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「不当条項」カテゴリー|消費者契約法判例集

◆ H24.11.12大阪地裁判決

判決年月日: 2012年11月12日

平成23年(ワ)第13904号契約解除意思表示差止等請求事件
最高裁HP消費者庁HP(PDF)消費者支援機構関西HP、金融・商事判例1407号14頁、判例時報2174号77頁、判例タイムズ1387号207頁
裁判官 松田亨、西村欣也、諸井明仁
適格消費者団体 消費者支援機構関西HP
事業者 株式会社明来

【事案の概要】
 適格消費者団体が、不動産賃貸業を営む事業者である被告に対し、被告の使用する賃貸借契約書の条項が法9条各号又は10条に該当するとして、法12条3項に基づき、同契約書による意思表示の差止め、契約書用紙の破棄並びに差止め及び契約書破棄のための従業員への指示を求めた事案。

【判断の内容】
① 法41条1項に基づく事前請求があったか
 本件事前請求は、本件旧契約書の条項数を示しているものの、その請求内容としては、本件請求の内容の意思表示の差止めを求めたものである。そして、原告は、本件事前請求と同一内容の本件訴訟を提起しているのであるから、本件事前請求が法41条1項の事前請求に該当し、本件訴えが適法であるといえる。
② 本件請求は12条の2第1項(不当な目的に出た請求)又は23条2項(差止請求の濫用)に当たらない。
③ 別紙契約条項目録記載の契約条項について、被告に意思表示を行うおそれがあるか
 被告は、本件旧契約書を改訂し、本件新契約書のひな型には当該(争われている)条項が印刷されていないことや被告の訴訟態度から、(記載されている条項について意思表示を被告が行うそれはあるとして)記載されていない条項については意思表示を被告が行うおそれはないというべきである。
④ 事業者である賃貸人に対して消費者である賃借人との間で建物の賃貸借契約を締結する際の契約条項の差止め等を求める適格消費者団体の請求は、当該契約条項のうち、賃借人が後見開始ないし保佐開始の審判を受け、あるいは、その申立てを受けた場合に賃貸人が賃貸借契約を解除することができる旨の条項に係る部分については、当該契約条項が消費者契約法10条に該当する以上、賃貸人が賃貸借契約を締結する際にその旨の意思表示を行ってはならないことおよび当該意思表示が記載された契約書ひな形が印刷された契約書用紙を廃棄することを求める限度で、その請求に理由があるが、賃貸人の従業員に対するその旨の指示を求める請求およびその余の契約条項に係る請求については、いずれもその理由がない。

◆ H24.10.25東京高裁判決

判決年月日: 2012年10月25日

平成24年(ネ)第2459号生命保険契約存在確認請求控訴事件
金融商事判例1404号16頁、判例タイムズ1387号266頁、LLI/DB
裁判官 齋藤隆、一木文智、春名茂
第1審 H20.12.04横浜地裁判決
控訴審 H21.09.30東京高裁判決
上告審 H24.03.16最高裁判決

【事案の概要】
 無催告失効条項が消費者契約法10条に違反せず、復活の申込不承諾が信義則違反ないし権利の濫用に当たるとはいえないとした事例。
 H24.03.16最高裁判決の差し戻し審。

【判決要旨】
 本件保険契約においては、保険料の不払いにより直ちに契約が失効するものではなく、本件猶予期間条項により払込期月の翌月の末日までの1ヵ月間に債務不履行が解消されない場合に初めて当然失効すること、その猶予期間も、金銭債務の不履行について民法541条を適用する場合に通常求められる催告期間が通常は数日から1週間程度にとどまるのに対比して、1ヵ月と長く定められていること、不払いのまま上記猶予期間が経過しても、払い込むべき保険料と利息の合計額が解約返戻金を超えない場合に本件自動貸付条項により契約の存続を図るなど、保険契約者の保護のための方策が採られているのであって、一概に履行の催告を不要としている点だけを捉えて、保険契約者の利益を一方的に害するとするのは相当ではない。
 履行の催告は、債務者に対して債務不履行の状態にあることを知らしめてその履行を促し、契約の存続を図る機会を与えるための制度であるから、保険契約者に対して契約の失効を防ぐための配慮をする一方、形式的には催告に当たらなくとも、その前段階である債権管理の場面で保険料の支払いを怠った保険契約者に対して債務不履行の状態にあることを知らしめて契約の失効を防ぐための方策を講じていることになるので、本件失効条項をもって信義則に反するものとすることはできない。
 保険契約者は、毎月の保険料を支払う経済力があるとの前提で保険に加入したはずであって、未納保険料が発生した場合のこれに対する督促の態勢の整備およびその実務上の運用の確実性は、保険契約者が保険料支払債務の不履行があったことに気付くことができる程度に整えられ、かつ、確実に運用されることをもって足りると解されるから、保険料の支払督促を受けてから払込猶予期間内の振替日まで7日程度の時間的余裕がある本件において、未納通知書の送付から振替日ないし支払猶予期間満了日までの期間が不当に短いとはいえない。
 本件各保険契約の3度目の失効直前に被控訴人の営業担当者があえて控訴人方へ集金に赴かなかったことを考慮しても、被控訴人との間で締結した保険契約を過去に2度失効させ、3度目の失効により生じる不利益を十分知りながら、あえて払込猶予期間中に保険料の支払いをしなかった控訴人による復活の申込を不承諾としたことが、被控訴人による信義則違反ないし権利の濫用に当たるとはいえない。

◆ H24.10.23最高裁決定

判決年月日: 2012年10月23日

平成23年(受)第1698号
決定写し(PDF、ひょうご消費者ネットHP)
裁判官 岡部喜代子、田原睦夫、大谷剛彦、寺田逸郎、大橋正春
適格消費者団体 ひょうご消費者ネット
事業者 株式会社ジャルパック(旧商号株式会社ジャルツアーズ)
第1審 H22.12.08神戸地裁判決
控訴審 H23.06.07大阪高裁判決

【事案の概要】
適格消費者団体が、旅行業を営む株式会社ジャルツアーズに対し、株式会社日本航空インターナショナル(JAL)の発行する企業ポイントにより旅行代金等が決済された後の契約の取消しないし変更があった場合に、同企業ポイントの返還をしない旨の条項が、被告と消費者との間で締結する企画旅行契約における契約条項となっており、消費者契約法第10条及び第9条第1号に違反して無効であるとして、本件条項を含む契約の締結の差止め等を求めた事案。契約条項とならない等として請求を棄却した控訴審判決に対する上告受理申立。

【判断の内容】
上告不受理。

◆ H23.08.18東京地裁判決

判決年月日: 2011年8月18日

平成22年(ワ)第41347号保険金請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 志田博文、杉本宏之、後藤隆大

【事案の概要】
 責任開始期から2年以内の自殺は免責される旨及び保険契約が失効の後、復活した場合の責任開始期は、被告が延滞保険料を受け取った日とする旨の特約がある生命保険契約において、保険料猶予期間の末日の経過により保険契約が失効するとする本件失効条項に基づき失効し、復活条項に基づく復活による責任開始日から2年以内に自殺した被保険者の妻である原告が、被告に対し、生命保険金の支払等を求めた事案。本件失権条項が10条により無効となるかが争われた。

【判断の内容】
 以下の理由から本件失権条項が無効であるとして請求を認めた。
① 本件失権条項は、10条前段要件を満たす。
② 後段要件について、保険契約の継続という利益は消費者にとって極めて重要。他方、民法が履行遅滞による解除権の発生に相当期間を定めた履行の催告を要求する趣旨は、契約が解除されるという不利益を受ける前に債務者に履行の機会を付与する点にあるところ、本件保険契約における履行の催告は消費者にとって極めて重要な利益。そして、保険会社の利益は、通知コストの軽減という付随的な利益にとどまる。
 従って、消費者契約である生命保険契約に付された履行の催告及び解除の意思表示を不要とする特約は,通知コストの軽減という付随的な利益のために保険保護の継続という保険契約における本質的な利益を制限するものであり,保険料の支払が口座振替によりなされる旨合意されている場合には,保険契約者が履行遅滞にあることや保険契約が失効したことを確定的に認識しうる措置等保険保護された状態を維持しうるような措置がとられているなどの特段の事情のない限り,信義則に反して消費者である保険契約者の利益を一方的に害するものとして,消費者契約法10条により無効となると解するのが相当。
③ 本件の猶予期間の定め、自動振替貸付制度の定め、復活条項は前記特段の事情を肯定する事情としては足りない。催告の実質を有する特則通知書を送付する社内体制となっていることだけでは、催告を不要とする根拠となるとはいえない。

◆ H23.08.02西宮簡裁判決

判決年月日: 2011年8月 2日

消費者法ニュース90号186頁、国セン発表情報(2012年11月1日公表)

【事案の概要】
 原告は、被告と建物(本件居室)の賃貸借契約(本件賃貸借契約)を締結した。本件賃貸借契約には、預託された敷金50万円から無条件に40万円を控除するという敷引特約(本件敷引特約)があったことから、原告は、被告に対して、本件敷引特約は法10条に反すると主張し、敷金の返還を請求した。

【判断の内容】
 本件敷引特約は、敷引率が80%と高率であり、かつ、月額賃料の約4.3倍になることからすると、敷金授受目的を超えるもので高額に過ぎると評価せざるを得ず、高額な敷引金を許容する特段の事情は認めがたい。ただし、本件については、①被告は敷引金40万円以外には、更新料及び礼金等の金銭を原告から徴収していないこと、②賃借期間が6年間であったこと、③原告は、本件賃貸借契約に先立ち、本件敷引特約について説明を受け、その趣旨を十分に理解した上で本件賃貸借契約を締結していること等の事情が認められるところ、これらの事情は、敷引額を考慮する合理的な理由と認めるのが相当である。以上の事情からすると、本件敷引特約については、月額の3カ月分が相当な敷引金の範囲と解するのが相当であり、それを超える額については、敷金の性質からして、一般消費者である原告の利益を一方的に害する特約として、法10条に反して無効である。

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