し,10万円を超える限度で無効とし,返還請求を認めた。
① 9条1号の「平均的な損害」とは,当該損害賠償額の予定条項において設定された解除の事由,時期等により同一の区分に分類される多数の同種契約事案の解除に伴い,当該事業者に生じる損害の額の平均値を意味する。
② 「平均的な損害」の立証責任は事業者側にある。
③ 本件条項は,解除の事由,時期を問わず一律に契約金の3分の1以上が平均的損害となるというものであるが,その合理性について立証はなく,本件解除の時期ではむしろ10万円を超えないことが明らか。
④ 民訴法248条による損害額の認定は,損害が生じたことが立証されたがその額を立証するのが困難な場合の規定であり,本件では損害の立証がそもそも10万円を超えない範囲でしかされていないので,適用の前提を欠く。

◆ H18.06.27高知地裁判決

2010年5月30日 公開

国セン報道発表資料HP2006年10月6日

【事案の概要】
学納金不返還特約は,9条1号,10条,民法90条に反し無効であるとして,学納金の返還を求めた。

【判断の内容】
社会人特別選抜入学試験を受験しながら年度末になって入学を辞退したからといって,学納金の返還を請求することが信義則に違反するとまではいえない。
入学金は,入学手続事務の諸経費に要する手数料的なものという性質を一部有しているほか,入試合格者ないし入学者が当該大学に入学し得る地位を取得するこ とについての対価(一種の権利金)の面を有するものである。原告は入学手続を完了しており,その後に原告が自己の都合で入学を辞退したとしても被告が入学 金を返還すべき義務は負わない。
本件不返還特約は9条1号に該当するとして,授業料等については返還を認めた。

◆ H18.06.27東京地裁判決

2010年5月30日 公開

平成16年(ワ)第7327号不当利得返還請求事件
国セン報道発表資料HP2006年10月6日,判例時報1955号49頁,判例タイムズ1251号257頁
裁判官 永野厚郎,西村康一郎,佐野文規

【事案の概要】
学納金の不返還合意は民法651条2項但書の趣旨に反すること,9条1号の平均的損害を超えること,あるいは10条ないし民法90条に該当することから無効であるとして,不当利得に基づき学納金の返還を求めた。

【判断の内容】
入学金を納入することによって,大学との間の在外契約を締結し得る地位を得たものであり,既履行部分の対価たる入学金を保持することが不当利得となる余地はない。
授業料等については,不返還合意が9条1号に違反するとして返還を認めた。

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