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「不当条項」カテゴリー|消費者契約法判例集

◆ H24.04.17東京地裁判決

判決年月日: 2012年4月17日

平成22年(ワ)第25620号手付金返還等請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 阿閉正則

【事案の概要】
 マンションの居室の売買契約(売主は宅建業者)後、エレベーターの設置工事で死亡事故が生じたことから、買主が債務不履行解除、瑕疵担保責任による解除、事情変更による解除を主張するとともに、手付金の返還を請求した事案。手付金相当額を違約金として支払うものとする条項が9条1号に違反するかが争われた。

【判断の内容】
 売主が宅建業者であるところ、宅建業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約における契約の解除に伴う違約金の額については、宅建業法38条に別段の定めがあり、この規定が消費者契約法9条1号に優先して適用される(11条2項)として、本件違約金条項は9条1号に違反し無効とはいえないとした。

◆ H24.03.28京都地裁判決

判決年月日: 2012年3月28日

平成22年(ワ)第2498号、平成23年(ワ)第918号 解約違約金条項使用差止請求事件(甲事件)、不当利得返還請求事件(乙事件)
最高裁HP消費者庁HP(PDF)判決写し(PDF、京都消費者契約ネットワークHP)、金融商事判例1402号31頁、判例時報2150号60頁、LLI/DB、国セン発表情報(2012年11月1日公表)
裁判官 吉川愼一、吉岡真一、高嶋諒
適格消費者団体 京都消費者契約ネットワーク
事業者 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ
控訴審 H24.12.07大阪高裁判決

【事案の概要】
 適格消費者団体が携帯電話会社に対し、解約金に関する条項が9条1号又は10条に該当して無効であると主張して、12条3項に基づき当該条項の内容を含む契約締結の意思表示の差止めを求め(甲事件)、同条項に基づく違約金を被告に対して支払った者が不当利得返還請求を行った(乙事件)事案。

【判断の内容】
① 契約の目的である物又は役務等の対価それ自体に関する合意については,当該合意に関して錯誤,詐欺又は強迫が介在していた場合であるとか,事業者の側に独占又は寡占の状態が生じているために消費者の側に選択の余地が存在しない場合であるとかといった例外的な事態を除き,原則として市場における需要と供給を踏まえた当事者間の自由な合意に基づくものであり、契約の目的である物又は役務の対価についての合意は,10条により無効となることはない。
② ある条項が契約の目的である物又は役務の対価について定めたものに該当するか否かについては,その条項の文言を踏まえつつ,その内容を実質的に判断すべきである。本件解約金条項は、契約の目的である物又は役務の対価について定めたものではない。
③ 消費者契約における「平均的な損害」を超える損害賠償の予定又は違約金を定める条項を無効とした法9条1号の趣旨は,特定の事業者が消費者との間で締結する消費者契約の数及びその解除の件数が多数にわたることを前提として,事業者が消費者に対して請求することが可能な損害賠償の額の総和を,これらの多数の消費者契約において実際に生ずる損害額の総和と一致させ,これ以上の請求を許さないことにあると解すべきである。
 このような法9条1号の趣旨からすれば,事業者は,個別の事案において,ある消費者の解除により事業者に実際に生じた損害が,契約の類型ごとに算出した「平均的な損害」を上回る場合であっても,「平均的な損害」を超える額を当該消費者に対して請求することは許されないのであり,その反面,ある消費者の解除により事業者に実際に生じた損害が,「平均的な損害」を下回る場合であっても,当該消費者は,事業者に対し「平均的な損害」の額の支払を甘受しなければならないということになる。
 したがって,法は,事業者に対し,上記のような「平均的な損害」についての規制のあり方を考慮した上で,自らが多数の消費者との間で締結する消費者契約における損害賠償の予定又は違約金についての条項を定めることを要求しているということができる。
④ 更新後においても基本使用料金の割引額(標準基本使用料金と割引後基本使用料金との差額)の平均額には何ら差がないと考えられるから,本件契約の更新後の中途解約による「平均的な損害」も,
被告と本件契約を締結した契約者につき,各料金プランごとの平成21年4月から平成22年3月までの月ごとの稼働契約者数(前月末契約者数と当月末契約者数を単純平均したもの)を単純平均し,それぞれに各料金プランごとの割引額(標準基本使用料金と割引後基本使用料金との差額)(税込)を乗じて加重平均した金額の,2160円に、
被告と本件契約を締結した契約者のうち,平成21年8月1日から平成22年2月28日までの間に本件契約(更新前のものに限る。)を解約した者について,本件契約に基づく役務の提供が開始された月からの経過月数ごとの解約者数に,それぞれの経過月数を乗じて加重平均した月数の,14か月を、
乗じた3万0240円であると認められ,原告らの主張するように更新後の中途解約に際して解約金を徴収することがその金額に関わらず法9条1号に該当するとはいえないし,本件更新後解約金条項に基づく支払義務の金額である9975円は上記の3万0240円を下回るものであるから,本件更新後解約金条項が法9条1号に該当するということはできない。
⑤ 法10条前段における,民法等の「法律の公の秩序に関しない規定」は,明文の規定のほか,一般的な法理等をも含む。本件は、前段要件は該当する。
⑥ 消費者は本件当初解約金条項に基づき解約権の制限を受けるものの,そのことに見合った対価を受けており,制限の内容についても何ら不合理なものではなく,しかも,被告と消費者との間には,本件当初解約金条項に関して存在する情報の質及び量並びに交渉力の格差が存在するということはできないといえるから,本件当初解約金条項は,法10条後段には該当しない。
⑦ 消費者は,本件契約が更新された後に解約金の支払義務を負うとされることによって解約権の制限を受けるものの,そのことに見合った対価を受けており,制限の内容も不合理なものではないから,本件契約が更新された後における解約金の支払義務を定める条項が,金額を問わず一般的に法10条後段に該当するとはいえない。
 さらに,本件更新後解約金条項における9975円という金額は合理的なものであり,被告と消費者との間には,本件更新後解約金条項に関して存在する情報の質及び量並びに交渉力の格差が存在するということはできないといえるから,本件更新後解約金条項もまた,法10条後段には該当しないと解するのが相当である。

◆ H24.03.16最高裁判決

判決年月日: 2012年3月16日

平成22年(受)第332号 生命保険契約存在確認請求事件
最高裁HP、最高裁判所民事判例集第66巻5号2216頁、裁判所時報1552号153頁、判例タイムズ1370号115頁、金融・商事判例1395号14頁、金融・商事判例1389号14頁、判例時報2149号135頁、判例時報2169号153頁、金融法務事情1948号75頁、金融法務事情1943号76頁、国セン発表情報(2012年11月1日公表)国センHP(消費者問題の判例集)
裁判官 須藤正彦 古田佑紀 竹内行夫 千葉勝美
第1審 H20.12.04横浜地裁判決
控訴審 H21.09.30東京高裁判決
差戻審 H24.10.25東京高裁判決

【事案の概要】
保険料の払込みがされない場合に履行の催告なしに生命保険契約が失効する旨を定める約款の条項の,消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」該当性

【判断の内容】
生命保険契約に適用される約款中の保険料の払込みがされない場合に履行の催告なしに保険契約が失効する旨を定める条項は,(1)これが,保険料が払込期限内に払い込まれず,かつ,その後1か月の猶予期間の間にも保険料支払債務の不履行が解消されない場合に,初めて保険契約が失効する旨を明確に定めるものであり,(2)上記約款に,払い込むべき保険料等の額が解約返戻金の額を超えないときは,自動的に保険会社が保険契約者に保険料相当額を貸し付けて保険契約を有効に存続させる旨の条項が置かれており,(3)保険会社が,保険契約の締結当時,上記債務の不履行があった場合に契約失効前に保険契約者に対して保険料払込みの督促を行う実務上の運用を確実にしているときは,消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」に当たらない。
(反対意見がある。)

◆ H24.03.05東京地裁判決

判決年月日: 2012年3月 5日

平成22年(ワ)第47338号損害賠償請求事件
ウエストロー・ジャパン 判例秘書
裁判官 棈松晴子

【事案の概要】
 被告のマンション建築計画区内にある土地を賃借して,建物を所有し,きしめん屋を経営していた原告が,建物及び賃借権の売却合意をし,きしめん屋を廃業したが,その後,被告が売買契約の締結を拒否したため,廃業に伴う損害が生じたとして,契約締結上の過失を主張して,損害賠償を求めた事案。
 合意書の、マンション計画地の権利者との間の権利調整が不調に終わったときは,原告は損害賠償請求をしない旨の条項の効力が争いとなった。

【判断の内容】
 以下の理由から、損害賠償請求をしない旨の条項は無効であるとして、損害賠償請求を認めた。
① 原告が,消費者契約法2条1項にいう消費者に該当し,被告が,同条2項にいう事業者に該当すること,本件合意書の合意が,同条3項にいう消費者契約に該当することは明らか。
② 本件合意書の同条項は,事業者の債務不履行又は不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項であるから,消費者契約法8条1項3号に該当する条項に当たる。したがって,同条項の被告の責任の全部を免除する合意は無効であるから,被告が,同条項を理由に損害賠償義務を免れるということはできない。

◆ H24.02.29京都地裁判決

判決年月日: 2012年2月29日

平成21年(ワ)第4696号更新料等返還請求事件
消費者法ニュース92号257頁、LLI/DB、国セン発表情報(2012年11月1日公表)
裁判官 松本清隆

【事案の概要】
貸室の賃貸借契約に際し締結した基本清掃料特約(退室時,賃借室の原状復帰における室内清掃料金2万6250円を支払うものとし,基本清掃料を敷金より差し引くものとする)及び更新料特約(期間終了2か月前までに原告被告協議の上更新しうるものとし,賃借人は,賃貸人に,次年度更新料15万円を支払うものとする)が消費者契約法10条により無効か否かが争われた事案。

【判断の内容】
 通常損耗に含まれる汚損の原状回復費用が賃料に含まれないものとして賃料の額が合意されているとみるべき基本清掃料特約は,信義則に反して賃借人の利益を一方的に害するとはいえず,また賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は,更新料の額が高額に過ぎるなど特段の事情がない限り,同法10条には該当しないが,本件賃貸借契約の更新料特約は,契約期間が1年であり,賃借人の負担などからすると,更新料の上限は年額賃料の2割が相当であり,これを超える部分の返還を求める限度で理由があるとした。

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