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「不当条項」カテゴリー|消費者契約法判例集

◆ H25.04.19東京地裁判決

判決年月日: 2013年4月19日

平成25年(ネ)第3187号損害賠償請求控訴事件
ジュリスト1462号128頁,判例秘書
裁判官 三角比呂,足立堅太,高畑桂花
控訴審 H25.09.18東京高裁判決

【事案の概要】
 スイスの銀行に口座を有する日本人が銀行から勧誘を受けて株式を購入させられたことが適合性原則違反,説明義務違反に当たるとして不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を日本の裁判所に提起した事案。スイスの裁判所を専属管轄とする国際的専属的裁判管轄の合意について消費者契約法10条が適用されるかについて争われた。

【判断の内容】
 以下の理由から,本件管轄の合意について10条該当性を判断しつつ,無効とならないとして,訴えを却下した。
① 国際裁判管轄の合意の効力に関する準拠法は,法廷地法である日本法であると解するのが相当であり,法例7条は適用されない。
② 原告らは一個人であって,事業として又は事業のために契約の当事者となったものではなく,被告は法人であるから,本件管轄合意は,消費者契約に該当し,10条が適用されるというべき。
③ 本件管轄合意の内容は,確かに原告らに常居所国における訴訟追行を認めないという点で,原告らに不利益を被らせるものではあるが,原告らの資力からすれば,チューリッヒで訴訟追行をすることが著しく困難で,看過し難い損害を受けるとは認められないこと,また,本件管轄合意は,その内容,成立経緯などに照らし,被告が,原告らとの間の情報や交渉力の格差を利用して,殊更原告らに一方的に不利益な内容の合意をさせたなどの事情も認められない。
④ 以上の本件における一切の事情を総合すると,本件管轄合意は,消費者契約法の趣旨に照らし,なお原告らの利益を一方的に害し,信義則上原告らと被告との間の衡平を損なう程度に原告らの保護法益を侵害するとはいえず,10条に違反しない。

◆ H25.03.29大阪高裁判決

判決年月日: 2013年3月29日

平成24年(ネ)第2488号解約違約金条項使用差止請求、不当利得返還請求控訴事件
消費者庁HP(PDF)判決写し(PDF、京都消費者契約ネットワークHP)
裁判官 小島浩、三木昌之、橋本都月
適格消費者団体 京都消費者契約ネットワーク
事業者 KDDI株式会社
第1審 H24.07.19京都地裁判決

【事案の概要】
 適格消費者団体が、携帯電話会社に対し、消費者が二年間の定期契約を契約期間の途中に解約する際に解約金を支払うことを定める契約条項が、9条1号及び10条により無効であると主張して、12条3項に基づき、条項使用差し止めを求め(第1事件)、解約金の不当利得返還請求を求める事案(第2事件、第3事件)で、第1審は請求を一部認容した。控訴審。

【判断の内容】
一審を取消し、適格消費者団体の請求を棄却した。
① 法第9条第1号は、債務不履行の際の損害賠償請求権の範囲を定める民法第416条を前提とし、その内容を定型化するという意義を有するから、同号の損害は、民法第416条にいう「通常生ずべき損害」であり、逸失利益を含むと解すべきである。
② 平均的な損害の算定方法については、当該条項すなわち契約に定められた解除事由、時期等により同一の区分に分類される同種の契約における違約による損害の平均値を求めることによって算定すべきであり、当事者が設定した区分を裁判所がさらに細分化することを認める趣旨とは解されない。
③ 本件定期契約は、2年間の期間の定めのある契約であり2年間継続して使用されることを基本的条件として、基本使用料、通話料等が設定されているものと認められるところ、本件解約金条項は、2年間という期間を一つの区分とし、その契約が解除されたことによる損害をてん補するものは本件解約金条項のほかにはないということができるとし、平均的な損害の算定の基礎となる損害額について、本件定期契約が中途解約されることなく契約が期間満了時まで継続していれば被告が得られたであろう通信料収入等(解約に伴う逸失利益)を基礎とすべき。
④ 10条後段該当性については、本件定期契約において、社会通念上著しい長期間にわたって解約を制限するものではなく、解約金が法第9条第1号の平均的な損害を超えるものでないこと、契約者は、通常契約と比較した上で、本件定期契約を選択することができ、しかもその場合基本使用料割引の利益を受けられることからすると、本件解約金条項が、信義則に反して消費者の利益を一方的に害する条項であるとはいえず、法第10条後段に該当しない。
⑤ 本件定期契約の更新は、新規の契約締結と同様の効果を有するものであるから、更新後においても、本件解約金条項が法第10条後段に該当することはない。

◆ H25.03.28東京高裁判決

判決年月日: 2013年3月28日

平成24年(ネ)第5480号消費者契約法12条に基づく差止請求控訴事件
消費者機構日本HP(判決写しあり),判例時報2188号57頁,判例時報2214号156頁
裁判官 市村陽典、團藤丈士、菅家忠行
適格消費者団体 消費者機構日本
事業者 三井ホームエステート株式会社
第1審 H24.07.05東京地裁判決

【事案の概要】
適格消費者団体が,不動産賃貸業者に対し,①更新料の支払を定めた条項及び②契約終了後に明渡しが遅滞した場合の損害賠償額の予定を定めた条項が9条1号及び10条に規定する消費者契約の条項に当たると主張して,消費者契約法12条3項に基づき,その契約の申込み又は承諾の意思表示の停止及び契約書用紙の破棄並びにこれらを従業員に周知・徹底させる措置をとることを求めた事案の控訴審。

【判断の内容】
控訴棄却。
① (更新料について)契約書上、本件更新料は、賃貸借契約を締結する際に、賃貸人が、普通借家契約を選択することにより、法定更新制度を背景に自らの選択により契約期間を更新できる地位を取得し、契約期間満了時において、賃貸借契約の継続を選択する利益が具体化した場合に、その具体化した利益、すなわち、賃貸借契約を継続することの対価として支払われるものとされているものであるから、その根拠が不明確であるとは認められない。
 額が不当に高すぎるという特段の事情はない。契約締結について賃貸人と賃借人との間に情報の質、量、交渉力の格差があるとは認められない。 
② (倍額賠償予定条項について)
 本件倍額賠償予定条項は、契約解除時においては損害発生の有無自体が不明であるから、9条1号にいう損害賠償額を予定し又は違約金を定める条項であると解することは相当でない。
 本件倍額賠償予定条項には合理性があり、額も高額に過ぎるというものではない。

◆ H25.02.22大阪簡裁判決

判決年月日: 2013年2月22日

平成24年(ハ)第17022号損害賠償請求事件(本訴)、第35076号損害賠償請求事件(反訴)
消費者法ニュース96号362頁
裁判官 鈴本浩一郎

【事案の概要】
 幼児の保護者が幼稚園と入園契約を締結し、入園金5万円を支払った後、入園式の直前になって授業料の値上げと入園式の日程変更を幼稚園が通知したことから、入園を取りやめ、既払いの入園金や授業料の返還を求めたところ、入園金はいかなる理由があっても返金しないとの条項の存在を理由に入園金5万円の返還を受けられなかったことから、その返還を求めて提訴した事案。不返還条項が10条により無効となるかが争われた。

【判断の内容】
 以下の理由から返還請求を認めた。
① 本件入園金の法的性質は、入園金の支払が契約成立の条件となっており、また、他の幼稚園への入園を前提とする解除権が留保されていることをうかがわせる事情が認められないから、入園しうる地位の対価としての性質を認めることは困難。しいていえば、一方的に入園辞退することを回避するための手付金に類する性質を有する。
② 本件不返還合意は、被告側の帰責事由がある場合にも有効とすれば社会通念に鑑みて相当性を欠く場合があるといわざるを得ず、被告側の有責的事情が原因で当該入園希望者が入園を辞退することに合理的な理由がある場合には、本件不返還合意は信義則に反し、10条後段要件を満たすから、そのような場合は変面的に無効となり効力が及ばないというべき。
③ 本件では、授業料の値上げ、入園式の日程変更のいずれも被告側の有責的事情といえ、原告の契約解約申し入れには相応の合理性があり、本件不返還合意の効力は及ばない。

◆ H25.01.25大阪高裁判決(H25.02.05更正決定)

判決年月日: 2013年1月25日

平成24年(ネ)第281号解約金条項使用差止請求、解約金請求、解約金返還請求、不当利得返還請求控訴事件、平成24年(ネ)第941号 同附帯控訴事件
消費者庁HP(PDF)判決写し(PDF、京都消費者契約ネットワークHP)、判例時報2187号30頁
裁判官 山田知司、水谷美穂子、和久田道雄
適格消費者団体 京都消費者契約ネットワークHP
事業者 株式会社セレマ、株式会社らくらくクラブ
第1審 H23.12.13京都地裁判決

【事案の概要】
適格消費者団体が冠婚葬祭の相互扶助や儀式設備の提供等を業とする株式会社セレマ及び旅行業や相互扶助的冠婚葬祭の儀式施行に関する募集業務等を業とする株式会社らくらくクラブに対し、①被告セレマ及び被告らくらくが消費者との間で締結している互助契約又は積立契約において、それぞれ契約解約時に支払済金額から「所定の手数料」などの名目で解約金を差し引くとの条項を設けていることに関し、同条項は消費者契約法第9条第1号又は同法第10条に該当するものであり、消費者に対し解約金を差し引くことを内容とする意思表示を行わないこと、②①が記載された契約書雛形が印刷された契約書を破棄すること、③従業員らに対し、①の意思表示を行うための事務を行わないこと及び②の契約書の破棄を指示することを求めた事案の控訴審。

【判断の内容】
(セレマについて)
① 本件互助契約は、消費者が将来行う冠婚葬祭に先立って、所定の月掛金を前払いで積み立てることにより、消費者は冠婚葬祭の施行を受ける権利を取得し、被告セレマは、消費者の請求により冠婚葬祭の施行をする義務を負う役務提供契約であって、同被告は、消費者から冠婚葬祭の施行の請求を受けて初めて、当該消費者のために冠婚葬祭の施行に向けた具体的な準備等を始めるものである。すると、具体的な冠婚葬祭の施行の請求がされる前に本件互助契約が解約された場合には,損害賠償の範囲は原状回復を内容とするものに限定されるべきであり、具体的には契約の締結及び履行のために通常要する平均的な費用の額が、法第9条第1号の「平均的な損害」となるものと解される。
② 平均的な費用(経費)の額というのは、現実に生じた費用の額ではなく、同種契約において通常要する必要経費の額を指すものというべき。ここでいう必要経費とは、契約の相手方である消費者に負担させることが正当化されるもの、すなわち、性質上個々の契約(消費者契約)との間において関連性が認められるものを意味するものと解するのが相当である。
③ 本件互助契約において「平均的な損害」に含まれるものは、個々の契約との関連性が認められ、会員の管理に要する費用として同業他社でも通常支出しているものと考えられる、月掛金を1回振り替える度に被告セレマが負担する振替手数料58 円と振替不能となった場合の通知の送付費用2円を合わせた60 円、並びに年2回の「全日本ニュース」及び年1回の入金状況通知の作成・送付費用14.27 円(1件月当たりの金額1年当たりの金額)ということになる。
④ したがって、被告セレマは、消費者との間で、冠婚葬祭の互助会契約を締結するのに際し、消費者が冠婚葬祭の施行を請求するまでに解約する場合、解約時に支払済み金額から「所定の手数料」などの名目で、60 円に第1回目を除く払込みの回数を掛けた金額及び14.27 円に契約月数契約年数を掛けた金額を超える解約金を差し引いて消費者に対し返金する旨を内容とする意思表示を行ってはならない。

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