平成19年(ワ)第8639号賃料等請求事件,平成19年(ワ)第8639号保証金返還反訴請求事件
未登載
裁判官 深見敏正
【事案の概要】
敷引特約につき,その一部を無効とする判決
【判断の内容】
本件敷引特約全体が信義則に反していると判断するには困難な面があるとしつつ,建物の使用期間に関わらず保証金の71.4%を控除するのが過酷だとして,30%を超える部分を10条違反とした。
平成19年(ワ)第8639号賃料等請求事件,平成19年(ワ)第8639号保証金返還反訴請求事件
未登載
裁判官 深見敏正
【事案の概要】
敷引特約につき,その一部を無効とする判決
【判断の内容】
本件敷引特約全体が信義則に反していると判断するには困難な面があるとしつつ,建物の使用期間に関わらず保証金の71.4%を控除するのが過酷だとして,30%を超える部分を10条違反とした。
平成20年(ネ)第1597号定額補修分担金・更新料返還請求控訴事件
兵庫県弁護士会HP,判例時報2052号93頁
裁判官 安原清蔵,八木良一,本多久美子
原審 H20.04.30京都地裁判決
【事案の概要】
建物賃貸借契約の定額補修分担金条項について10条で無効とした事例
【判断の内容】
控訴人(賃貸人)からの,契約締結時において原状回復額を定額で確定させて,賃貸人と賃借人の双方がリスクと利益を分け合う交換条件的内容を定めたもので あり10条にはあたらないとの追加主張に対し,多くの賃貸借契約を締結している賃貸人側がリスクの分散を図るに過ぎず賃借人にはメリットがあるかどうかは 疑問として,控訴を棄却した。
平成20年(少エ)第25号敷金返還請求事件
最高裁HP
裁判官 中島寛
【事案の概要】
マンション居室賃貸借契約終了による敷金返還請求。未払賃料の遅延損害金が日歩70銭(年利73%)とされていたのが10条違反か否かが争われた。
【判断の内容】
未払賃料についての遅延損害金の約定は損害賠償額の予定または違約金の定めであり,利率の上限は14.6%に制限されるとして,これを超える部分は無効としてその範囲内で相殺を認めた。
平成18年(ワ)第3751号卒業認定等請求事件
判例時報2028号50頁
裁判官 佐久間邦夫,石原直弥,中依子
【事案の概要】
私立高校の生徒が,退学処分の効力を争うとともに,予備的に納付済みの授業料等は理由のいかんを問わず返還しない旨の学則(学費不返還特約)の効力は9条1号等に反して無効であるとして,退学処分日以降の学費の返還を求めた。
【判断の内容】
年度途中の退学処分は高校にとって予測困難であったところ,一般に在学契約に基づく生徒に対する給付は4月1日から翌年3月31日までの1年を単位として 準備されており,新年度開始日(4月1日)には当年度における教育役務等の給付の準備がされていたことに鑑みれば,在籍予定期間の授業料等に相当する金員 は,平均的な損害額に該当するものというべきであり,不返還特約は平均的な損害額を超えるものではない,学費の返還請求を認めなかった。
平成20年(レ)第4号礼金返還請求控訴事件
最高裁HP
吉川愼一,上田卓哉,森里紀之
【事案の概要】
控訴人は,被控訴人との間で締結した賃貸借契約に基づいて,被控訴人に礼金18万円を交付したが,同賃貸借契約には,賃貸借契約終了時に礼金を返還しない 旨の約定が付されており,被控訴人から礼金18万円が返還されなかったことから,この礼金を返還しない旨の約定が10条により全部無効であるとして,被控 訴人に対し,不当利得に基づき,礼金18万円及びこれに対する遅延損害金の支払いを求めた(1審では請求棄却)。これに対し,礼金約定が信義則に反して消 費者の利益を一方的に害するものであるような事情は認められないから,礼金約定が10条に反し無効であるということはできないとした事例
【判断の内容】
以下の理由から,10条後段の要件を欠くとして返還請求を認めなかった。
① 礼金は,賃貸人にとっては賃貸物件を使用収益させることによる対価として,賃借人にとっては賃貸物件を使用収益するに当たり必要となる経済的負担とし て,それぞれ把握されている金員であり,かかる当事者の意思を合理的に解釈すると,賃料の一部前払としての性質を有するというべきである。また,礼金が返 還されないことについては説明があったもので,何らの根拠もなく,何らの対価でもなく,賃借人が一方的に支払を強要されているとはいえない。
② 礼金は賃料の前払としての性質を有しており,これを契約時に徴求したとしても被控訴人が不当な利益を得ることにはならない。また,控訴人は自由な意思に基 づき礼金約定が付された賃貸物件を選択したというべきであり,控訴人に交渉の余地がなかったことは特段問題とするに足りない。
③ 「賃貸借住宅標準契約書」の体裁や政府委員の答弁,公営住宅法や旧国庫法などが礼金を禁止していること,本件礼金の額などから,礼金約定が非難に値するということはできない。