【レイアウトの手動変更】

レイアウトの種類は目安です。
【レイアウト】と【文字サイズ】を変更し、最適な閲覧環境でご覧ください。


PC・タブレット横に最適
タブレット縦に最適
ファブレット・スマホ横に最適
スマホ縦に最適
※設定は90日間有効です。
×

「不当条項」カテゴリー|消費者契約法判例集

◆ H23.10.27東京地裁判決

判決年月日: 2011年10月27日

平成22年(ワ)第13457号敷金返還等請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 和久田道雄

【事案の概要】
 マンションの貸室を目的とする賃貸借契約に関し、同貸室を退去した原告(当時司法修習生、現在弁護士)が、賃貸人である被告に対し、造作買取請求権不行使特約、礼金及び更新料の各支払特約、敷金から清掃費用を控除する旨の特約は消費者契約法10条に反し、無効であるとして、造作買取代金の支払、各既払金員相当額の不当利得返還、敷金のうち返還を受けた部分を除いた残額等の各支払を求めた事案。

【判断の内容】
 以下の理由から、いずれも請求を棄却した。
① 造作買取請求権排除条項、礼金条項、更新料条項について、当該条項が信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであるか否かは,消費者契約法の趣旨,目的(同法1条参照)に照らし,当該条項の性質,契約が成立するに至った経緯,消費者と事業者との間に存する情報の質及び量並びに交渉力の格差その他諸般の事情を総合考慮して判断されるべき。
 本件条項は、いずれも内容が一義的に明確であり、金銭的負担を明確に意識した上で契約条件を比較検討して選択することが可能であったから、信義則に反して消費者である原告の利益を一方的に害するものということはできない。
② 賃貸人は契約終了時に使用状況,清掃状況にかかわらず,清掃費用7万2093
円を敷金から控除するとの条項(敷引条項)について、消費者契約である住居用建物の賃貸借契約に付された敷引特約は,当該建物に生ずる通常損耗等の補修費用として通常想定される額,賃料の額,礼金等他の一時金の授受の有無及びその額等に照し,敷引金の額が高額に過ぎると評価すべきものである場合には,当該賃料が近傍同種の建物の賃料相場に比して大幅に低額であるなど特段の事情のない限り,信義則に反して消費者である賃借人の利益を一方的に害するものであって,消費者契約法10条により無効となると解するのが相当。
 本件の場合、経過年数(4年)、賃料額、礼金額、更新料額を考慮しても、敷引金の額が高額に過ぎると評価することはできず、無効とはいえない。

◆ H23.10.24東京地裁判決

判決年月日: 2011年10月24日

平成22年(ワ)第12243号保証金返還等請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 武藤真紀子

【事案の概要】
 建物賃貸借契約の終了に基づく保証金返還請求。保証金償却条項が10条違反に当たるかが争われた。

【判断の内容】
 10条の「消費者契約」とは,消費者と事業者との間で締結される契約をいうと定義されるが(2条3項),個人であっても,事業として又は事業のために契約の当事者となる場合は「消費者」に該当しない(2条1項)ものであるところ,原告は,本件建物をクラブとして使用する目的で賃借し,現に,本件建物においてクラブを営業していたのであって,事業のために本件賃貸借契約を締結したものであるから,本件賃貸借契約は10条にいう「消費者契約」とはいえず,原告の主張は前提を欠くとして、消費者契約法は適用されないとした。

◆ H22.09.28東京地裁判決

判決年月日: 2010年9月28日

平成21年(ワ)第23889号入居金返還請求事件
判例時報2104号57頁
裁判官 綿引穣、佐藤重憲、金洪周

【事案の概要】
 介護付有料老人ホームの入居契約をしたところ、入居者(母)が1年10カ月後に死亡した。入居時に、入会金として105万円、施設協力金として105万円、入居一時金として1155万円を支払っており、入居一時金は20%を契約締結時に、残り80%は5年間で償却するとされていた。入居金、入居一時金が10条違反である等として、返還を受けた金額との差額の返還請求をした事案。

【判断の内容】
請求棄却。
① 本件入居金の額、使途及び償却基準等は、東京都の指針に従っており、都知事から事業者指定を受けている。入居金を徴収することや、契約締結時に20%を償却することは都の指針もこれを前提とする規定を置いている。
② 入居金の使途、額の算定の仕方、償却期間の設定状況、短期間で死亡した場合の定めがあり、その説明を受け署名していることなどからは、入居一時金の償却は民法、商法その他の規定が適用される場合に比して消費者の利益を害するものではなく、10条にはあたらない。

◆ H22.09.16神戸地裁判決

判決年月日: 2010年9月16日

平成22年(レ)第183号違約金請求控訴事件
未登載
裁判官 栂村明剛,木太伸広,藪田貴史
原審 神戸簡裁平成21年(少コ)第116号

【事案の概要】
結婚式及び結婚披露宴を開催する契約を締結し、同結婚式等で使用する予定であったウェディングドレスの売買契約(セミオーダー)もあわせて契約した。このドレス売買契約については、契約してから10日までは自由にキャンセルできるが、それ以降のキャンセルの場合、売買代金100%の違約金が発生するという条項があり、その点についての確認書が取られていた。
ところが、結婚式等当日の84日前,ドレス契約日から35日後に,消費者の申出により結婚式等の開催契約が解除された。
そこで、結婚式場が、主位的に売買代金請求、予備的に違約金請求として,売買代金(ないし違約金)31万5000円の支払を求めた。

【判断の内容】
結婚式場が、本件ドレスの製作代金としてメーカーに支払った金額は,11万3400円であり、それ以上の積極的損害を何ら具体的に主張していないことにも鑑みると,結婚式場に生じた本件ドレス契約の効力喪失に伴う積極的損害はそれに尽きているとみることができる。
本件ドレスの発注についても実質的にはメーカーと消費者との間を媒介しているにすぎないとみられることから,メーカーからの仕入代金と本件ドレスの代金との差額を逸失利益として結婚式場に生ずべき平均的な損害に算入することは相当ではないとし、本件ドレス契約の解除に伴い結婚式場に生ずべき平均的な損害額は,結婚式場がメーカーに対して支払った金額と同額の11万3400円であると認めるのが相当である。
したがって,本件取消料条項のうち11万3400円を超える額の違約金の部分は、9条1号により無効。

◆ H22.08.31大阪高裁判決

判決年月日: 2010年8月31日

平成21年(ネ)第2785号債務不存在確認等請求控訴事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 紙浦健二、川谷道郎、宮武康
第1審 大阪地裁平成21年(ワ)第113号

【事案の概要】
 5年間で償却する約定で600万円の入居金を支払って被控訴人の高齢者用介護サービス付賃貸マンションに母親を入居させていた控訴人が、2年後、賃貸借契約の終了に伴い、入居金の返還を求めた事案。入居金の償却条項が10条により無効となるかが争われた。

【判断の内容】
 以下の理由から10条により入居金の焼却場公は無効であるとして返還請求を認めた。
① 本件入居金の法的性格は、賃貸借契約から生ずる控訴人の債務の担保、医師及び看護師による24時間対応体制が整った居室への入居の対価及び入居後の医師・看護師らによるサービスの対価としての性格を併有する。
② 本件マンションには被控訴人が宣伝していたような24時間対応体制の実態はなく、被控訴人が対価に相当するサービスを提供していないのに1年毎120万円を取得することは、民法の一般規定による場合と比較して消費者である控訴人の権利を制限するものであるから、本件約定は10条により無効である。

«前の5件 9  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19


ひとつ前のページにもどる弁護士法人 近江法律事務所|トップページにもどる