【レイアウトの手動変更】

レイアウトの種類は目安です。
【レイアウト】と【文字サイズ】を変更し、最適な閲覧環境でご覧ください。


PC・タブレット横に最適
タブレット縦に最適
ファブレット・スマホ横に最適
スマホ縦に最適
※設定は90日間有効です。
×

「不当条項」カテゴリー|消費者契約法判例集

◆ H24.06.29大阪高裁判決

判決年月日: 2012年6月29日

消費者庁HP(PDF)国セン発表情報(2012年11月1日公表)
適格消費者団体 京都消費者契約ネットワーク
事業者 株式会社ジェイ・エス・ビー
第1審 H24.01.17京都地裁判決

【事案の概要】
適格消費者団体が、不動産業者である株式会社ジェイ・エス・ビーに対し、更新料条項が10条により無効であるとして、主位的に、更新料条項を含む意思表示の停止及び同行為に供する契約書用紙の破棄を求め、予備的に、更新期間1年に対する更新料の額が月額賃料の2倍以上の更新料を支払う旨の条項につき、主位的請求と同様に、その意思表示の停止及び同行為に供する契約書用紙の破棄を求めた事案の控訴審。第1審は請求を棄却し、主意的請求について原告が控訴した。

【判断の内容】
控訴棄却。
① 被控訴人が現に使用していた更新料条項の額が高額に過ぎ、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであるか否かを判断するためには、更新料の額、賃料の額、賃貸借契約が更新される期間のほかにも、賃貸借物件の適正賃料額と約定賃料額との対比や、賃借人が支払う賃料や更新料等を含めた総支払額と適正賃料額との対比等の個別具体的な事情を各賃貸借契約ごとに斟酌、検討することが必要となるから、そのような個別具体的な事情を斟酌することなく、一律に上記更新料額が高額に過ぎ、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものとは直ちに断定することができないというべきである。
② 被控訴人が現に使用していた更新料条項において一律に平成23年最判が説示する特段の事情があるとはにわかに認めることができない。

◆ H24.05.30高松地裁判決

判決年月日: 2012年5月30日

平成23年(ワ)第465号解約金返還請求事件
国セン発表情報(2012年11月1日公表)
控訴審 H24.11.27高松高裁判決

【事案の概要】
 原告が、電気通信事業等を営む被告に対し、被告の提供する携帯電話の割引サービス(本件契約)につき、販売時における表示がわかりにくく、4条2項、9条、10条および民法90条に違反しており無効であるとして解約金の返還を請求した。

【判断の内容】
 被告の販売時における表示等によれば、消費者は本件契約が2年間ごとの契約であって契約期間中に解約した場合には契約満了月の翌月を除いて解約金が発生すると理解することが十分可能であり、直ちに消費者を誤信させるものではない。また、解約金の規定についても、パンフレットに明記されていること、不利益となる事実を故意に告げなかったとは認められないこと、原告が通常の料金プランの場合と比較して既に解約金を超える利益を得ていること等の事情からすると、本件契約の規定は消費者の利益を一方的に害するものとはいえず、消費者契約法各条項その他の法律に違反するとは認められないとした。

◆ H24.05.29東京地裁判決

判決年月日: 2012年5月29日

平成23年(ワ)第38990号、第41357号損害賠償請求事件、不当利得返還等反訴請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 井出弘隆

【事案の概要】
 行政書士への在留資格に関する申請書類の作成等の委任契約を解除したことによる報酬の返還請求。いったん納入された料金については理由の如何を問わず返還しない旨の特約が9条1号により無効となるかが争われた。

【判断の内容】
 以下の理由から、一部について返還を命じた。
① 本件不返還条項は、委任者が本件委任契約を解除した場合における損害賠償の予定又は違約金を定める趣旨のものと解することができ、9条1号にあたる。
② 本件における「平均的な損害」とは、本件事務と同種の書類作成等の事務を行政書士に委任した依頼者がこれを解除することによって当該行政書士に一般的、客観的に生ずると認められる損害をいう。
③ 本件では、既払い報酬10万5000円のうち、平均的損害は1万円を超えないとして、9万5000円の返還請求を認めた。
④ なお、10条と9条1号の関係について、9条1号によって無効とならない部分が、10条にいう「民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」に該当しないことは明らかであり、同条適用の要件を欠くものというべきとした。

◆ H24.05.17福岡地裁八女支部判決

判決年月日: 2012年5月17日

平成22年(ワ)第137号、平成23年(ワ)第89号損害賠償請求事件
消費者法ニュース94号357頁
裁判官 秋本昌彦

【事案の概要】
 興信所と調査委任契約を締結した原告から興信所に対する不法行為による損害賠償請求。
 原告が興信所との調査委任契約(基本料金210万円)の2日後に解約を申し出たのに、着手後の解約の場合には一切返金に応じないことを内容とする不返還条項を理由に、被告が返金に一切応じず、返金がない以上契約を継続した方がよいと申し向けたため、原告が契約解除を撤回したことについて、不返還条項が、解除権を不当に制限するものであり10条にあたるか、違約金等条項であり9条1号にあたるかが争われた。

【判断の内容】
 以下の理由から、基本料金210万円のうち、平均的損害を超える部分170万円については無効であり、当該部分について不法行為が成立するとして、損害賠償請求を認めた。
① 本件不返還条項は、直接解約を制限するものではないほか、調査に係る契約締結後に、依頼者が自己の意向にそぐわない結果となった場合等にこれを理由に解約がなされた結果、被告会社が損害を被ることを防止する等の目的を有するものと認められ、調査業務の進展状況や、案件の内容等如何では、必ずしも消費者の利益を一方的に害するとまでは断じがたく、調査中との場合、成功報酬の支払いは省いていることも踏まえると、10条により無効とすべきとまではいえない。
② 本件契約では調査料金については成功報酬が定められておらず基本料金のみで210万円と設定された結果、調査が着手されてしまうと、その着手後数日しか経過していないような場合であっても、その全額が返還されないこととなるが、これは1年の調査期間内において、主に聴き取り調査を実施することを前提に、定められた調査料金全額を解除に伴う損害賠償の額と予定するもの又は違約金として定めるものといえ、事業者に生じる平均的損害を超えるものといえ、当該超過部分については、9条1号により無効となると解する。
③ 本件不返還条項においては、解約の時期や解約事由に応じた区分はされていないところ、諸般の事情から、本件においては40万円を当該平均的損害額とするのが相当であり、210万円から40万円を控除した170万円の返還を認めない部分については無効である。
④ 被告は本件不返還条項の一部が無効であるにもかかわらず、原告からの解約申し入れに対し、これとは異なる説明をして、原告にその旨誤信させ、解約を断念させ、原告の解約する権利を違法に侵害したものであるとして、弁護士費用1割(17万円)を加えて、不法行為による損害賠償請求を認めた。

◆ H24.04.23東京地裁判決

判決年月日: 2012年4月23日

平成23年(レ)第774号不当利得返還請求控訴事件
LLI/DB、ウエストロー・ジャパン
裁判官 戸田久、大野昭子、中野雄壱

【事案の概要】
結婚式のドレス等のレンタル契約を締結し、同日レンタル料を支払ったものの、翌日に解約し、レンタル料の返還を求めた事案。解約料条項として、申込日より5日以内は0%,申込日より6日目以降から挙式日よりさかのぼり125日前までは内金全額,挙式日よりさかのぼり91日前までは衣装総額の80%,それ以降は100%,仮合わせ後,又は挙式日まで61日以内での申込みの場合は衣装総額100%との記載があり、さらに、特別セットプラン,キャンペーンの場合は申込み後(ご署名後)総額100%との約定があった。本件はキャンペーンのものだった。

【判断の内容】
 ドレス等のレンタル契約の成立後,契約を解除された事業者が被る平均的な損害(9条1号)は,当該契約が解除されることによって当該事業者に一般的,客観的に生ずると認められる損害をいうところ,契約成立の翌日にはこれを解約する意思表示がされた本件の場合,契約締結から解除までの実質1日の期間中に,解約による平均的な損害は発生しないとして,違約金条項が9条1号により無効であるとし、レンタル料の返還請求を認めた。

«前の5件 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11


ひとつ前のページにもどる弁護士法人 近江法律事務所|トップページにもどる