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検索結果〔1〕|消費者契約法判例集

 タグ「9条1号」が付けられているもの

135件中 1-135件

◆ H26.08.07京都地裁判決

判決年月日: 2014年8月 7日
2014年12月14日 公開

平成23年(ワ)第3425号結婚式場解約金条項使用差止等請求事件
ウエストロー・ジャパン,京都消費者契約ネットワークHP(判決あり,PDF)消費者庁HP(PDF)
裁判官 栂村明剛,武田美和子,阿波野右起
適格消費者団体 京都消費者契約ネットワーク
事業者 株式会社Plan・Do・See

【事案の概要】
 婚礼及び披露宴に関する企画及び運営等を業とする会社に対し、結婚式場のキャンセル料を定める条項が9条1号により無効となるとして,キャンセル料条項の使用差止め及び同条項が記載された契約書用紙の破棄を求めた事案。

【判断の内容】
 以下の理由から,原告の請求を棄却した。
① 本件申込金の不返還条項は9条1号の対象となる。
② 「平均的損害」には,逸失利益が含まれる。
③ 90日前以前に解除されたとしても,逸失利益は生じ,その後の再販売により代替的な利益を確保できたとしてもそれは損益相殺の問題。
④ 本件平均的損害は,以下の計算式により算定するのが相当。
  本件平均的損害=本件逸失利益ー損益相殺すべき利益
   =(解除時見積額の平均×粗利率)ー(解除時見積額の平均×粗利率×再販率)
   =解除時見積額の平均×粗利率×(1ー再販率)
   =解除時見積額の平均×粗利率×非販売率
  これによると,本件キャンセル料は,損益相殺後の本件逸失利益を下回っている。したがって,平均的損害額を超えない。

◆ H26.04.24大分地裁判決

判決年月日: 2014年4月24日
2014年12月14日 公開

平成24年(ワ)第499号違約金条項使用差止等請求事件
大分県消費者問題ネットワークHP(判決文あり,PDF)
消費者庁HP(PDF)
適格消費者団体 大分県消費者問題ネットワーク
事業者 北九州予備校(学校法人金澤学園)

【事案の概要】
 中途退学時の学費返還は原則として行わないとした契約条項が9条1号により無効となる等として,大学受験予備校に対し当該条項の差し止めを求めた事案。

【判断の内容】
 以下の理由から,当該条項の使用の差し止めを命じた。
① 当該予備校では,年度途中の入学を予定しており,現に途中で入学する者もいて,その際の入学試験もない。
② 当該予備校では,定員に達していない校舎も,定員に達した校舎も,定員数に縛られることなく新入生を受け入れている。
③ したがって,一人の希望者との間で在学契約を締結したために別の一人の希望者との在学契約締結の機会が失われたといった関係はおよそ認められない。
④ そうすると,いったん在学契約を締結した者が後にこれを解除した場合,これによりいくらかの損害を受けることはあり得るとしても,中と入学者を受け入れること,その他の対策を講じることは十分に可能であり,少なくとも,本件不返還条項が定めるような,当該消費者が納付した解除後の期間(いまだ役務を提供していない機関)に対応する授業料の全額について,一般的客観的に損害を被ることにはならないというべき。

◆ H25.07.11大阪高裁判決

判決年月日: 2013年7月11日
2013年9月8日 公開

平成24年(ネ)第3741号解除料条項使用差止請求控訴事件
消費者庁HP(PDF)、金融商事判例1423号9頁、ウエストロー・ジャパン
適格消費者団体 京都消費者契約ネットワーク
事業者 ソフトバンクモバイル株式会社
第1審 H24.11.20京都地裁判決

【事案の概要】
適格消費者団体が,電気通信事業等を営む事業者に対して,2年間の契約期間の定めのある携帯電話通信契約を中途解約する際に解除料として9975円の支払義務があることを定める条項が消費者契約法9条1号・10条に反するとして同条項の使用の差止めを求めたもの。1審が原告の請求を棄却し、原告が控訴していたもの。

【判断の内容】
 控訴棄却。
 本件解除金条項が法第9条第1号により無効であるかどうかについて、本件解除金条項が、「解除に伴う損害賠償の額の予定」又は「違約金」に該当するとした上で、本件解除料が法第9条第1号にいう平均的な損害を越えるか否か判断するに際しては、被告の設定した契約期間である2年間の中途における解除という時期の区分を前提に、本件契約の解除に伴い、被告に生じる損害の額の平均値を求め、これと本件解除料の比較を行えば足りるとし、法第9条第1号は、債務不履行の際の損害賠償請求権を定める民法第416条を前提とし、その内容を定型化するという意義を有するから、同号の損害は、民法第416条にいう「通常生ずべき損害」であり、逸失利益を含むと解すべきであるとした。本件契約の解除に伴って被告に生じる平均的な損害のうち、主なものは、これによって被告が失う逸失利益であり、その額は、被告と本件契約を締結した契約者の平均収入から変動コストを除いて算出される変動利益(1契約当たり平均の営業上の利益(1か月当たり))に、本件契約の契約期間である2年間から、被告と本件契約を締結した契約者の平均解約期間を除いた解除後の平均残存期間を乗じた47,689円が平均的な損害に当たるとし、これは、本件解除料を超える金額となるため、本件解除条項は、法第9条第1号に反しないと判断した。
 本件解除金条項が法第10条により無効であるかどうかについては、本件契約は、民法上の請負や委任に類似する性格を有しており、本件解除料条項は、本件契約が解除された場合には、原則として、当該契約における顧客との関係で被告に具体的に生じる損害の額にかかわらず、一律に、一定の金員(本件解除料)の支払義務を課す点において、民法の一般法理に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重するものとなる余地があるとして、法第10条前段の要件に該当するとした上で、被告から顧客に対して確認書等により十分な説明が行われており、通常は、顧客もこれを理解した上で、被告の提供するサービスの中から、本件料金プランを選択した上で本件契約を締結しているということができるのであり、本件解除料条項に関して、事業者と消費者との間に、看過できないような情報の質及び量並びに交渉力の格差等があるということはできず、さらに、本件解除料は、本件契約の解除によって被告に生じる平均的な損害の額を下回っている上、本件料金プランは、基本使用料等の面で、他の料金プランより優遇されており、かつ更新月においては、本件解除料を支払うことなく契約を解除することができるとの事情が存在するのであるから、このような本件契約の特質等に鑑みても、本件契約における本件解除料条項が、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであるということはできないとして、法第10条後段の要件には該当しないと判断した。
 また、更新後の解除料についても当初の解除料と同様に法第9条第1号及び第10条に反しないと判断した。

◆ H25.07.03大阪地裁判決

判決年月日: 2013年7月 3日
2014年2月15日 公開

平成24年(レ)第1005号不当利得返還請求控訴事件
消費者法ニュース97号348頁
裁判官 黒野功久、浦上薫史、札本智広
第1審 東大阪簡裁平成24年(ハ)第521号

【事案の概要】
 消費者が、飼い犬を亡くなるまで施設に預けるという契約をしたが、その約1カ月後に当該契約を解約して費用の返還を求めたところ、契約書に「契約後の返金はできません」との不返還条項があることを根拠に返還を拒んだ事例。不返還条項が9条1号により無効となるかが争われた。

【判断の内容】
 以下の理由から,9条1号により無効となるとして,請求を認めた。
① 本件不返還条項は,本件終身預かり契約解除に伴う損害賠償額の予定又は違約金の定めに当たる。
② 平均的損害の主張立証責任は消費者側にある。
③ 本件代金の算定は,犬の大きさ,年齢,健康状態が考慮され,余命から預かる期間を想定していたところ,期間満了前に代金を返還する場合,利潤の一部を失ったり,解除の有無にかかわらず支出を避けられない経費の財源を失うことにはなるが,他方,えさ代等の支出を免れるし,新たな取引も十分可能。
④ この他,本件契約の他の定めを考慮すれば,本件代金の一部については平均的損害の額を超えるものと認められ,この範囲で本件不返還条項は無効。

◆ H25.04.26京都地裁判決

判決年月日: 2013年4月26日
2013年5月27日 公開

平成23年(ワ)第3426号結婚式場解約金条項使用差止等請求事件
京都消費者契約ネットワークHP(PDF)消費者庁HP(PDF)
適格消費者団体 京都消費者契約ネットワーク
事業者 株式会社ベストブライダル

【事案の概要】
 適格消費者団体が、結婚式場等の企画、運営等を業とする被告に対し、被告が不特定かつ多数の消費者との間で、キャンセル料条項が、9条1号により無効であるとして、上記契約条項を内容とする意思表示の差止め等を求めた事案。

【判断の内容】
 請求棄却。
① 本件キャンセル料条項は、9条1号にいう違約金等条項にあたる。
② 平均的損害の算定方法について、9条1号は、民法第416条を前提としその内容を定型化するという意義を有し、同号にいう損害とは、民法第416条にいう「通常生ずべき損害」に対応するものであるから、本件契約の解約に伴う被告の平均的損害についても、解約に伴う逸失利益(得べかりし利益)から、再販売(被告が他の顧客との間で本件契約を締結し、ほぼ同一の日時、場所で挙式披露宴を実施したような場合)により塡補される利益及び解約により支出を免れる経費を控除することにより算定すべきである。
③ 具体的には、(1)本件契約における平均実施金額(挙式披露宴実施代金の平均額)を基礎として、同金額から、(2)同金額と被告の利益率から算出される、解約に伴い被告が支出を免れる経費の額、及び(3)被告の非再販売率から算出される、再販売により填補される利益の額を控除する方法により、本件各キャンセル料条項に係る各解約時期において解約された場合に、被告に生じる平均的損害の額を算定し、本件各キャンセル料条項に係る各解約時期におけるキャンセル料の額を、各個別料金項目(会場使用料、ウエディングケーキ代等)の上記平均実施金額に占める平均的割合を用いてその値を算出するなどして算定した上で、同キャンセル料について、各解約時期において解約がされた場合に被告に生じる上記平均的損害の額を上回るかどうかを検討し、いずれも同損害の額を超えるキャンセル料を定める条項とはいえないとした。

◆ H25.03.29大阪高裁判決

判決年月日: 2013年3月29日
2013年4月13日 公開

平成24年(ネ)第2488号解約違約金条項使用差止請求、不当利得返還請求控訴事件
消費者庁HP(PDF)判決写し(PDF、京都消費者契約ネットワークHP)
裁判官 小島浩、三木昌之、橋本都月
適格消費者団体 京都消費者契約ネットワーク
事業者 KDDI株式会社
第1審 H24.07.19京都地裁判決

【事案の概要】
 適格消費者団体が、携帯電話会社に対し、消費者が二年間の定期契約を契約期間の途中に解約する際に解約金を支払うことを定める契約条項が、9条1号及び10条により無効であると主張して、12条3項に基づき、条項使用差し止めを求め(第1事件)、解約金の不当利得返還請求を求める事案(第2事件、第3事件)で、第1審は請求を一部認容した。控訴審。

【判断の内容】
一審を取消し、適格消費者団体の請求を棄却した。
① 法第9条第1号は、債務不履行の際の損害賠償請求権の範囲を定める民法第416条を前提とし、その内容を定型化するという意義を有するから、同号の損害は、民法第416条にいう「通常生ずべき損害」であり、逸失利益を含むと解すべきである。
② 平均的な損害の算定方法については、当該条項すなわち契約に定められた解除事由、時期等により同一の区分に分類される同種の契約における違約による損害の平均値を求めることによって算定すべきであり、当事者が設定した区分を裁判所がさらに細分化することを認める趣旨とは解されない。
③ 本件定期契約は、2年間の期間の定めのある契約であり2年間継続して使用されることを基本的条件として、基本使用料、通話料等が設定されているものと認められるところ、本件解約金条項は、2年間という期間を一つの区分とし、その契約が解除されたことによる損害をてん補するものは本件解約金条項のほかにはないということができるとし、平均的な損害の算定の基礎となる損害額について、本件定期契約が中途解約されることなく契約が期間満了時まで継続していれば被告が得られたであろう通信料収入等(解約に伴う逸失利益)を基礎とすべき。
④ 10条後段該当性については、本件定期契約において、社会通念上著しい長期間にわたって解約を制限するものではなく、解約金が法第9条第1号の平均的な損害を超えるものでないこと、契約者は、通常契約と比較した上で、本件定期契約を選択することができ、しかもその場合基本使用料割引の利益を受けられることからすると、本件解約金条項が、信義則に反して消費者の利益を一方的に害する条項であるとはいえず、法第10条後段に該当しない。
⑤ 本件定期契約の更新は、新規の契約締結と同様の効果を有するものであるから、更新後においても、本件解約金条項が法第10条後段に該当することはない。

◆ H25.03.28東京高裁判決

判決年月日: 2013年3月28日
2013年5月3日 公開

平成24年(ネ)第5480号消費者契約法12条に基づく差止請求控訴事件
消費者機構日本HP(判決写しあり),判例時報2188号57頁,判例時報2214号156頁
裁判官 市村陽典、團藤丈士、菅家忠行
適格消費者団体 消費者機構日本
事業者 三井ホームエステート株式会社
第1審 H24.07.05東京地裁判決

【事案の概要】
適格消費者団体が,不動産賃貸業者に対し,①更新料の支払を定めた条項及び②契約終了後に明渡しが遅滞した場合の損害賠償額の予定を定めた条項が9条1号及び10条に規定する消費者契約の条項に当たると主張して,消費者契約法12条3項に基づき,その契約の申込み又は承諾の意思表示の停止及び契約書用紙の破棄並びにこれらを従業員に周知・徹底させる措置をとることを求めた事案の控訴審。

【判断の内容】
控訴棄却。
① (更新料について)契約書上、本件更新料は、賃貸借契約を締結する際に、賃貸人が、普通借家契約を選択することにより、法定更新制度を背景に自らの選択により契約期間を更新できる地位を取得し、契約期間満了時において、賃貸借契約の継続を選択する利益が具体化した場合に、その具体化した利益、すなわち、賃貸借契約を継続することの対価として支払われるものとされているものであるから、その根拠が不明確であるとは認められない。
 額が不当に高すぎるという特段の事情はない。契約締結について賃貸人と賃借人との間に情報の質、量、交渉力の格差があるとは認められない。 
② (倍額賠償予定条項について)
 本件倍額賠償予定条項は、契約解除時においては損害発生の有無自体が不明であるから、9条1号にいう損害賠償額を予定し又は違約金を定める条項であると解することは相当でない。
 本件倍額賠償予定条項には合理性があり、額も高額に過ぎるというものではない。

◆ H25.01.25大阪高裁判決(H25.02.05更正決定)

判決年月日: 2013年1月25日
2013年3月2日 公開

平成24年(ネ)第281号解約金条項使用差止請求、解約金請求、解約金返還請求、不当利得返還請求控訴事件、平成24年(ネ)第941号 同附帯控訴事件
消費者庁HP(PDF)判決写し(PDF、京都消費者契約ネットワークHP)、判例時報2187号30頁
裁判官 山田知司、水谷美穂子、和久田道雄
適格消費者団体 京都消費者契約ネットワークHP
事業者 株式会社セレマ、株式会社らくらくクラブ
第1審 H23.12.13京都地裁判決

【事案の概要】
適格消費者団体が冠婚葬祭の相互扶助や儀式設備の提供等を業とする株式会社セレマ及び旅行業や相互扶助的冠婚葬祭の儀式施行に関する募集業務等を業とする株式会社らくらくクラブに対し、①被告セレマ及び被告らくらくが消費者との間で締結している互助契約又は積立契約において、それぞれ契約解約時に支払済金額から「所定の手数料」などの名目で解約金を差し引くとの条項を設けていることに関し、同条項は消費者契約法第9条第1号又は同法第10条に該当するものであり、消費者に対し解約金を差し引くことを内容とする意思表示を行わないこと、②①が記載された契約書雛形が印刷された契約書を破棄すること、③従業員らに対し、①の意思表示を行うための事務を行わないこと及び②の契約書の破棄を指示することを求めた事案の控訴審。

【判断の内容】
(セレマについて)
① 本件互助契約は、消費者が将来行う冠婚葬祭に先立って、所定の月掛金を前払いで積み立てることにより、消費者は冠婚葬祭の施行を受ける権利を取得し、被告セレマは、消費者の請求により冠婚葬祭の施行をする義務を負う役務提供契約であって、同被告は、消費者から冠婚葬祭の施行の請求を受けて初めて、当該消費者のために冠婚葬祭の施行に向けた具体的な準備等を始めるものである。すると、具体的な冠婚葬祭の施行の請求がされる前に本件互助契約が解約された場合には,損害賠償の範囲は原状回復を内容とするものに限定されるべきであり、具体的には契約の締結及び履行のために通常要する平均的な費用の額が、法第9条第1号の「平均的な損害」となるものと解される。
② 平均的な費用(経費)の額というのは、現実に生じた費用の額ではなく、同種契約において通常要する必要経費の額を指すものというべき。ここでいう必要経費とは、契約の相手方である消費者に負担させることが正当化されるもの、すなわち、性質上個々の契約(消費者契約)との間において関連性が認められるものを意味するものと解するのが相当である。
③ 本件互助契約において「平均的な損害」に含まれるものは、個々の契約との関連性が認められ、会員の管理に要する費用として同業他社でも通常支出しているものと考えられる、月掛金を1回振り替える度に被告セレマが負担する振替手数料58 円と振替不能となった場合の通知の送付費用2円を合わせた60 円、並びに年2回の「全日本ニュース」及び年1回の入金状況通知の作成・送付費用14.27 円(1件月当たりの金額1年当たりの金額)ということになる。
④ したがって、被告セレマは、消費者との間で、冠婚葬祭の互助会契約を締結するのに際し、消費者が冠婚葬祭の施行を請求するまでに解約する場合、解約時に支払済み金額から「所定の手数料」などの名目で、60 円に第1回目を除く払込みの回数を掛けた金額及び14.27 円に契約月数契約年数を掛けた金額を超える解約金を差し引いて消費者に対し返金する旨を内容とする意思表示を行ってはならない。

◆ H24.12.21名古屋地裁判決

判決年月日: 2012年12月21日
2012年12月21日 公開

平成23年(ワ)第5915号不当条項差止等請求事件
最高裁HP消費者庁HP(PDF)判決写し(PDF、あいち消費者被害防止ネットワークHP)、判例時報2177号92頁、消費者法ニュース97号241頁
裁判官 片田信宏、鈴木陽一郎、古賀千尋
適格消費者団体 あいち消費者被害防止ネットワーク
事業者 学校法人モード学園

【事案の概要】
 適格消費者団体が,専門学校に対し,AO入試,推薦入試,専願での一般・社会人入試及び編入学によって入学を許可された場合,入学辞退の申出の時期(在学契約が解除される時期)にかかわらず,一律に学費を返還しないとの不返還条項を含む契約の申込み又はその承諾の意思表示等の差止めを求めた事件。

【判断の内容】
以下のように判断し、不返還条項を含む契約の申込又はその承諾の意思表示等の差し止めを認め、条項が記載された書面、電子データの破棄、従業員への周知徹底を命じた。
① 在学契約の解除に伴い被告に生ずべき平均的な損害は,一人の学生と被告との在学契約が解除されることによって,被告に一般的,客観的に生ずると認められる損害をいうものと解するのが相当である。
② 当該在学契約が解除された場合には,その時期が当該大学において当該解除を前提として他の入学試験等によって代わりの入学者を通常容易に確保することができる時期を経過していないなどの特段の事情がない限り,当該大学には当該解除に伴い初年度に納付すべき授業料等及び諸会費等に相当する平均的な損害が生ずるものというべきである。
③ 本件では特段の事情があり、9条1号に反する。
④ 本件不返還条項は9条1号により一部無効であるが,同法12条3項は,このような不当な契約条項を含む消費者契約の申込み又は承諾の意思表示の差止めを認めていると解される。

◆ H24.12.07大阪高裁判決

判決年月日: 2012年12月 7日
2012年12月29日 公開

平成24年(ネ)第1476号解約違約金条項使用差止・不当利得返還請求控訴事件
消費者庁HP(PDF)判決写し(PDF、京都消費者契約ネットワークHP)、金融商事判例1409号40頁、判例時報2176号33頁、現代消費者法21号73頁
裁判官 渡邉安一、池田光宏、善元貞彦
適格消費者団体 京都消費者契約ネットワーク
事業者 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ
【第1審】H24.03.28京都地裁判決

【事案の概要】
 適格消費者団体が携帯電話会社に対し、解約金に関する条項が9条1号又は10条に該当して無効であると主張して、12条3項に基づき当該条項の内容を含む契約締結の意思表示の差止めを求め、同条項に基づく違約金を被告に対して支払った者が不当利得返還請求を行った事案。

【判断の内容】
 当該解約金の額にいわゆる「平均的な損害」の額を超える部分がないと認められるとして、これを棄却した第1審判決は、原判示および本判示の事実関係の下においては、当該「平均的な損害」の額は第1審判決の認定の額を下回るが、これを是認することができる。

◆ H24.11.20京都地裁判決

判決年月日: 2012年11月20日
2012年11月20日 公開

平成23年(ワ)第146号解除料条項使用差止請求事件
最高裁HP消費者庁HP(PDF)判決写し(PDF、京都消費者契約ネットワークHP)、判例時報2169号68頁、判例タイムズ1389号340頁
裁判官 杉江佳治、小堀悟、畦地英稔
適格消費者団体 京都消費者契約ネットワーク
事業者 ソフトバンクモバイル株式会社
控訴審 H25.07.11大阪高裁判決

【事案の概要】
適格消費者団体が,電気通信事業等を営む事業者に対して,2年間の契約期間の定めのある携帯電話通信契約を中途解約する際に解除料として9975円の支払義務があることを定める条項が消費者契約法9条1号・10条に反するとして同条項の使用の差止めを求めたもの。

【判断の内容】
① 契約の主要な目的や物品又は役務等の対価それ自体(いわゆる中心条項)については,契約自由の原則が最も強く働くものであるから,消費者と事業者との格差が存在することを踏まえても,当事者の合意に委ねるべきであり,公序良俗違反となるような例外的な場合に民法によって無効とされることがあるにとどまり,法9条及び10条は適用されない。
 中心条項に該当するか否かについては,当該条項の文言,契約全体での位置づけ及び当事者の意思などを総合的に考慮して決すべき。
 本件解除料条項は中心条項にはあたらない。
② 本件契約の平均的損害を算定するためには,逸失利益も考慮に入れるべきであるところ、本件解除料の額は平均的損害を超えることはないので、9条1号に反しない。
③ 本件当初解除料条項及び本件更新後解除料条項はいずれも10条に反しない。

◆ H24.11.12大阪地裁判決

判決年月日: 2012年11月12日
2012年11月12日 公開

平成23年(ワ)第13904号契約解除意思表示差止等請求事件
最高裁HP消費者庁HP(PDF)消費者支援機構関西HP、金融・商事判例1407号14頁、判例時報2174号77頁、判例タイムズ1387号207頁
裁判官 松田亨、西村欣也、諸井明仁
適格消費者団体 消費者支援機構関西HP
事業者 株式会社明来

【事案の概要】
 適格消費者団体が、不動産賃貸業を営む事業者である被告に対し、被告の使用する賃貸借契約書の条項が法9条各号又は10条に該当するとして、法12条3項に基づき、同契約書による意思表示の差止め、契約書用紙の破棄並びに差止め及び契約書破棄のための従業員への指示を求めた事案。

【判断の内容】
① 法41条1項に基づく事前請求があったか
 本件事前請求は、本件旧契約書の条項数を示しているものの、その請求内容としては、本件請求の内容の意思表示の差止めを求めたものである。そして、原告は、本件事前請求と同一内容の本件訴訟を提起しているのであるから、本件事前請求が法41条1項の事前請求に該当し、本件訴えが適法であるといえる。
② 本件請求は12条の2第1項(不当な目的に出た請求)又は23条2項(差止請求の濫用)に当たらない。
③ 別紙契約条項目録記載の契約条項について、被告に意思表示を行うおそれがあるか
 被告は、本件旧契約書を改訂し、本件新契約書のひな型には当該(争われている)条項が印刷されていないことや被告の訴訟態度から、(記載されている条項について意思表示を被告が行うそれはあるとして)記載されていない条項については意思表示を被告が行うおそれはないというべきである。
④ 事業者である賃貸人に対して消費者である賃借人との間で建物の賃貸借契約を締結する際の契約条項の差止め等を求める適格消費者団体の請求は、当該契約条項のうち、賃借人が後見開始ないし保佐開始の審判を受け、あるいは、その申立てを受けた場合に賃貸人が賃貸借契約を解除することができる旨の条項に係る部分については、当該契約条項が消費者契約法10条に該当する以上、賃貸人が賃貸借契約を締結する際にその旨の意思表示を行ってはならないことおよび当該意思表示が記載された契約書ひな形が印刷された契約書用紙を廃棄することを求める限度で、その請求に理由があるが、賃貸人の従業員に対するその旨の指示を求める請求およびその余の契約条項に係る請求については、いずれもその理由がない。

◆ H24.10.23最高裁決定

判決年月日: 2012年10月23日
2013年2月2日 公開

平成23年(受)第1698号
決定写し(PDF、ひょうご消費者ネットHP)
裁判官 岡部喜代子、田原睦夫、大谷剛彦、寺田逸郎、大橋正春
適格消費者団体 ひょうご消費者ネット
事業者 株式会社ジャルパック(旧商号株式会社ジャルツアーズ)
第1審 H22.12.08神戸地裁判決
控訴審 H23.06.07大阪高裁判決

【事案の概要】
適格消費者団体が、旅行業を営む株式会社ジャルツアーズに対し、株式会社日本航空インターナショナル(JAL)の発行する企業ポイントにより旅行代金等が決済された後の契約の取消しないし変更があった場合に、同企業ポイントの返還をしない旨の条項が、被告と消費者との間で締結する企画旅行契約における契約条項となっており、消費者契約法第10条及び第9条第1号に違反して無効であるとして、本件条項を含む契約の締結の差止め等を求めた事案。契約条項とならない等として請求を棄却した控訴審判決に対する上告受理申立。

【判断の内容】
上告不受理。

◆ H24.09.18東京地裁判決

判決年月日: 2012年9月18日
2013年6月7日 公開

平成24年(レ)第547号キャンセル料請求差止め請求控訴事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 三村晶子、大嶋洋志、行川雄一郎

【事案の概要】
 会社の従業員(控訴人)が、会社が締結している福利厚生サービス会社(被控訴人)が提供する、提携ホテル割引サービスを利用して、提携ホテルの宿泊予約をしたが、宿泊予定日の7日前にキャンセルしたところ、被控訴人からキャンセル料として宿泊料金の50%を請求されたもの。9条1号により無効となるかが争われた。

【判断の内容】
 以下の理由から、9条1号にはあたらないとして、キャンセル料の請求を認めた。
① 本件キャンセル料の契約当事者は控訴人と福利厚生サービス会社(被控訴人)であり、ホテルではない。事業者が消費者契約法の適用を免れる目的で消費者との間に形式的第三者を介在させたというような特段の事情があれば格別、単に事業者が広く顧客を獲得するために他の事業者と提携をしたというだけでは、その両者を一体として消費者契約法上の事業者にあたると解することはできない。
② 福利厚生サービス会社(被控訴人)とホテルとの間でのキャンセル料の取り決めがあり(これ自体は消費者契約法の適用はない)、控訴人が被控訴人に支払うとされるキャンセル料とは連動しており、ことさらに被控訴人独自に高額のキャンセル料を定めたものではないから、そのまま平均的損害と認められる。
③ なお、本件ホテルが隣接するテーマパークの知名度や人気の高さから、宿泊予定日の7日前にキャンセルがされたとしても宿泊予定日までに新たな宿泊予約が行われる可能性が高いこと、他の著名なホテルでは2日前より前にはキャンセル料の支払い義務の定めがないことからは、ホテルに生じる平均的損害の額については50%を相当程度下回るのではないかとの疑念があり、直接ホテルと宿泊予約をした場合には9条1項の関係で問題となる余地がないではない。しかし、控訴人はホテルと直接契約をしたものではなく、ホテルと被控訴人との契約は消費者契約ではないからホテルと被控訴人との間のキャンセル料特約は消費者契約法によって無効となることはないし、他にこれが無効であることを伺わせる事情はない。そして、本件宿泊予約にかかる契約の当事者が控訴人と被控訴人で有り、被控訴人がホテルに本件キャンセルにかかるキャンセル料の支払義務を負う以上、本件キャンセル料規程が9条1号により無効ということはできない。

◆ H24.08.27東京地裁判決

判決年月日: 2012年8月27日
2013年6月15日 公開

平成22年(ワ)38688号損害賠償等請求反訴事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 前澤功

【事案の概要】
 建物賃貸借契約についての敷金返還等請求。契約終了日までに明け渡さない場合、終了日の翌日から明渡完了の日まで賃料等相当額の倍額を支払うとの合意が9条1号により無効となるかが争われた。

【判断の内容】
 建物の貸主に生ずべき平均的な損害の額は賃料の限度と推認でき、これを超える損害が生じることを窺わせる特別な事情も見当たらないから、合意のうち月額40万円(1カ月の賃料)を超える部分は9条1号により無効であるとして、敷金から控除する金額の一部を否定し返還請求を認めた。

◆ H24.07.19京都地裁判決

判決年月日: 2012年7月19日
2012年7月19日 公開

平成22年(ワ)第2497号、平成23年(ワ)第917号、平成24年(ワ)第555号解約違約金条項使用差止請求事件(第1事件)、不当利得返還請求事件(第2事件、第3事件)
最高裁HP消費者庁HP(PDF)判決写し(PDF、京都消費者契約ネットワークHP)、金融商事判例1402号31頁、判例時報2158号95頁、判例タイムズ1388号343頁、国セン発表情報(2012年11月1日公表)
裁判官 佐藤明、柳本つとむ、板東純
適格消費者団体 京都消費者契約ネットワーク
事業者 KDDI株式会社
控訴審 H25.03.29大阪高裁判決

【事案の概要】
 適格消費者団体が、携帯電話会社に対し、消費者が二年間の定期契約を契約期間の途中に解約する際に解約金を支払うことを定める契約条項が、9条1号及び10条により無効であると主張して、12条3項に基づき、条項使用差し止めを求め(第1事件)、解約金の不当利得返還請求を求める事案(第2事件、第3事件)。請求を一部認容した。

【判断の内容】
① 9条1号の趣旨は、事業者が、消費者に対し、消費者契約の解除に伴い事業者に「通常生ずべき損害」(民法416条1項)を超過する過大な解約金等の請求をすることを防止するという点にある。したがって、9条1号は、債務不履行の際の損害賠償請求権の範囲を定める民法416条を前提とし、その内容を定型化するという意義を有し、同号にいう損害とは、民法416条にいう「通常生ずべき損害」に対応するものである。
② 同号が「平均的」という文言を用いたのは、消費者契約は不特定かつ多数の消費者との間で締結されるという特徴を有し、個別の契約の解除に伴い事業者に生じる損害を算定・予測することは困難であること等から、解除の事由、時期等により同一の区分に分類される複数の契約における平均値を用いて、解除に伴い事業者に生じる損害を算定することを許容する趣旨に基づくもの。
③ 9条1号は、「当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ」て事業者に生ずべき平均的損害を算定することを定めるが、事業者が解除の事由、時期等による区分をせずに、一律に一定の解約金の支払義務があることを定める契約条項を使用している場合であっても、解除の事由、時期等により事業者に生ずべき損害に著しい差異がある契約類型においては、解除の事由、時期等により同一の区分に分類される複数の同種の契約における平均値を用いて、各区分毎に、解除に伴い事業者に生じる損害を算定すべきである。
④ 以上によれば、9条1号の平均的損害の算定は、民法416条に基づく損害の算定方法を前提とし、解除事由、時期等により同一の区分に分類される同種の契約における平均値を求める方法により行うべきである。
⑤ 本件解約金条項中、①本件定期契約が締結又は更新された日の属する月から数えて二二か月目の月の末日までに解約がされた場合に解約金の支払義務があることを定める部分は有効であるが、②本件定期契約が締結又は更新された日の属する月から数えて二三か月目以降に解約した場合に「平均的損害の額」(別紙として算定)を超過する解約金の支払義務があることを定める部分は、上記超過額の限度で、9条1号により、無効である。
⑥ 解約に伴い、別の契約を締結する機会が新たに生じ、これにより損害が填補されたといえる場合には、解約に伴う逸失利益から上記損害の填補額を控除することにより平均的損害を算定するが、解約に伴い別の契約を締結する機会が新たに生じたといえない場合には、平均的損害の算定にあたり、他の契約を締結することによる損害の填補の可能性を考慮することはできない。本件通信契約においては、ある契約が締結されることにより、他の契約を締結する機会を喪失するとはいえず、それゆえ、解約に伴い別の契約を締結する機会が新たに生じるともいえないから、他の契約を締結することによる損害の填補の可能性を考慮することはできない。

◆ H24.07.10東京地裁判決

判決年月日: 2012年7月10日
2013年5月4日 公開

平成24年(レ)第9号授業料返還請求控訴事件
判例秘書、ウエストロー・ジャパン
裁判官 本多知成、倉地真寿美、鈴木美智子

【事案の概要】
 外国語を使用する幼稚園(インターナショナルスクール)に子どもを通園させるため、平成20年6月9日に、平成20年9月1日以降の授業料87万7800円を支払った後,日本国外への転勤命令を受けて授業開始前に在籍契約を解約したことを理由に授業料の返還請求をした事案。一旦支払われた授業料は授業開始前でも返還しない旨の特約が9条1号により無効であるとの主張を控訴審で追加した。

【判断の内容】
 以下の理由から返還請求を認めた。
① 本件在籍契約は消費者契約に該当する。
② 本件不返還条項は、違約金等条項に該当する。
③ 在籍契約の解除に伴い本件のような施設に生ずべき平均的な損害とは,1人の生徒についての在籍契約が解除されることによって当該施設に一般的,客観的に生ずると認められる損害をいうものと解される。
④ 本件在籍契約は、施設の特殊性等から、授業料支払後授業開始前の期間に解除される場合があることは織り込み済みのものというべき。生徒が当該施設に通園することが客観的にも高い蓋然性をもって予測される時点よりも前の時期における解除については,原則として,当該施設に生ずべき平均的な損害は存しないものというべきであり,納付された授業料は,原則として,その全額が当該施設に生ずべき平均的な損害を超えるものというべき。
 本件施設のようなインターナショナルスクール等においては,その第1学期が9月1日に開始されるものであるから,少なくとも,第1学期の開始日である同日以降は,入園申込者が特定のインターナショナルスクール等に在籍することが高い蓋然性をもって予測されるものというべきである。そうすると,本件在籍契約の解除の意思表示がその前日である8月31日までにされた場合には,原則として,本件施設に生ずべき平均的な損害は存在しないものであって,本件不返還特約は全て無効となるというべきである。

◆ H24.07.05東京地裁判決

判決年月日: 2012年7月 5日
2012年7月5日 公開

平成22年(ワ)第33711号消費者契約法12条に基づく差止請求事件
消費者庁HP(PDF)消費者機構日本HP(判決写しあり)、金融商事判例1409号54頁、判例時報2173号135頁、国セン発表情報(2012年11月1日公表)
裁判官 谷口安史、日置朋弘、川勝庸史
適格消費者団体 消費者機構日本
事業者 三井ホームエステート株式会社
控訴審 H25.03.28東京高裁判決

【事案の概要】
 適格消費者団体が,不動産賃貸業者に対し,①更新料の支払を定めた条項及び②契約終了後に明渡しが遅滞した場合の損害賠償額の予定を定めた条項が9条1号及び10条に規定する消費者契約の条項に当たると主張して,12条3項に基づき,その契約の申込み又は承諾の意思表示の停止及び契約書用紙の破棄並びにこれらを従業員に周知・徹底させる措置をとることを求めた事案。

【判断の内容】
●更新料条項について
① 賃貸借契約の更新料は,契約期間が満了し,賃貸借契約を更新する際に賃借人と賃貸人との間で授受される金員であるところ,これがいかなる性質を有するかは,賃貸借契約成立前後の当事者双方の事情,更新料条項が成立するに至った経緯その他諸般の事情を総合考量し,具体的事実関係に即して判断されるべきであるが(最高裁昭和59年4月20日第二小法廷判決・民集38巻6号610頁参照),更新料は,賃料と共に賃貸人の事業の収益の一部を構成するのが通常であり,その支払により賃借人は円満に賃借物件の使用を継続することができることからすると,更新料は,一般に,賃料の補充ないし前払,賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有するものと解するのが相当(最高裁平成23年7月15日第二小法廷判決・民集65巻5号2269頁参照)。
② このような更新料の一般的性質に加え,被告が,平成24年3月1日以降,本件更新料について,契約期間の満了時に契約の継続を選択する権利を行使する対価として支払われるものであることを契約書に明記していること(7条1項)に照らせば,事業者である被告は,本件更新料を,主として,賃貸借契約を継続するための対価として賃借人が賃貸人に支払うものであることを予定して契約書の条項に記載しているものと解するのが相当。
③ 本件更新料は,主として賃貸借契約を継続するための対価として支払われるものとされているから,継続後,その期間満了前に賃貸借契約が終了したとしても,その性質上,当然に賃借人に返還されるべきものであるとはいえない。そうすると,本件更新料支払条項において,更新後の契約期間の途中で賃貸人の責に帰すべからざる事由によって契約が終了した場合でも本件更新料が返還されない旨が定められているからといって,同条項をもって,契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し,又は違約金を定める条項であると解することはできない。
④ 本件更新料は,主として,賃貸借契約の継続の対価としての性質を有するものとされているところ,賃借人は本件更新料の支払により円満に賃貸借契約の継続を受けられる地位を取得するのであるから,本件更新料の支払におよそ経済的合理性がないなどということはできない。また,一定の地域において,期間満了の際,賃借人が賃貸人に対し更新料の支払をする例が少なからず存することは公知であることや,従前,裁判上の和解手続等においても,更新料の支払を約する条項が公序良俗に反するなどとして,これを当然に無効とする取扱いがされてこなかったことは裁判所に顕著であることからすると,更新料の支払を約する条項が賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載され,賃借人と賃貸人との間に更新料の支払に関する明確な合意が成立している場合に,賃借人と賃貸人との間に,更新料の支払を約する条項に関する情報の質及び量並びに交渉力について,看過し得ないほどの格差が存するとみることもできない。
 そうすると,本件更新料支払条項についても,賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載されていると認められ,かつ,更新料の額が賃料の額,賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り,消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらないと解するのが相当。(以上につき,前掲最高裁平成23年7月15日判決参照)
 本件更新料支払条項は,契約の継続をしようとする場合に更新料を支払うべきこと及びその金額の算定方法が契約書に一義的かつ明確に記載されている上に,その内容は,被告が取り扱う賃借物件につき,当該賃貸借契約が更新される期間を2年間としつつ,一律に更新料の額を賃料の1か月分とするものであり,本件更新料の性質が主として契約を継続するための対価であることを踏まえても,その額が高額に過ぎるものと認めることはできない。そして,賃借人としても本件更新料を上記のとおり理解することに特段の支障があるものとは認められないから,上記特段の事情が存するとはいえない。
 したがって,本件更新料支払条項は消費者契約法10条後段の要件を充足しない。
●倍額賠償予定条項について
① 9条1号は,事業者が消費者契約の解除に伴い高額な損害賠償の予定又は違約金の定めをして消費者に不当な金銭的負担を強いる場合があることに鑑み,消費者が不当な出捐を強いられることのないように,消費者契約の解除の際の損害賠償額の予定又は違約金の定めについて,一定の限度を超える部分を無効とする規定である。
② 本件倍額賠償予定条項は,約定解除権又は法定解除権が行使されて契約が終了する場合のみならず,契約が更新されずに期間満了により終了する場合も含め,賃貸借契約が終了する場合一般に適用されるものであり,その条項上の文言としても,契約の解除ではなく契約が終了した日以降の明渡義務の不履行を対象としていることからすれば,本件倍額賠償予定条項は,契約が終了したにもかかわらず賃借人が賃借物件の明渡義務の履行を遅滞している場合の損害に関する条項であって,契約の解除に伴う損害に関する条項ではないと解すべき。
③ 建物賃貸借契約書に記載された契約終了後の目的物明渡義務の遅滞に係る損害賠償額の予定条項については,その金額が,上記のような賃貸人に生ずる損害の填補あるいは明渡義務の履行の促進という観点に照らし不相当に高額であるといった事情が認められない限り,消費者契約法10条後段にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらない。本件は当たらない。

◆ H24.05.30高松地裁判決

判決年月日: 2012年5月30日
2012年12月1日 公開

平成23年(ワ)第465号解約金返還請求事件
国セン発表情報(2012年11月1日公表)
控訴審 H24.11.27高松高裁判決

【事案の概要】
 原告が、電気通信事業等を営む被告に対し、被告の提供する携帯電話の割引サービス(本件契約)につき、販売時における表示がわかりにくく、4条2項、9条、10条および民法90条に違反しており無効であるとして解約金の返還を請求した。

【判断の内容】
 被告の販売時における表示等によれば、消費者は本件契約が2年間ごとの契約であって契約期間中に解約した場合には契約満了月の翌月を除いて解約金が発生すると理解することが十分可能であり、直ちに消費者を誤信させるものではない。また、解約金の規定についても、パンフレットに明記されていること、不利益となる事実を故意に告げなかったとは認められないこと、原告が通常の料金プランの場合と比較して既に解約金を超える利益を得ていること等の事情からすると、本件契約の規定は消費者の利益を一方的に害するものとはいえず、消費者契約法各条項その他の法律に違反するとは認められないとした。

◆ H24.05.29東京地裁判決

判決年月日: 2012年5月29日
2013年6月18日 公開

平成23年(ワ)第38990号、第41357号損害賠償請求事件、不当利得返還等反訴請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 井出弘隆

【事案の概要】
 行政書士への在留資格に関する申請書類の作成等の委任契約を解除したことによる報酬の返還請求。いったん納入された料金については理由の如何を問わず返還しない旨の特約が9条1号により無効となるかが争われた。

【判断の内容】
 以下の理由から、一部について返還を命じた。
① 本件不返還条項は、委任者が本件委任契約を解除した場合における損害賠償の予定又は違約金を定める趣旨のものと解することができ、9条1号にあたる。
② 本件における「平均的な損害」とは、本件事務と同種の書類作成等の事務を行政書士に委任した依頼者がこれを解除することによって当該行政書士に一般的、客観的に生ずると認められる損害をいう。
③ 本件では、既払い報酬10万5000円のうち、平均的損害は1万円を超えないとして、9万5000円の返還請求を認めた。
④ なお、10条と9条1号の関係について、9条1号によって無効とならない部分が、10条にいう「民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」に該当しないことは明らかであり、同条適用の要件を欠くものというべきとした。

◆ H24.05.17福岡地裁八女支部判決

判決年月日: 2012年5月17日
2013年6月1日 公開

平成22年(ワ)第137号、平成23年(ワ)第89号損害賠償請求事件
消費者法ニュース94号357頁
裁判官 秋本昌彦

【事案の概要】
 興信所と調査委任契約を締結した原告から興信所に対する不法行為による損害賠償請求。
 原告が興信所との調査委任契約(基本料金210万円)の2日後に解約を申し出たのに、着手後の解約の場合には一切返金に応じないことを内容とする不返還条項を理由に、被告が返金に一切応じず、返金がない以上契約を継続した方がよいと申し向けたため、原告が契約解除を撤回したことについて、不返還条項が、解除権を不当に制限するものであり10条にあたるか、違約金等条項であり9条1号にあたるかが争われた。

【判断の内容】
 以下の理由から、基本料金210万円のうち、平均的損害を超える部分170万円については無効であり、当該部分について不法行為が成立するとして、損害賠償請求を認めた。
① 本件不返還条項は、直接解約を制限するものではないほか、調査に係る契約締結後に、依頼者が自己の意向にそぐわない結果となった場合等にこれを理由に解約がなされた結果、被告会社が損害を被ることを防止する等の目的を有するものと認められ、調査業務の進展状況や、案件の内容等如何では、必ずしも消費者の利益を一方的に害するとまでは断じがたく、調査中との場合、成功報酬の支払いは省いていることも踏まえると、10条により無効とすべきとまではいえない。
② 本件契約では調査料金については成功報酬が定められておらず基本料金のみで210万円と設定された結果、調査が着手されてしまうと、その着手後数日しか経過していないような場合であっても、その全額が返還されないこととなるが、これは1年の調査期間内において、主に聴き取り調査を実施することを前提に、定められた調査料金全額を解除に伴う損害賠償の額と予定するもの又は違約金として定めるものといえ、事業者に生じる平均的損害を超えるものといえ、当該超過部分については、9条1号により無効となると解する。
③ 本件不返還条項においては、解約の時期や解約事由に応じた区分はされていないところ、諸般の事情から、本件においては40万円を当該平均的損害額とするのが相当であり、210万円から40万円を控除した170万円の返還を認めない部分については無効である。
④ 被告は本件不返還条項の一部が無効であるにもかかわらず、原告からの解約申し入れに対し、これとは異なる説明をして、原告にその旨誤信させ、解約を断念させ、原告の解約する権利を違法に侵害したものであるとして、弁護士費用1割(17万円)を加えて、不法行為による損害賠償請求を認めた。

◆ H24.04.23東京地裁判決

判決年月日: 2012年4月23日
2012年4月23日 公開

平成23年(レ)第774号不当利得返還請求控訴事件
LLI/DB、ウエストロー・ジャパン
裁判官 戸田久、大野昭子、中野雄壱

【事案の概要】
結婚式のドレス等のレンタル契約を締結し、同日レンタル料を支払ったものの、翌日に解約し、レンタル料の返還を求めた事案。解約料条項として、申込日より5日以内は0%,申込日より6日目以降から挙式日よりさかのぼり125日前までは内金全額,挙式日よりさかのぼり91日前までは衣装総額の80%,それ以降は100%,仮合わせ後,又は挙式日まで61日以内での申込みの場合は衣装総額100%との記載があり、さらに、特別セットプラン,キャンペーンの場合は申込み後(ご署名後)総額100%との約定があった。本件はキャンペーンのものだった。

【判断の内容】
 ドレス等のレンタル契約の成立後,契約を解除された事業者が被る平均的な損害(9条1号)は,当該契約が解除されることによって当該事業者に一般的,客観的に生ずると認められる損害をいうところ,契約成立の翌日にはこれを解約する意思表示がされた本件の場合,契約締結から解除までの実質1日の期間中に,解約による平均的な損害は発生しないとして,違約金条項が9条1号により無効であるとし、レンタル料の返還請求を認めた。

◆ H24.04.17東京地裁判決

判決年月日: 2012年4月17日
2013年6月19日 公開

平成22年(ワ)第25620号手付金返還等請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 阿閉正則

【事案の概要】
 マンションの居室の売買契約(売主は宅建業者)後、エレベーターの設置工事で死亡事故が生じたことから、買主が債務不履行解除、瑕疵担保責任による解除、事情変更による解除を主張するとともに、手付金の返還を請求した事案。手付金相当額を違約金として支払うものとする条項が9条1号に違反するかが争われた。

【判断の内容】
 売主が宅建業者であるところ、宅建業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約における契約の解除に伴う違約金の額については、宅建業法38条に別段の定めがあり、この規定が消費者契約法9条1号に優先して適用される(11条2項)として、本件違約金条項は9条1号に違反し無効とはいえないとした。

◆ H24.03.28京都地裁判決

判決年月日: 2012年3月28日
2012年4月7日 公開

平成22年(ワ)第2498号、平成23年(ワ)第918号 解約違約金条項使用差止請求事件(甲事件)、不当利得返還請求事件(乙事件)
最高裁HP消費者庁HP(PDF)判決写し(PDF、京都消費者契約ネットワークHP)、金融商事判例1402号31頁、判例時報2150号60頁、LLI/DB、国セン発表情報(2012年11月1日公表)
裁判官 吉川愼一、吉岡真一、高嶋諒
適格消費者団体 京都消費者契約ネットワーク
事業者 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ
控訴審 H24.12.07大阪高裁判決

【事案の概要】
 適格消費者団体が携帯電話会社に対し、解約金に関する条項が9条1号又は10条に該当して無効であると主張して、12条3項に基づき当該条項の内容を含む契約締結の意思表示の差止めを求め(甲事件)、同条項に基づく違約金を被告に対して支払った者が不当利得返還請求を行った(乙事件)事案。

【判断の内容】
① 契約の目的である物又は役務等の対価それ自体に関する合意については,当該合意に関して錯誤,詐欺又は強迫が介在していた場合であるとか,事業者の側に独占又は寡占の状態が生じているために消費者の側に選択の余地が存在しない場合であるとかといった例外的な事態を除き,原則として市場における需要と供給を踏まえた当事者間の自由な合意に基づくものであり、契約の目的である物又は役務の対価についての合意は,10条により無効となることはない。
② ある条項が契約の目的である物又は役務の対価について定めたものに該当するか否かについては,その条項の文言を踏まえつつ,その内容を実質的に判断すべきである。本件解約金条項は、契約の目的である物又は役務の対価について定めたものではない。
③ 消費者契約における「平均的な損害」を超える損害賠償の予定又は違約金を定める条項を無効とした法9条1号の趣旨は,特定の事業者が消費者との間で締結する消費者契約の数及びその解除の件数が多数にわたることを前提として,事業者が消費者に対して請求することが可能な損害賠償の額の総和を,これらの多数の消費者契約において実際に生ずる損害額の総和と一致させ,これ以上の請求を許さないことにあると解すべきである。
 このような法9条1号の趣旨からすれば,事業者は,個別の事案において,ある消費者の解除により事業者に実際に生じた損害が,契約の類型ごとに算出した「平均的な損害」を上回る場合であっても,「平均的な損害」を超える額を当該消費者に対して請求することは許されないのであり,その反面,ある消費者の解除により事業者に実際に生じた損害が,「平均的な損害」を下回る場合であっても,当該消費者は,事業者に対し「平均的な損害」の額の支払を甘受しなければならないということになる。
 したがって,法は,事業者に対し,上記のような「平均的な損害」についての規制のあり方を考慮した上で,自らが多数の消費者との間で締結する消費者契約における損害賠償の予定又は違約金についての条項を定めることを要求しているということができる。
④ 更新後においても基本使用料金の割引額(標準基本使用料金と割引後基本使用料金との差額)の平均額には何ら差がないと考えられるから,本件契約の更新後の中途解約による「平均的な損害」も,
被告と本件契約を締結した契約者につき,各料金プランごとの平成21年4月から平成22年3月までの月ごとの稼働契約者数(前月末契約者数と当月末契約者数を単純平均したもの)を単純平均し,それぞれに各料金プランごとの割引額(標準基本使用料金と割引後基本使用料金との差額)(税込)を乗じて加重平均した金額の,2160円に、
被告と本件契約を締結した契約者のうち,平成21年8月1日から平成22年2月28日までの間に本件契約(更新前のものに限る。)を解約した者について,本件契約に基づく役務の提供が開始された月からの経過月数ごとの解約者数に,それぞれの経過月数を乗じて加重平均した月数の,14か月を、
乗じた3万0240円であると認められ,原告らの主張するように更新後の中途解約に際して解約金を徴収することがその金額に関わらず法9条1号に該当するとはいえないし,本件更新後解約金条項に基づく支払義務の金額である9975円は上記の3万0240円を下回るものであるから,本件更新後解約金条項が法9条1号に該当するということはできない。
⑤ 法10条前段における,民法等の「法律の公の秩序に関しない規定」は,明文の規定のほか,一般的な法理等をも含む。本件は、前段要件は該当する。
⑥ 消費者は本件当初解約金条項に基づき解約権の制限を受けるものの,そのことに見合った対価を受けており,制限の内容についても何ら不合理なものではなく,しかも,被告と消費者との間には,本件当初解約金条項に関して存在する情報の質及び量並びに交渉力の格差が存在するということはできないといえるから,本件当初解約金条項は,法10条後段には該当しない。
⑦ 消費者は,本件契約が更新された後に解約金の支払義務を負うとされることによって解約権の制限を受けるものの,そのことに見合った対価を受けており,制限の内容も不合理なものではないから,本件契約が更新された後における解約金の支払義務を定める条項が,金額を問わず一般的に法10条後段に該当するとはいえない。
 さらに,本件更新後解約金条項における9975円という金額は合理的なものであり,被告と消費者との間には,本件更新後解約金条項に関して存在する情報の質及び量並びに交渉力の格差が存在するということはできないといえるから,本件更新後解約金条項もまた,法10条後段には該当しないと解するのが相当である。

◆ H23.12.13京都地裁判決

判決年月日: 2011年12月13日
2012年2月4日 公開

平成20年(ワ)第3842号解約金条項使用差止請求事件、平成21年(ワ)第3478号解約金請求事件、平成23年(ワ)第1094号解約金返還請求事件、平成23年(ワ)第2581号不当利得返還請求事件
消費者庁HP判決写し(PDF、京都消費者契約ネットワークHP)国セン発表情報(2012年11月1日公表)、判例時報2140号42頁、金融商事判例1387号48頁、現代消費者法17号79頁
裁判官 瀧華聡之、奥野寿則、堀田喜公衣
適格消費者団体 京都消費者契約ネットワークHP
事業者 株式会社セレマ、株式会社らくらくクラブ
控訴審 H25.01.25大阪高裁判決

【事案の概要】
適格消費者団体が冠婚葬祭の相互扶助や儀式設備の提供等を業とする株式会社セレマ及び旅行業や相互扶助的冠婚葬祭の儀式施行に関する募集業務等を業とする株式会社らくらくクラブに対し、①被告セレマ及び被告らくらくが消費者との間で締結している互助契約又は積立契約において、それぞれ契約解約時に支払済金額から「所定の手数料」などの名目で解約金を差し引くとの条項を設けていることに関し、同条項は消費者契約法第9条第1号又は同法第10条に該当するものであり、消費者に対し解約金を差し引くことを内容とする意思表示を行わないこと、②①が記載された契約書雛形が印刷された契約書を破棄すること、③従業員らに対し、①の意思表示を行うための事務を行わないこと及び②の契約書の破棄を指示することを求めた事案。

【判断の内容】
いずれも、以下の理由から請求を認容した。
(被告セレマに対し)
① 9条1号にいう「平均的な損害」とは、契約の解除の事由、時期等により同一の区分に分類される複数の同種の契約の解除に伴い、当該事業者に生じる損害の額の平均値をいう。
② 一人の消費者と被告セレマとの間で締結される消費者契約である本件互助契約にあっては、「平均的な損害」の解釈にあたっても、一人の消費者が本件互助契約を解約することによって被告セレマに生じる損害を検討する必要がある。
③ 本件互助契約に関して消費者から冠婚葬祭の施行の請求があるまでにされた解約によって、月掛金を1回振替える毎に被告セレマが負担した58 円の振替費用をもって被告セレマに損害が生じているというべきであり、その限度を超える解約手数料を定める解約金条項は9条1号により無効である。
(被告らくらくに対し)
④ 不特定多数の消費者との関係での被告らくらくの業務維持及び販売促進のための費用については、一人の消費者による契約の解約にかかわらず、常に生じるものといえるため、「平均的な損害」には含まれない。
⑤ その他の費用については、当該一人の消費者が契約し、又は当該契約を解約することがなければ被告らくらくが支出することがなかった費用といえるため、「平均的な損害」に含まれうるが、本件においては上記費用の正確な数値が算定できない。
⑥ 本件積立契約においては、事務手数料として月額150円が被告らくらくに支払われており、外交員の集金手当、振替費用等は上記費用をもってまかなわれているとみるべきであり、解約手数料を徴収するとする解約金条項は9条1号により無効である。

◆ H23.11.17東京地裁判決

判決年月日: 2011年11月17日
2012年12月1日 公開

平成23年(レ)第26号不当利得返還請求控訴事件
判例タイムズ1380号235頁、判例時報2150号49頁、現代消費者法19号73頁、消費者法ニュース91号186頁、国セン発表情報(2012年11月1日公表)国センHP(消費者問題の判例集)
裁判官 齊木敏文、日景聡、百瀬玲

【事案の概要】
 被控訴人が経営する旅館での宿泊を予約していた控訴人(権利能力なき社団)は、宿泊予定者の一部が新型インフルエンザに罹患したため宿泊を取消し、被控訴人に取消料(本件取消料)を支払ったが、本件取消料の合意は不成立であったこと、仮に成立したとしても取消料発生要件を満たしていないこと、本件取消料条項は法9条1項が規定する「平均的な損害」を超える取消料を定めるものであるから無効であること等を主張して、被控訴人に対し、不当利得に基づく利得金の返還等を請求した。原判決は、控訴人の請求を棄却したためこれを不服として控訴した。

【判断の内容】
 以下のように判示し、返還請求を一部認容した。
① 本件取消料については合意が成立しており、本件取消料発生要件の「お客様の都合」とは、旅行者側の事情によって取り消した場合を広く含むものであるから、本件において取消料発生の要件は満たされている。
② 権利能力なき社団が法2条の「消費者」に該当するかに関して、権利能力なき社団のように、一定の構成員により構成される組織であっても、消費者との関係で情報の質及び量並びに交渉力において優位に立っていると評価できないものについては、「消費者」に該当すると解するのが相当であり、控訴人は「消費者」に該当する。
③ 「平均的な損害」(9条1号)とは、同一事業者が締結する同種契約事案において類型的に考察した場合に算定される平均的な損害額であり、具体的には、当該解除の事由、時期に従い、当該事業者に生ずべき損害の内容、損害回避の可能性等に照らして判断すべきものと解するのが相当。
④ 本件の「平均的な損害」を宿泊料およびグラウンド使用料等にかかる79万7845円と認定し、これを超える取消料の額を定める部分は法9条1号により無効となるとした。

◆ H23.10.28東京地裁判決

判決年月日: 2011年10月28日
2013年6月23日 公開

平成22年(ワ)第8460号授業料返還等請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 生野考司、前澤功、仲田憲史

【事案の概要】
 ラインパイロットになることを目指した原告が、ニュージーランドの航空大学校で語学研修を受けた上、飛行訓練等を受けるなどして事業用免許等を取得し、帰国した後さらに事業用操縦士免許を取得して就職するという訓練システムの受講契約を被告との間で締結し、ニュージーランドの語学学校で研修していたところ、上記大学校での訓練を受けるための規定の英語能力が得られなかったことなどから、本件受講契約を解除したとして、被告に対し、前払い費用の精算として未使用授業料等の支払を求めた事案。学納金の不返還条項の効力が争われた。

【判断の内容】
① 入学金については、学生が大学に入学し得る地位を取得する対価の性質を有しており,その納付をもって学生は上記地位を取得するものとして、返還義務を否定した。
② 入学金以外の部分に係る本件不返還合意は,消費者契約法9条1号の損害賠償の額の予定に係る合意であるから,解除の事由,時期等の区分に応じ,本件契約と同種の契約の解除に伴い被告に生ずべき平均的な損害を超えるものについては無効であるとして、施設費、学費・訓練費、滞在費、寮費等の一部について返還請求を認めた。

◆ H23.07.28東京地裁判決

判決年月日: 2011年7月28日
2012年12月1日 公開

平成22年(ワ)第47503号不当利得返還請求事件
判例タイムズ1374号163頁、現代消費者法19号83頁、国セン発表情報(2012年11月1日公表)
裁判官 木納敏和

【事案の概要】
 原告は、被告に対し、往復航空券及び3日分の宿泊先の手配を依頼し、手配旅行契約(本件契約)を締結した。本件契約の約款においては、「旅行者が手配旅行契約を解除した場合には、取消料、違約金その他の運送・宿泊機関等に関する費用を負担するほか、被告に対し所定の取消手数料金及び被告が得るはずであった取消料金を支払わなければならない」と定められていた。被告の担当者は原告に対し、本件契約を締結する際に、原告が予約手配を申し込んだ航空券について、発券後の取消し手続料金が代金の100%となることを説明し、原告に対し、この説明内容が記載されたパンフレットを交付した。原告は、旅行代金を支払い後、本件契約を解除する旨の意思表示をした。原告は、本件約款が公序良俗に反して無効であり、仮にそうでないとしても法9条1号により「平均的な損害」を超える部分について無効であると主張し、本件契約に基づき支払った金員からすでに返還を受けた金員を控除した分の返還を請求した。

【判断の内容】
 本件約款は、標準旅行業約款に基づくものであることから、公序良俗に反しない。
 本件約款は、①既に旅行者が受けた旅行サービスの対価、②取消料、違約金その他の運送・宿泊機関等に関する費用の負担、③旅行業者に対し、所定の取消手続料金等を定めているものであって、その内容に照らせば、「平均的な損害」の内容を一般的に定めたものと解される。そして、原告の自己都合による解除で生じた航空会社やホテルに対して支払うべき取消料・違約料に相当する額を、原告のために手配を行ったに過ぎない被告が負担しなければならない理由はないのであるから、これらの取消料・違約料相当額は、法9条1号の「平均的な損害」の範囲内のものとして、被告には返還義務が生じないと解するのが相当である、とした。

◆ H23.07.22名古屋高裁判決

判決年月日: 2011年7月22日
2012年12月1日 公開

平成23年(ネ)第418号不当利得返還請求控訴事件
消費者法ニュース90号188頁、国セン発表情報(2012年11月1日公表)
裁判官 中村直文、朝日貴浩、濱優子
第1審 名古屋地裁平成22年(ワ)第3100号

【事案の概要】
 専門学校である被告は、入試方法として、AO入試、推薦入試、及び一般・社会人入試という3つの区分を設けていた。原告は、このうちの一般・社会人入試区分の専願入試及び学内併願制度を利用し、学内併願制度により、第2希望の学科に合格した。その後、原告は、平成22年3月15日に被告に対し在学契約解除の意思表示をし、納入した学費の返還を請求した。

【判断の内容】
 被告の入学年度が始まるのが4月1日であること、定員について法令による一定の規制があること、併願受験も想定されることに照らして、大学の場合と別異に解するべきではない。
 被告においては、早期に一般入試と異なるAO入試および推薦入試があること、一般・社会人入試の「専願」と「併願」はほとんど差異はなく、一次募集、二次募集および欠員募集合わせて計10回が予定されていること、被告においては、学内併願制度を設けており、第1希望の学科が不合格であった場合に自動的に第2希望の学科の選考が実施されることになっており、原告もこれにより合格したものであること、そして、原告が受験した学部の入学者は、欠員募集による入学者を加えても定員に満たなかったことが認められる。
 以上から、原告が受験した区分の専願入試は、他の受験者よりも早期に有利な条件で入学できる地位を実質的に確保しているとも、また、学生が在学契約を締結した時点で、被告に入学することが客観的にも高い蓋然性をもって予想されるとも認めがたい実態にあるというというべきであるから、その在学契約の解除の意思表示が3月31日までになされた場合は、被告に生ずべき法9条1号所定の平均的損害は存しないものと認められるので、本件不返還特約は無効である。そして、原告が3月15日に解除の意思表示をしたことは明らかであるので、被告は原告に対し本件学費を返還する義務を負うとした。

◆ H23.06.07大阪高裁判決

判決年月日: 2011年6月 7日
2011年10月7日 公開

平成23年(ネ)第133号不当条項使用差止請求控訴事件
消費者庁HP(PDF)判決写し(PDF、ひょうご消費者ネットHP)
裁判官 安原清蔵、坂倉充信、和田健
適格消費者団体 ひょうご消費者ネット
事業者 株式会社ジャルツアーズ(現商号株式会社ジャルパック)
第1審 H22.12.08神戸地裁判決
上告審 H24.10.23最高裁決定(上告不受理)

【事案の概要】
適格消費者団体が、旅行業を営む株式会社ジャルツアーズに対し、株式会社日本航空インターナショナル(JAL)の発行する企業ポイントにより旅行代金等が決済された後の契約の取消しないし変更があった場合に、同企業ポイントの返還をしない旨の条項が、被告と消費者との間で締結する企画旅行契約における契約条項となっており、消費者契約法第10条及び第9条第1号に違反して無効であるとして、本件条項を含む契約の締結の差止め等を求めた事案の控訴審。

【判断の内容】
① JALが発行する企業ポイントである「本件JMB特典2は、JALの利用実績等に応じてJALが発行するマイルを基礎とするものであり、その使用条件については、JMB会員である旅行者とJALとの間の契約関係によって定められているのであるから、本件条項がマイルや本件JMB特典の発行主体ではないジャルツアーズとの間の旅行契約の条項に含まれていると解することはできない」として否定した。
② 仮に、本件条項がジャルツアーズと旅行者との間の旅行契約の条項に含まれるとみることが可能であるとしても、本件JMB特典は、JALもしくはその提携企業を繰り返し利用する旅行者に特典を与えることによって顧客を誘引しようという目的のもとでJALが発行するものにすぎず、現金化が確実な自己宛小切手に類似する金銭債権と同様のものとみることができない以上、本件JMB特典を旅行契約の代金支払に利用した後に旅行契約が失効したとしても、旅行者と被控訴人又はJALとの間で不当利得関係が生じる余地はないとして否定した。

◆ H22.12.08神戸地裁判決

判決年月日: 2010年12月 8日
2011年10月7日 公開

平成21年(ワ)第802号不当条項使用差止等請求事件
消費者庁HP(PDF)ひょうご消費者ネットHP判決写し(PDF、ひょうご消費者ネットHP)
裁判官 角隆博、大森直哉、谷池政洋
適格消費者団体 ひょうご消費者ネット
事業者 株式会社ジャルツアーズ(現商号株式会社ジャルパック)
控訴審 H23.06.07大阪高裁判決
上告審 H24.10.23最高裁決定(上告不受理)

【事案の概要】
適格消費者団体が、旅行業を営む株式会社ジャルツアーズに対し、株式会社日本航空インターナショナル(JAL)の発行する企業ポイントにより旅行代金等が決済された後の契約の取消しないし変更があった場合に、同企業ポイントの返還をしない旨の条項が、被告と消費者との間で締結する企画旅行契約における契約条項となっており、消費者契約法第10条及び第9条第1号に違反して無効であるとして、本件条項を含む契約の締結の差止め等を求めた事案。

【判断の内容】
本件条項は被告と消費者との間の旅行契約の内容となっているとは認めることができず、その余について判断するまでもなく、原告の請求に理由がない。

◆ H22.10.29京都地裁判決

判決年月日: 2010年10月29日
2011年2月4日 公開

平成21年(ワ)第4693号更新料返還請求事件
判例タイムズ1334号100頁
裁判官 大島眞一

【事案の概要】
マンションの一室について,過去3回にわたって支払った更新料30万円及び遅延損害金の返還を請求した事案。更新料特約が9条1号、10条に違反しないか争われた。

【判断の内容】
以下の理由から、更新料返還請求を棄却した。
① 従来,賃貸借契約においては,賃貸借契約が解約されることがないように賃借権の保護がされてきたが,本件のような居住用賃貸建物においては,賃貸人が賃貸借契約期間中に解約をすることはまず考えられず,賃借権を強化するよりも,賃借人において,転勤等の理由によって転居しなければならないことがあるので,いつでも賃貸借契約を解約できることを認め,解約した場合には,更新料が次の賃借人が見つかるまで空室となって賃料収入が入らないことのいわば補償(賃借人からみると違約金)として扱われ,期間が満了した場合には更新料は賃料として扱われることになると考えるのが,居住用賃貸建物における更新料の実態に最も適合する。
 したがって,更新料を授受した時点では,いまだ更新料の法的な性質は確定しておらず,期間が満了した場合には賃料に,賃借人が途中で解約した場合には既経過部分については賃料に,未経過分は違約金として扱われることになり,純粋に民法601条にいう「賃料」ではないので,賃貸人が賃借人に対し更新料の未経過分を返還しないことに問題はない。
② 10条前段には該当する。
③ 10条後段には該当しない。更新料は,賃貸借契約期間中の途中解約がない限り,賃貸期間全体に対する前払いの賃料に該当するものであるところ,賃料は必ず月額で定めなければならないものではなく,更新料名目で賃貸借契約の更新時に賃料の一部を一時払として支払を求めることは不合理なものではない。賃借人が賃貸借契約を期間途中で解約した場合には,既経過部分は賃料に未経過部分は違約金に相当するところ,合理性がある。
④ 9条1号には該当しない。次の入居人が決まるまでの賃料収入が途絶えることになるが、1カ月程度であれば賃借人に負担させることに合理性がある。

◆ H22.09.16神戸地裁判決

判決年月日: 2010年9月16日
2011年1月27日 公開

平成22年(レ)第183号違約金請求控訴事件
未登載
裁判官 栂村明剛,木太伸広,藪田貴史
原審 神戸簡裁平成21年(少コ)第116号

【事案の概要】
結婚式及び結婚披露宴を開催する契約を締結し、同結婚式等で使用する予定であったウェディングドレスの売買契約(セミオーダー)もあわせて契約した。このドレス売買契約については、契約してから10日までは自由にキャンセルできるが、それ以降のキャンセルの場合、売買代金100%の違約金が発生するという条項があり、その点についての確認書が取られていた。
ところが、結婚式等当日の84日前,ドレス契約日から35日後に,消費者の申出により結婚式等の開催契約が解除された。
そこで、結婚式場が、主位的に売買代金請求、予備的に違約金請求として,売買代金(ないし違約金)31万5000円の支払を求めた。

【判断の内容】
結婚式場が、本件ドレスの製作代金としてメーカーに支払った金額は,11万3400円であり、それ以上の積極的損害を何ら具体的に主張していないことにも鑑みると,結婚式場に生じた本件ドレス契約の効力喪失に伴う積極的損害はそれに尽きているとみることができる。
本件ドレスの発注についても実質的にはメーカーと消費者との間を媒介しているにすぎないとみられることから,メーカーからの仕入代金と本件ドレスの代金との差額を逸失利益として結婚式場に生ずべき平均的な損害に算入することは相当ではないとし、本件ドレス契約の解除に伴い結婚式場に生ずべき平均的な損害額は,結婚式場がメーカーに対して支払った金額と同額の11万3400円であると認めるのが相当である。
したがって,本件取消料条項のうち11万3400円を超える額の違約金の部分は、9条1号により無効。

◆ H22.03.30最高裁判決(1)

判決年月日: 2010年3月30日
2010年6月27日 公開

平成21年(受)第1232号学納金返還請求事件
最高裁HP,裁判所時報1505号148頁,判例タイムズ1323号102頁,判例時報2077号44頁、国センHP(消費者問題の判例集)
裁判官 田原睦夫,藤田宙靖,堀籠幸男,那須弘平,近藤崇晴
第一審 大阪地裁平成19年(ワ)第4451号
控訴審 H21.04.09大阪高裁判決

【事案の概要】【判断の内容】
専願等を資格要件としない大学の推薦入試の合格者が入学年度開始後に在学契約を解除した場合において,学生募集要項に,一般入試の補欠者とされた者につき 4月7日までに補欠合格の通知がない場合は不合格となる旨の記載があるなどの事情があっても,授業料等不返還特約は有効であるとされた事案

◆ H21.10.21東京地裁判決

判決年月日: 2009年10月21日
2011年2月4日 公開

平成20年(ワ)第5792号土地建物所有権移転仮登記抹消登記等請求事件
LLI
裁判官 佐藤英彦

【事案の概要】
有料老人ホームの入居契約における入居一時金の返還請求を含む事例。償却条項(償却期間60ヶ月,非返還対象分30%,返還対象分70%)が9条1号,10条に違反するかが争われた。

【判断の内容】
次の理由から,9条1号,10条違反にはならないとして,返還請求を棄却した。
① 非返還対象分は,有料老人ホームの入居契約の性質上当然に必要とされるものであり,想定利用期間経過後も新たな賃料相当額を負担せずに施設(専用居室及び共用施設)を利用する権利の対価としての性質を有する。
② 施設開設に関わる費用は,施設を利用する入居者全員が負担するものであるところ,非返還対象分は,かかる施設開設に関わる費用の負担分の性質をも有し,合理性がある。
③ 入居契約締結に先立ち,施設のパンフレットを見せられており,これを見ながら契約内容(入居一時金及び償却に関する説明を含む。)の説明を受け,償却条項の内容を了知していた。

◆ H21.08.07東京簡裁判決

判決年月日: 2009年8月 7日
2010年6月16日 公開

平成21年(少コ)第998号敷金返還請求本訴事件(通常手続移行),平成21年(ハ)第23060号解約違約金等請求反訴事件
最高裁HP
裁判官 藤岡謙三

【事案の概要】
建物賃貸借契約で,敷金返還請求に対し,貸主が修理代,及び,1年未満での解約を理由として2ヶ月分の違約金を請求した事案。2ヶ月分の違約金の定めが9条違反となるかが争われた。

【判断の内容】
以下の理由から,2ヶ月分の違約金の定めが9条1項違反として,1ヶ月分を超える部分の請求を棄却した。
① 中途解約の場合の違約金の定め自体は,直ちに10条違反となるとはいえない。
② 違約金については,一般の居住用建物の賃貸借契約において途中解約の場合に支払うべき違約金額は賃料の1ヶ月分とする例が多数であり,相当。これを超える部分は9条1号により無効。

◆ H21.07.10横浜地裁判決

判決年月日: 2009年7月10日
2010年7月9日 公開

平成19年(ワ)第2840号報酬契約金請求事件
判例時報2074号97頁、2111号154頁
裁判官 宮坂昌利

【事案の概要】
弁護士である原告が,依頼者である被告から委任の途中で解任されたことに関し,未払いの着手金残額及びみなし報酬特約または民法130条の規定によるみなし条件成就を主張して報酬の支払いを求めた事案。

【判断の内容】
みなし報酬特約は9条1号に反し無効であるとして請求を棄却した。
① 弁護士との委任契約は消費者契約にあたる。
② 委任者が受任者をその責めによらない事由によって解任したときは,委任の目的を達したものとみなし,報酬の全額を請求できるとするみなし報酬特約は,民法648条3項の特則にあたり,損害賠償額の予定または違約金の定めにあたる。
③ 平均的損害について,当該事件処理のために特別に出捐した代替利用の困難な設備,人員整備の負担,当該事件処理のために多の依頼案件を断らざるを得な かったことによる逸失利益については,通常の弁護士業務体制を想定した場合,本件遺産分割調停事件の受任のためにこのような損害が通常発生するとは言い難 い。
 当該事件にかかる委任事務処理費用の支出,当該事件処理のために費やした時間及び労力については,通常,着手金によってまかなうことが予定されている。
 本件委任契約の定める報酬を得ることができなかった逸失利益については,中途解約にかかる損害賠償額の予定を適正な限度に制限する9条1号の趣旨からは,民法130条の適用があり得ることは格別,平均的損害には含められない。

◆ H21.05.19東京地裁判決

判決年月日: 2009年5月19日
2010年7月7日 公開

平成20年(ワ)第7387号入居金返還請求事件
判例時報2048号56頁,現代消費者法7号92頁

【事案の概要】
介護付有料老人ホームの終身利用権金,入居一時金の返還請求。終身利用権金についての不返還合意,入居一時金の償却合意が9条1号,10条違反となるかが争われた。

【判断の内容】
次の理由から請求棄却した。
① 本件終身利用権金は,入居予定者が原則として終身にわたって利用し各種サービスを受けうる地位を取得するための対価。違約金の定めではなく,10条違反でもない。
② 本件入居一時金は,老人ホームを維持運営するための重要な財源。償却合意は,入居者の入居のための人的物的設備の維持等にかかる諸費用の一部を補う目的,意義を有する。
③ 償却期間は設置者が経営に関する諸事情を踏まえて決定しうる。簡易生命表に照らして,2年6月,3年の期間で償却することも不当ではない。

◆ H21.04.09大阪高裁判決

判決年月日: 2009年4月 9日
2010年6月27日 公開

平成20年(ネ)2706号学納金返還請求控訴事件
法ニュース速報1043
裁判官 一宮和夫,富川照雄,山下寛
第1審 大阪地裁平成19年(ワ)第4451号
上告審 H22.03.30最高裁判決(1)

【事案の概要】
医大における推薦入学合格者の前期授業料の返還請求

【判断の内容】
4月1日以降(4月5日)に入学辞退した場合についても,4月7日まで補欠合格をする取り扱いがされているとの特段の事由があり,平均的損害を生じていないとして,返還請求を認めた。

◆ H21.03.31大阪地裁判決

判決年月日: 2009年3月31日
2010年6月14日 公開

平成20年(ワ)第10436号建物明渡請求事件
消費者法ニュース85号173頁
裁判官 藤倉徹也

【事案の概要】
 建物賃貸借契約で,家賃等を3ヶ月以上滞納したときは、貸主は催告によらないで契約を解除することができ、契約解除後も本件建物を明け渡さないときは、契約解除の翌日から本件建物明渡しの日まで家賃相当額の1.5倍の損害賠償金を貸主に支払うという条項の効力が争われた。

【判断の内容】
① 賃貸借契約の終了に基づく目的物返還義務の履行遅滞を原因とする損害賠償における損害は、当該不動産の有する使用価値それ自体が侵害されたことによる積極的損害であると解されるところ、賃貸借契約においては当該不動産の使用価値をもって賃料とするのが通常であるから、賃料相当損害金の算定については、特段の事情がない限り、従前の賃料を基準として算定するのが相当と解される。
 そうすると、不動産賃貸借契約において、賃貸借契約の終了に基づく目的物返還義務の履行遅滞が生じた場合における「平均的損害」は、原則として、従前の賃料を基準として算定される賃料相当損害金を指すものと解するのが相当。
② 家賃等相当額の1.5倍の賠償金の支払いに関する規定は、家賃等損害金相当額の支払いを求める部分をこえる部分について、9条1号に反し、無効。

◆ H21.02.20東京簡裁判決

判決年月日: 2009年2月20日
2010年6月12日 公開

平成20年(少コ)第3509号解約予告不足金請求事件
最高裁HP
裁判官 藤岡謙三

【事案の概要】
建物賃貸人が,中途解約をした賃借人に対し,解約予告不足金を請求した事案。解約予告不足金条項が10条,9条違反,民法90条違反となるとして争われた。

【判断の内容】
下記のように判断し,1ヶ月分の賃料・共益費相当額及び年14.6%の遅延損害金のみ認め,その余を棄却した。
① 解約予告不足金を定めること自体は,民法上でも期間の定めのある場合でも解約権の留保が認められていることから,一律に無効としなければならないものではない。
② 一般に,解約予告期間及び予告に代えて支払うべき違約金額の設定は1ヶ月分とする例が多数であり,解約後次の入居者を獲得するまでの一般的な所要期間 として相当と認められるので,解約により原告が受けることがある平均的な損害は賃料・共益費の1ヶ月分相当額であると認めるのが相当(民事訴訟法248 条)。
③ 遅延損害金は,9条2号により年14.6%を超える部分は無効。

◆ H20.12.24東京地裁判決

判決年月日: 2008年12月24日
2011年2月4日 公開

平成20年(ワ)第18864号建物明渡請求事件
LLI
裁判官 笠井勝彦

【事案の概要】
建物の定期借家契約が終了した後,明け渡しまでの明渡遅延使用料(賃料の倍額)の支払を求めた事案。
「賃借人が本件契約終了と同時に本件建物を明け渡さない場合,賃貸人の請求により,終了の翌日から明渡しに至るまで,賃料の倍額及び管理費に相当する額の使用料を支払わなければならない」との条項が9条1号,10条に反しないかが争われた。

【判断の内容】
以下の理由から,9条1号,10条違反ではないとして,明渡遅延使用料の支払いを認めた。
① 9条1号は,消費者契約の解除に伴う損害賠償の予定又は違約金を定める条項に関する規定であるところ,本件規定はそのような条項ではないから,同号の適用はない。
② 明け渡しのために債務名義取得,強制執行には時間と費用がかかること,賃借人が明渡義務を果たさない場合に備えておくために従前の対価等以上の支払をしなければならないという経済的不利益を予定することは合理的であり,賃借人が上記義務を履行すれば不利益は現実化しないのであるから賃借人の利益を一方的に害するものではなく合理性がある。
③ 賃借人が従前と同じ経済的負担をすれば目的物の使用収益を継続できるとするのは契約の終了と整合しない不合理な事態であり,賃借人に返還義務の履行を困難にさせる経済的事情等があるとしても,その事情等が解消するまで賃貸人の犠牲において同義務の履行を免れさせるべき理由はない。
④ 本件規定は,契約書上に明記されており,これが賃借人の明渡義務の適時の履行の誘引として定められたものであることは明らか。これによって賃借人が受ける不利益は,賃料相当額の負担増だけであり,しかもそれは賃借人が上記義務を履行すれば発生しないのであって,賃貸人が暴利を得るために本件規定が定められたものでないことも明らか。
⑤ 賃借人が本件建物を居所としていたとしても,本件契約が終了すればその使用収益ができなくなるのは当然。

◆ H20.12.17東京高裁判決

判決年月日: 2008年12月17日
2010年6月12日 公開

平成18年(ネ)第141号設備費用請求控訴事件
金融商事判例1313号42頁
裁判官 藤村啓,佐藤陽一,岸日出夫

【事案の概要】
顧客らがそれぞれ取得した各建物に業者があらかじめ設置しておいたLPガス消費設備及び給湯器に関して顧客らとの間で締結した各貸与契約に定められた中途 解約の場合の補償費支払に関する合意に基づき,顧客らに対し,各補償費の支払を求めた事案。同条項が9条1号にあたるか否かが争われた。

【判断の内容】
① 建物に設置された機器類が附合あるいは即時取得により建物所有者である顧客らの所有に属することとなるとした上で,補償費の支払いが機器類の売買代金の支払い又は利益調整であるとの業者の主張を排斥し,結局違約金条項と解するほかないと判断した。
② 平均的損害を超える額についても認められないとして,結局9条1号により同条項は無効であるとして,業者の請求を棄却した。

◆ H20.10.17東京地裁判決

判決年月日: 2008年10月17日
2010年6月12日 公開

平成18年(ワ)第3751号卒業認定等請求事件
判例時報2028号50頁
裁判官 佐久間邦夫,石原直弥,中依子

【事案の概要】
私立高校の生徒が,退学処分の効力を争うとともに,予備的に納付済みの授業料等は理由のいかんを問わず返還しない旨の学則(学費不返還特約)の効力は9条1号等に反して無効であるとして,退学処分日以降の学費の返還を求めた。

【判断の内容】
年度途中の退学処分は高校にとって予測困難であったところ,一般に在学契約に基づく生徒に対する給付は4月1日から翌年3月31日までの1年を単位として 準備されており,新年度開始日(4月1日)には当年度における教育役務等の給付の準備がされていたことに鑑みれば,在籍予定期間の授業料等に相当する金員 は,平均的な損害額に該当するものというべきであり,不返還特約は平均的な損害額を超えるものではない,学費の返還請求を認めなかった。

◆ H20.04.25東京地裁判決

判決年月日: 2008年4月25日
2010年6月8日 公開

平成19年(ワ)第23907号不当利得返還等請求事件
未登載
裁判官 綿引穣

【事案の概要】
セクハラ発言を受け,プロダクションとの所属タレント契約を解除したタレントが,契約金(25万円)の返還を求めるなどしたのに対し,契約金は受領後如何なる場合であっても一切返還しない旨の条項の効力が争われた。

【判断の内容】
契約金は受領後如何なる場合であっても一切返還しない旨の条項につき,解除に伴い当該事業者に発生する平均的損害を超える部分は9条1号により無効と解す べきところ,事実関係に照らし,プロモートのために撮った写真代(1万2600円)のほかに合理的な出費の存在を認めることはできないとし,これを差し引 いた残金につき返還請求を認めた。

◆ H20.03.28福岡高裁判決

判決年月日: 2008年3月28日
2010年6月8日 公開

平成19年(ネ)第202号手付金返還,損害賠償請求控訴事件
判例時報2024号32頁
裁判官 丸山昌一,川野雅樹,金光健二

【事案の概要】
マンション売買契約締結後,買主が代金を支払わないために契約解除となったことから,宅建業者である売主が売買代金の2割とする違約金条項に基づき違約金を請求した事案。違約金条項が9条1号,10条に違反するか否かが問題となった。

【判断の内容】
次のように判断し,消費者契約法の適用がないとしつつ,信義則により違約金の額を制限した。
① 宅建業法38条により,違約金の額は代金の10分の2を超えてはならず,これに反する特約は無効としているから,本件違約金特約は宅建業法38条には違反しない。
② 宅建業法38条があるので,消費者契約法11条2項により,9条1号,10条は適用されない。

◆ H19.06.01京都地裁判決

判決年月日: 2007年6月 1日
2010年6月8日 公開

平成18年(レ)第94号保証金返還請求控訴事件
未登載
裁判官 田中義則,阪口彰洋,溝口優

【事案の概要】
賃借人(被控訴人)が清掃代,原状回復費用,解約手数料(解約した場合家賃2ヶ月分の解約手数料を支払う約定がある)の控除により返還されなかった保証金20万円を請求し,賃貸人(控訴人)は過去の更新料を反訴請求した訴訟の控訴審判決。

【判断の内容】
控訴棄却。
① 原状回復特約のうち通常損耗分を賃借人に負担させる部分は10条で無効である。本件では通常損耗を超える汚損を生じさせたと認めるに足りる証拠はない。
② 解約手数料の定めは9条1号により無効。
③ 平成14年6月1日更新の際の更新料の請求については,更新料特約の締結が消費者契約法施行前であり,消費者契約法の適用がない。本件更新料の特約は 公序良俗には反しないが,すでに契約終了時にも請求していなかったこと等からは,現段階で請求するのは信義則に反し許されない。

◆ H19.05.23東京高裁判決

判決年月日: 2007年5月23日
2010年6月8日 公開

平成18年(ネ)第5683号不当利得返還請求控訴事件
未登載
裁判官 石川善則,倉吉敬,徳増誠一
第1審 H16.03.30 東京地裁判決
控訴審 H17.03.10 東京高裁判決
上告審 H18.11.27最高裁判決(1)

【事案の概要】
推薦入学の解除の場合,特段の事情がない限り,初年度授業料等に相当する平均的な損害が生ずるとした上告審(H18.11.27最高裁判決)を受けて,特段の事情の有無を審理した学納金事件差戻審判決

【判断の内容】
学生が在学契約を解除した時期を平成14年3月13日と認定した上で,当該解除の時点においては,推薦入試はもとより一般入試に至るすべての入学試験およ び合格発表も完了していたことから,大学が代わりの入学者を通常容易に確保することができる時期を経過していないなどの特段の事情が存在すると認めること はできず,学納金不返還特約のうち授業料等相当額部分についても大学に生ずべき平均的損害を超えるものとは認められず有効とした。

◆ H18.12.22最高裁判決

判決年月日: 2006年12月22日
2010年6月8日 公開

平成17年(受)第1762号学納金返還請求事件
最高裁HP,判例時報1958号69頁,判例タイムズ1232号84頁
裁判官 古田佑紀,滝井繁男,津野修,今井功,中川了滋

【事案の概要】
いわゆる鍼灸学校の入学試験に合格し,同学校との間で納付済みの授業料等を返還しない旨の特約の付された在学契約を締結した者が,入学年度の始まる数日前に同契約を解除した場合において,同特約が9条1号により無効とされた事例

【判断の内容】
"鍼灸学校であっても,在学契約の性質,学納金の性質,不返還特約の性質及び効力については,大学に関する平成18年11月27日の判例の説示が基本的に妥当する。
3月31日より前に辞退しているのであれば平均的損害は損しないのであり,不返還特約は無効である。

◆ H18.11.27最高裁判決(6)

判決年月日: 2006年11月27日
2010年6月6日 公開

平成17年(受)第1283号学納金返還請求事件
未登載
裁判官 古田佑紀,滝井繁男,津野修,今井功,中川了滋
第1審 H16.04.30東京地裁判決
控訴審 H17.03.30東京高裁判決

【事案の概要】
大学の入学試験に合格し,学納金を納付した後に入学を辞退し,民法又は9条1号,10条により学納金の返還を求めた。

【判断の内容】
① 学生はいつでも任意に在学契約等を将来に向かって解除することができ,口頭による意思表示も可能。
② 入学手続要項等に4月2日の就学手続日に就学手続を行わなければ入学許可が取り消される旨記載がある大学について,手続を行わなかった者について,4月2日の解除を認め,大学に平均的損害は存しないとして,授業料の返還請求を認めた。

◆ H18.11.27最高裁判決(5)

判決年月日: 2006年11月27日
2010年6月6日 公開

平成17年(受)第1437号学納金返還請求事件
最高裁HP,最高裁判所民事判例集60巻9号3597頁,判例時報1958号12頁,判例タイムズ1232号97頁
裁判官 中川了滋,滝井繁男,津野修,今井功
控訴審 H17.04.22大阪高裁判決

【事案の概要】
学納金返還請求。入学手続要項等に「入学式を無断欠席した場合には入学を辞退したものとみなす」等の記載があった場合で,入学式の無断欠席した場合,在学契約の解除の意思表示をしたことになるか,なるとしても,その場合の平均的損害が問題となった。

【判断の内容】
1 入学手続要項等に「入学式を無断欠席した場合には入学を辞退したものとみなす」,「入学式を無断欠席した場合には入学を取り消す」等の記載がある大学 の入学試験の合格者が当該大学との間で在学契約を締結した場合において,当該合格者が入学式を無断で欠席することは,特段の事情のない限り,黙示の在学契 約の解除の意思表示に当たる。
2 入学手続要項等に「入学式を無断欠席した場合には入学を辞退したものとみなす」,「入学式を無断欠席した場合には入学を取り消す」等の記載がある大学 の入学試験の合格者と当該大学との間の在学契約における納付済みの授業料等を返還しない旨の特約は,入学式の日までに明示又は黙示に同契約が解除された場 合には,原則として,当該大学に生ずべき消費者契約法9条1号所定の平均的な損害は存しないものとして,同号によりすべて無効となる。

◆ H18.11.27最高裁判決(3)

判決年月日: 2006年11月27日
2010年6月4日 公開

平成18年(受)第1130号不当利得返還請求事件
最高裁HP,判例時報1958号62頁,判例タイムズ1232号89頁
裁判官 古田佑紀,滝井繁男,津野修,今井功,中川了滋
控訴審 H18.03.23東京高裁判決平成17(ネ)第5282号

【事案の概要】
学納金の返還請求。大学の職員から入学式に出席しなければ入学辞退として取り扱う旨告げられたため3月31日までに在学契約を解除することなく入学式に欠席することにより同契約を解除した場合であった。

【判断の内容】
大学の入学試験に合格し,納付済みの授業料等の返還を制限する旨の特約のある在学契約を締結した者が,同大学の職員から入学式に出席しなければ入学辞退として取り扱う旨告げられ,入学式に欠席した場合において,同大学が同特約が有効である旨主張することは許されない。

◆ H18.11.27最高裁判決(2)

判決年月日: 2006年11月27日
2010年5月31日 公開

平成17年(オ)第886号不当利得返還請求事件
最高裁HP,判例時報1958号61頁,判例タイムズ1232号82頁
裁判官 古田佑紀,滝井繁男,津野修,今井功,中川了滋
第一審 H15.10.23東京地裁判決(1)
控訴審 H17.02.24東京高裁判決(2)

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
9条1号は,憲法29条に違反しない。

◆ H18.11.27最高裁判決(1)

判決年月日: 2006年11月27日
2010年5月31日 公開

平成17年(受)第1158号不当利得返還請求事件
最高裁HP,最高裁判所民事判例集60巻9号3437頁,判例時報1958号12頁,判例タイムズ1232号97頁
裁判官 古田佑紀,滝井繁男,津野修,今井功,中川了滋
第一審 H16.03.30東京地裁判決
控訴審 H17.03.10東京高裁判決
差戻審 H19.05.23東京高裁判決

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
① 在学契約は有償双務契約としての性質を有する私法上の無名契約。
② 在学契約は,特段の事情がない限り,学生が要項等に定める入学手続の期間内に学生納付金の納付を含む入学手続を完了することによって成立する。双務契約としての在学契約における対価関係は4月1日以降に発生する。
③ 入学金は,その額が不相当に高額であるなど他の性質を有するものと認められる特段の事情がない限り,学生が当該大学に入学しうる地位を取得するための対価としての性質を有する。
④ 学生はいつでも任意に在学契約等を将来に向かって解除することができ,口頭による意思表示も可能。
⑤ 入学金については,その納付をもって学生は上記地位を取得するから,その後に在学契約が解除されても返還義務を負わない。
⑥ 授業料の不返還特約部分は,在学契約の解除に伴う損害賠償額の予定又は違約金の定めの性質を有する。
⑦ 9条1号については,事実上の推定が働く余地があるとしても,基本的には平均的損害を超えて無効であると主張する学生が主張立証責任を負う。
⑧ 4月1日には,学生が特定の大学に入学することが客観的にも高い蓋然性をもって予測されるから,それ以前の解除については大学側は織り込み済みと解され,原則として平均席損害は存しない。
⑨ 4月1日以降の解除の場合は,授業料等はそれが初年度に納付すべき範囲内のものにとどまる限り大学に生ずべき平均的な損害を超えず不返還特約は有効。
⑩ 推薦入学の場合,解除は大学にとって織り込み済みではないので,特段の事情のない限り平均的損害が生じ不返還特約は有効。

◆ H18.11.09東京地裁判決

判決年月日: 2006年11月 9日
2010年7月7日 公開

平成18年(ワ)第3471号不当利得返還請求事件
LLI
裁判官 村田渉

【事案の概要】
有料老人ホームの入居申込金等の返還請求。東京都の指針に反していることを告げないことが不利益事実の不告知となるか,入居申込金の追加支払条項,不返還条項が10条違反となるかが争われた。

【判断の内容】
次の理由から請求を棄却した。
① 東京都の指針は重要事項には当たらない。
② 本件追加支払条項は10条違反ではない。
③ 本件不返還条項は,保証金の入居月数に応じた返還金の算定方式が明確にされており,かつ一時金のうち返還対象とならない部分の割合が不適切であると認めるに足りる証拠もない。
④ 本件入居申込金,施設協力費及び保証金がいずれも実質的に居住サービスの対価であると断定することはできず,また保証金の償却が解約による平均的損害額を超えるものであると認めるに足りる証拠もない。

◆ H18.06.27高知地裁判決

判決年月日: 2006年6月27日
2010年5月30日 公開

国セン報道発表資料HP2006年10月6日

【事案の概要】
学納金不返還特約は,9条1号,10条,民法90条に反し無効であるとして,学納金の返還を求めた。

【判断の内容】
社会人特別選抜入学試験を受験しながら年度末になって入学を辞退したからといって,学納金の返還を請求することが信義則に違反するとまではいえない。
入学金は,入学手続事務の諸経費に要する手数料的なものという性質を一部有しているほか,入試合格者ないし入学者が当該大学に入学し得る地位を取得するこ とについての対価(一種の権利金)の面を有するものである。原告は入学手続を完了しており,その後に原告が自己の都合で入学を辞退したとしても被告が入学 金を返還すべき義務は負わない。
本件不返還特約は9条1号に該当するとして,授業料等については返還を認めた。

◆ H18.06.27東京地裁判決

判決年月日: 2006年6月27日
2010年5月30日 公開

平成16年(ワ)第7327号不当利得返還請求事件
国セン報道発表資料HP2006年10月6日,判例時報1955号49頁,判例タイムズ1251号257頁
裁判官 永野厚郎,西村康一郎,佐野文規

【事案の概要】
学納金の不返還合意は民法651条2項但書の趣旨に反すること,9条1号の平均的損害を超えること,あるいは10条ないし民法90条に該当することから無効であるとして,不当利得に基づき学納金の返還を求めた。

【判断の内容】
入学金を納入することによって,大学との間の在外契約を締結し得る地位を得たものであり,既履行部分の対価たる入学金を保持することが不当利得となる余地はない。
授業料等については,不返還合意が9条1号に違反するとして返還を認めた。

◆ H18.06.12東京地裁判決

判決年月日: 2006年6月12日
2010年5月30日 公開

平成17年(ワ)第22799号契約金返還請求事件
未登載
裁判官 田中俊行

【事案の概要】
建物建築請負契約を建築開始前に解約し,支払済みの契約金300万円から10万円を差し引いた金額の返還請求をした。「請負代金総額の3分の1または請負人に生じた損害額のどちらか高い方を賠償する」との条項の効力が争われた。

【判断の内容】
以下の理由から,当該条項について9条1項に違反し,10万円を超える限度で無効とし,返還請求を認めた。
① 9条1号の「平均的な損害」とは,当該損害賠償額の予定条項において設定された解除の事由,時期等により同一の区分に分類される多数の同種契約事案の解除に伴い,当該事業者に生じる損害の額の平均値を意味する。
② 「平均的な損害」の立証責任は事業者側にある。
③ 本件条項は,解除の事由,時期を問わず一律に契約金の3分の1以上が平均的損害となるというものであるが,その合理性について立証はなく,本件解除の時期ではむしろ10万円を超えないことが明らか。
④ 民訴法248条による損害額の認定は,損害が生じたことが立証されたがその額を立証するのが困難な場合の規定であり,本件では損害の立証がそもそも10万円を超えない範囲でしかされていないので,適用の前提を欠く。

◆ H18.05.25東京地裁判決

判決年月日: 2006年5月25日
2014年3月29日 公開

平成17年(ワ)第16768号入学金返還請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 松本明敏

【事案の概要】
 原告が、被告設置の大学の入学試験に合格し、入学時納付金として入学金及び授業料その他の費用を納付した後、入学を辞退したことにより在学契約は解除されたとして、被告に対し、不当利得返還請求権に基づき、未返還の学納金及びその遅延損害金の支払を求めた事案。

【判断の内容】
① 入学金は、入学し得る地位または学生たる地位取得の対価であり、入学事務手続の手数料としての性格を併せ有する。被告に対し入学金を納付したことにより、被告の原告に対する入学事務手続が履践されて本件在学契約を成立させることができ、本件大学に入学し得る地位を取得したのであるから、原告としては、納入した入学金の対価的利益を享受したのであり、原告から納付された入学金を取得することについて、被告に法律上の原因があるというべき。
② 授業料については,本件不返還特約は9条1号により無効であり,返還すべき。

◆ H18.03.27福岡簡裁判決

判決年月日: 2006年3月27日
2010年5月30日 公開

平成17年(ハ)第60340号敷金等返還請求事件
未登載

【事案の概要】
マンションの居室賃貸借契約で,中途解約をした借主が,敷金及び違約金の返還を求めた。敷引特約(家賃3ヶ月分,15万6000円)及び中途解約違約金特約(家賃1ヶ月分)の効力が争われた。

【判断の内容】
以下の理由から,敷引特約が10条違反により無効であるとして返還請求を認め,違約金特約は有効であるとして違約金については返還請求を認めなかった。
① 敷引特約は,その合意内容が当事者間において明確で,合理性があり,賃借人に一方的に不利益なものでなければ,直ちに無効とはいえない。
② しかし,敷引には合理性がない。
③ 賃貸借期間1年以内の借主による一方的解約は,貸主に不測の損害を与えること,1ヶ月前の予告があったとしても,新たな借り主を見つけるには2ヶ月程度を要することから,本件特約は9条1号,10条には反しない。

◆ H18.01.31東京地裁判決

判決年月日: 2006年1月31日
2014年3月29日 公開

平成16年(ワ)第14344号学納金返還請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 石井浩、間部泰、川原田貴弘

【事案の概要】
 被告が設置する大学に合格し、入学金や授業料等を納入した後、他大学への合格を理由に入学を辞退した原告が、不当利得返還請求権に基づき、被告に対し、入学時納入金の返還等を求めた事案。

【判断の内容】
① 平均的損害の立証責任は消費者が負うが,平均的な損害に関する情報及び証拠の多くは事業者側にあるものと認められるところ、消費者と事業者との間の情報の質及び量の格差を是正し、消費者の利益を擁護することを目的とする消費者契約法の趣旨にかんがみれば、平均的な損害の額を超えることが一応の合理的理由に基づいて認められた場合には、事業者において必要な反証がされない限り、消費者の立証責任は尽くされたものとして、立証された金額が平均的な損害の額であると事実上推定されると解するのが相当。
② 入学金は大学に入学し得る地位を取得することなどの対価であり、大学はその返還をすることを要しない。
③ 授業料・教育充実費については,入学予定者の入学辞退により何らかの平均的損害はないものと認めるのが相当であるから、授業料及び教育充実費を返還することを要しない旨の合意は9条1号により無効であり、被告大学はこれを返還することを要する。

◆ H17.10.21大阪地裁判決

判決年月日: 2005年10月21日
2010年5月29日 公開

平成16年(ワ)第5920号学納金返還請求事件
未登載
裁判官 瀧華聡之,堀部亮一,芝本昌征

【事案の概要】
ファッションに関する専門学校に入学した原告が,入学申込手続にあたり被告から受講課程の内容が実際とは違っていた点や,卒業生の就職率が100%であると説明を受けた点が不実告知,不利益事実の不告知にあたるとして4条1項1号,2項による在学契約の取消を主張した。
また,入学後に退学をしたことにより,学納金の返還を請求し,不返還条項が9条1号,10条に反するかどうかが争われた。

【判断の内容】
①不実告知,不利益事実の不告知については事実が認定できない。
②本件専門学校の在学契約は無名契約である。
③入学金は,在学契約を締結できる資格を取得し,これを保持しうる地位を取得することに対する対価とし,かかる地位をすでに取得した以上返還を求めることはできない。
④「平均的な損害の額」(9条1号)とは,同一事業者が締結する多数の同種契約事案について,類型的に考察した場合に算定される平均的な損害の額をいう。
⑤本件では,ひとつながりのカリキュラムの部分について平均的損害が認められるとして,授業料,教育充実費,施設・設備維持費の1カリキュラム分(半年分)を超える部分について,9条1号に違反するとして,返還請求を認めた。
⑥10条違反は否定した。

◆ H17.09.30大阪地裁判決

判決年月日: 2005年9月30日
2010年5月29日 公開

平成17年(レ)第72号受講料等返還請求控訴事件
消費者法ニュース66号209頁
裁判官 三代川俊一郎,金田洋一,三芳純平
第1審 H17.01.27東大阪簡裁判決

【事案の概要】
こども英会話講師養成認定資格の受講契約を締結し,入会金と受講料を振り込んだが,受講前に解約し,入会金と受講料の返還を求めた。

【判断の内容】
次の理由から,入学金2万円を除く既払い金25万円の返還請求を認めた。
① 本件受講契約は準委任契約である。
② 不解除条項は10条違反であり無効である。
③ 不返還条項は9条1号の趣旨に反する。
④ 入学金2万円は約定のクーリングオフ期間中申込者の受講枠を確保する対価(権利金)の性質を有する。
⑤ 入学金部分について平均的損害を超えることの立証がない(9条1号の「平均的な損害」の立証責任が消費者にあることを前提)。

◆ H17.09.09東京地裁判決

判決年月日: 2005年9月 9日
2010年5月29日 公開

平成17年(レ)第67号不当利得返還請求控訴事件
最高裁HP国セン報道発表資料HP2006年10月6日,判時1948号96頁
裁判官 藤山雅行,大須賀綾子,筈井卓矢

【事案の概要】
挙式予定日から1年以上前に結婚式場の予約をし,その数日後に予約を取り消した場合において,予約金10万円の返還を認めない条項は10条,9条1項により無効であるとして,不当利得による返還請求をした。

【判断の内容】
挙式予定日の1年以上前から得べかりし利益を想定することは通常困難であり,仮にこの時点で予約が解除されたとしてもその後1年以上の間に新たな予約が入 ることも十分期待し得る時期にあることも考え合わせると,その後新たな予約が入らないことにより被控訴人が結果的に当初の予定どおりに挙式等が行われたな らば得られたであろう利益を喪失する可能性が絶無ではないとしても,そのような事態はこの時期に平均的なものとして想定し得るものとは認め難いとして,本 件取消料条項は9条1号により無効であるとし,返還請求を認めた。

◆ H17.08.18郡山簡裁判決

判決年月日: 2005年8月18日
2010年5月16日 公開

平成16年(ハ)第2248号授業料請求事件
未登載
裁判官 坂井和雄

【事案の概要】
高校を卒業した浪人生が予備校に入学後2,3日でやめたところ,予備校から授業料等不返還特約に基づき授業料等70万5000円の支払を求められた(まだ支払っていなかった)事案。

【判断の内容】
① 平均的損害の主張立証責任は事業者が負う。
② 本件では,平均的損害の立証がなされたとはいえない。
として,9条1号により予備校の請求を棄却した。

◆ H17.07.21東京地裁判決

判決年月日: 2005年7月21日
2010年5月29日 公開

平成16年(ワ)第21104号
LLI
裁判官 杉山正己,瀬戸口壯夫,大畠崇史

【事案の概要】
大学入学を辞退した原告らが入学金・授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
以下の理由から,授業料の返還請求を認めた。
① 入学金の法的性質について,それ以外の趣旨を含むとの特段の事情のない限り,学生としての地位を取得する対価であるから,その返還を請求することはできない。
② 授業料について,4月1日以降の入学式前の時点で辞退した原告も含めて,平均的損害が生じたことをうかがわせる証拠はないから,その返還を要しないとする規定は全部無効であり,その返還を請求することができる。

◆ H17.04.28横浜地裁判決

判決年月日: 2005年4月28日
2010年5月27日 公開

平成14年(ワ)第3573号,平成15年(ワ)第1179号,第3452号不当利得返還請求事件
判例時報1903号111頁,金融商事判例1225号41頁
裁判官 河邉義典,太田雅之,小林元二

【事案の概要】
学納金の返還を求めた。

【判断の内容】
入学金の法的性質について,「学生としての地位」の対価(推薦入学の場合は推薦合格の対価としての性質も併有)とし,現実にその地位を取得するのは4月1 日であるから,それ以前に入学を辞退した場合には返還すべきとし,不返還条項については,平均的損害を超える部分について返還すべきとした。
平均的損害の主張立証責任は原告にあるとしつつ,立証が困難であることから,民事訴訟法248条により損害を認定した(入学事務手続のための費用として徴収している『諸経費』と同等額と認定)。
授業料については,返還すべきとした。

◆ H17.04.22大阪高裁判決

判決年月日: 2005年4月22日
2014年3月23日 公開

平成16年(ネ)第1083号学納金返還請求控訴事件
民集60巻9号3698頁,ウエストロー・ジャパン
上告審 H18.11.27最高裁判決(5)

【事案の概要】
 学納金返還請求。①在学契約及び学納金の法的性格,入学辞退の法的効果,②在学契約に消費者契約法が一般的に適用されるか,③本件特約が9条1号により無効となるか,本件特約が10条により無効となるか,等が争われた。入学手続要綱等に「入学式を無断欠席した場合には入学を辞退したものと見なす」などの記載があった。

【判断の内容】
① 学生からの在学契約解消については民法651条の類推適用を認め,同条1項により,いつでも在学契約を将来に向かって解除することができるものと解するのが相当であり,学生からの入学辞退の意思表示はこの在学契約解除の意思表示と理解するのが相当。
② 授業料等の不返還を定める部分は,9条1号に当たる。
③ 平均的損害の額の立証責任は,消費者が負う。
④ 3月31日までに在学契約を解除した場合,授業料部分は平均的な損害を超えるものとなる。
⑤ 4月1日以降に在学契約を解除した場合,学部・学科の授業内容,定員数,発生すると考えられる損害の内容,等の事情を考慮し,大学,各部,学科ごとに,20万円から30万円の範囲で平均的損害を算定した。
⑥ 本件特約には10条は適用されない。

◆ H17.03.30東京高裁判決

判決年月日: 2005年3月30日
2010年5月27日 公開

平成16年(ネ)第3109号不当利得返還請求事件
未登載
第1審 H16.04.30東京地裁判決
上告審 H18.11.27最高裁判決(6)

【事案の概要】
大学の入学試験に合格し,学納金を納付した後に入学を辞退し,民法又は9条1号,10条により学納金の返還を求めた。

【判断の内容】
① 消費者契約法施行以前の契約については返還義務を否定した。
② 入学金については,「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
③ 原審の平均的損害額であることの主張立証責任は事業者が負うという部分は削除され,消費者にあるとされた。
④ 消費者契約法施行後の授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。ただし,原告のうち4月1日以降の入学辞退者については,授業料の返還を否定した。

◆ H17.03.25京都地裁判決

判決年月日: 2005年3月25日
2010年5月27日 公開

平成16年(ワ)第1622号学納金返還請求事件
未登載
裁判官 楠本新

【事案の概要】
入学金35万円,運営協力金35万円の合計70万円の学納金の返還を求めた。

【判断の内容】
本件納付金(入学金,運営協力金)の法的性質について,募集要項と過去5年間の決算内容を検討し,結局学校は本件納付金を経常的な運営費として取り扱って いることが明らかとし,入学者に負担させるべきであり,入学辞退者に負担させるには特段の事情が必要であるとして,入学辞退者が生ずることにより空きが増 えることは特段の事情には当たらないとして,10条により不返還条項を無効とした。

◆ H17.03.10東京高裁判決

判決年月日: 2005年3月10日
2010年5月27日 公開

未登載
第一審 H16.03.30東京地裁判決
上告審 H18.11.27最高裁判決(1)
差戻審 H19.05.23東京高裁判決

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
消費者契約法施行以前の契約については返還義務を否定した。授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。但し,原告のうち 4月1日以降に辞退を申し出た者については,授業料の返還を否定した。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。

◆ H17.02.24東京高裁判決(2)

判決年月日: 2005年2月24日
2010年5月27日 公開

東京高裁平成15年(ネ)第6002号
未登載
第一審 H15.10.23東京地裁判決(1)
上告審 H18.11.27最高裁判決(2)

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
消費者契約法施行以前の契約については返還義務を否定した。消費者契約法施行後の授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じ た。ただし,原告のうち4月1日以降の入学辞退者については,授業料の返還を否定した。入学金については,「入学資格を得た対価」として返還義務を否定し た。一般入試以外の場合には,当該学部・学科を第1志望とすることが出願資格であり,学納金等の返還を求めることは信義則違反とし,返還請求を認めなかっ た。

◆ H17.02.24東京高裁判決(1)

判決年月日: 2005年2月24日
2010年5月27日 公開

未登載
第1審 H16.03.22東京地裁判決

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【内容の判断】
授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。4月22日に辞退を申し出た者については,授業料の返還義務を否定した。

◆ H16.12.20東京地裁判決

判決年月日: 2004年12月20日
2010年5月24日 公開

平成14年(ワ)第20658号,第24250号,第28684号不当利得返還請求事件
判例タイムズ1194号184頁
裁判官 野山宏,酒井正史,出口亜衣子

【事案の概要】
大学の入学試験に合格し,学納金を納付した後に入学を辞退し,民法又は9条1号,10条により学納金の返還を求めた。

【判断の内容】
① 消費者契約法施行以前の契約については,返還義務を否定した。
(施行後の契約について)
② 入学金は入学資格を取得するための権利金又は予約完結権の対価の性質を有するとして返還義務を否定した。
③ 授業料等入学金以外の学納金については,学校側が最終的な入学者数が定員を若干上回るように補欠・繰上含めて合格者数を定め,毎年最終の入学者数とこ れに伴う授業料収入をある程度の幅をもって予測し,これに必要な人的・物的手当を準備すると共に,人件費,物件費の支出見込額を計上していること,入学手 続完了後の入学辞退者の全体に占める比率も小さいこと等から,予測した入学者数の加減を下回ることは通常考えられず,学校側に生じる平均的な損害はないも のとして,9条1号により返還を認めた。

◆ H16.11.18大阪地裁判決

判決年月日: 2004年11月18日
2010年5月24日 公開

平成15年(ワ)第13395号学納金返還請求事件
未登載
裁判官 中本敏嗣

【事案の概要】
コンピュータ専門学校に入学した後,2学年の授業料の内金を支払ったが,その後2学年に進級する前に退学したとして,不当利得返還請求権に基づき支払った内金の返還を求めた。

【判断の内容】
①一般に在学契約は,準委任契約の性質を有しつつも,施設利用契約等の性質を併せ持つ複合的な無名契約であり,学生はいつでも将来に向けて在学契約を解約できる。
②「平均的な損害の額」(9条1号)の立証責任は,学納金不返還特約の効力を否定する消費者の側にある。
③本件では,在学契約の解除が年度を超えた6月21日であると認定しつつ,退学の意思を表明したのが2月10日であり,2学年次の初めから休学扱いとさ れ,2学年次の授業を全く受けていないこと,学校側が入学定員を設定している以上,定員割れがあるかどうかにかかわらず,それだけの設備は当然に備えてお かなければならないことなどから,退学者が出ても学校側に損害が生じたとは言い難いとし,既に納付した授業料相当額全額が平均的な損害を超えるものとし て,全額の返還請求を認めた。

◆ H16.11.18大津簡裁判決

判決年月日: 2004年11月18日
2010年5月24日 公開

平成16年(ハ)第317号不当利得返還請求事件
未登載
裁判官 清野住和

【事案の概要】
専門学校合格後,入学式前に入学を辞退した受験生が,納付した入学金及び運営協力金のうち運営協力金の返還を求めた。

【判断の内容】
①運営協力金は,入学後の教育施設の利用及び教育的役務の享受に対する対価であり,入学金のように入学し得る地位を保持することの対価としての性質を有するものではない。
②損害賠償義務の一部について無効という利益を受ける消費者が「平均的な損害の額を超える」ことの立証責任を負う。
③在学契約を完全に履行した場合に得られる利益額が平均的損害に含まれるとする学校側の主張を斥け,被告の主張以外に損害及び損害額を認め得る証拠は存在しないとして,運営協力金全額の返還を命じた。

◆ H16.10.22大阪高裁判決

判決年月日: 2004年10月22日
2010年5月24日 公開

平成16年(ネ)第295号学納金返還請求控訴事件
未登載
裁判官 大谷種臣,三木昌之,島村雅之
第1審 H15.12.22大阪地裁判決(2)

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
下記の理由から,消費者契約法施行前に在学契約を締結した原告を含めて,入学金以外の学納金の返還を認めた。
① 入学金の法的性格は「大学に入学し得る資格ないし地位を得ることの対価」等であり,返還を求めることはできない。
② 4月1日以降間もない時期(遅くとも入学式以前)に在学契約が解除された場合には,実質的には4月1日以より前の入学辞退と異なるところはなく,特段 の事情がない限り,平均的損害は存在しないと推認するのが相当であるところ,この推認を覆すに足りる特段の事情は認められず,授業料不返還特約は9条1号 に反し無効である。
③ 授業料不返還特約は暴利行為の要件を満たし,公序良俗に反し無効である。

◆ H16.10.01大阪高裁判決(2)

判決年月日: 2004年10月 1日
2010年5月24日 公開

未登載
第1審 H15.12.22大阪地裁判決(1)

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
4月1日以降間もない期間内(遅くとも入学式以前)に在学契約を解除した場合においては,特段の事情がない限り,大学には具体的な損害(平均的損害)は発生しないとして,授業料について返還を命じた。

◆ H16.10.01大阪高裁判決(1)

判決年月日: 2004年10月 1日
2010年5月24日 公開

未登載
原審 H15.11.27京都地裁判決

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。一部当事者につき消費者契約法施行前の事案。

【判断の内容】
原審と同じ
①在学契約は施設利用等を要素とする有償双務契約であり,かつ消費者契約である。②入学金は「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。③授業料を 返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じる一方,公序良俗には違反しないとして,消費者契約法施行前の当事者については返還義務を 否定した。

◆ H16.09.10大阪高裁判決(2)

判決年月日: 2004年9月10日
2010年5月23日 公開

平成16年(ネ)第21号学納金返還請求控訴事件
最高裁HP,判例時報1882号44頁,1909号174頁
裁判官 井垣敏生,高山浩平,大島雅弘
上告審 H18.11.27最高裁判決

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。消費者契約法施行前の事例。

【判断の内容】
入学金については,その目的に照らして相当な価額を超える場合は,その超える部分は,他の学納金と同様に,大学が提供する教育役務に対する費用ないし報酬 と評価せざるを得ないとしつつ,本件については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。授業料を返還しない旨の特約は,暴利行為であり民法の公 序良俗に反して無効として,授業料の返還を命じた。

◆ H16.09.10大阪高裁判決(1)

判決年月日: 2004年9月10日
2010年5月23日 公開

平成15年(ネ)第3707号学納金返還請求控訴事件
最高裁HP,判例時報1882号44頁,1909号174頁,消費者法ニュース62号139頁
裁判官 井垣敏生,高山浩平,神山隆一
上告審 H18.11.27最高裁判決(4)

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。消費者契約法施行前の事例。

【判断の内容】
入学金については,その目的に照らして相当な価額を超える場合は,その超える部分は,他の学納金と同様に,大学が提供する教育役務に対する費用ないし報酬 と評価せざるを得ないとしつつ,本件については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。授業料を返還しない旨の特約は,暴利行為であり民法の公 序良俗に反して無効として,授業料の返還を命じた。

◆ H16.09.08東京地裁判決

判決年月日: 2004年9月 8日
2010年5月23日 公開

未登載

【事案の概要】
大学の入学試験に合格し,学納金を納付した後に入学を辞退し,民法又は9条1号,10条により学納金の返還を求めた。

【判断の内容】
消費者契約法施行以前の契約については,返還義務を否定した。施行後の契約については,入学金以外の学納金は,9条1号により返金を認めたが,入学金は入学しうる地位の対価として返還義務を否定した。

◆ H16.09.03大阪高裁判決

判決年月日: 2004年9月 3日
2010年5月23日 公開

未登載
第1審 H16.01.20大阪地裁判決

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
原審と同じ
授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。

◆ H16.08.25大阪高裁判決

判決年月日: 2004年8月25日
2010年5月23日 公開

未登載
第1審 H15.07.16京都地裁判決

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。

◆ H16.07.28大阪地裁判決

判決年月日: 2004年7月28日
2010年5月23日 公開

国セン報道発表資料HP2006年10月6日

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。4月1日以後間もない入学辞退者についても,在学契約の解除によって大学に発 生する具体的な損害はないことについて4月1日より前の入学辞退者と異なることはないとした。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否 定した。

◆ H16.07.28千葉地裁判決

判決年月日: 2004年7月28日
2010年5月22日 公開

平成14年(ワ)第1550号違約金等請求事件
消費者法ニュース65号170頁
裁判官 小林正,佐久間政和,鎌形史子

【事案の概要】
建築業者が,建物工事請負契約を契約直後に解除した消費者に対し,「請負代金の20%に相当する額の違約金を支払う」との契約条項に基づき違約金の支払いを求めた。

【判断の内容】
① 9条1号の「平均的な損害」の主張立証責任は事業者側にある。
② 建築業者が契約条項があることのみを主張立証し,他に平均的損害につき主張立証しない以上,平均的損害は既に支出した費用相当の損害を超えないとして,当該金額を超える部分の違約金条項は9条1号により無効である。

◆ H16.07.22大阪高裁判決(2)

判決年月日: 2004年7月22日
2010年5月22日 公開

国セン報道発表資料HP2006年10月6日
第1審 H15.11.27神戸地裁尼崎支部(2)

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
原審と同じ
授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。

◆ H16.07.22大阪高裁判決(1)

判決年月日: 2004年7月22日
2010年5月22日 公開

未登載
第1審 H16.01.21大阪地裁判決

【事案の概要】
入学手続後,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。
4月以降訴状によって解除と認定された。

【判断の内容】
原審と同じ
在学契約は準委任類似の無名契約とし,入学金は授業料の前払的性格を有するものではなく,入学済みとして返還を否定。授業料等の不返還特約は9条1号により無効であるとし,訴状送達により解除した時点までの日割り計算をし,残りの期間分について返還を命じた。

◆ H16.07.13大阪高裁判決

判決年月日: 2004年7月13日
2010年5月22日 公開

未登載
第1審 H15.11.27神戸地裁尼崎支部判決(1)

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
原審と同じ
授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。

◆ H16.06.29大阪地裁判決

判決年月日: 2004年6月29日
2010年5月21日 公開

国セン報道発表資料HP2006年10月6日

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。

◆ H16.06.04大阪地裁判決

判決年月日: 2004年6月 4日
2010年5月16日 公開

未登載

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。

◆ H16.05.20大阪高裁判決

判決年月日: 2004年5月20日
2010年5月16日 公開

未登載
原審 H15.10.28大阪地裁判決

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料の返還を求めた。消費者契約法施行前の事例。

【判断の内容】
原審と同じ
①在学契約は準委任ないし類似の無名契約であるとした上で,②入学金について「入学資格を得た対価」として,③授業料については,不返還特約は公序良俗に 反しないとし,④後援会等については,学校以外の団体に帰属し,学校に対する返還請求はできないとして,各返還義務を否定した。

◆ H16.05.19大阪高裁判決

判決年月日: 2004年5月19日
2010年5月16日 公開

平成15年(ネ)第3268号学納金返還請求控訴事件
国セン報道発表資料HP2006年10月6日
裁判官 小田耕治,山下満,下野恭裕
第1審 H15.10.06大阪地裁判決

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
原審と同じ
① 在学契約について,主として準委任契約,付随的に施設利用契約等の性質を併せ持つ有償双務の無名契約であるとした。
② 入学金について,当該大学に入学し得る地位を取得することへの対価であり,一部は,全体としての教育役務等の提供のうち,入学段階における人的物的設 備の準備,事務手続費用等,大学が学生を受け入れるために必要な準備行為の対価としての性質をも併せ有しているとして,返還義務を否定した。
③ 授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして,授業料の返還を命じた。
④ 「平均的な損害の額」(9条1号)の立証責任は消費者側にあるとした。

◆ H16.04.30東京地裁判決

判決年月日: 2004年4月30日
2010年5月16日 公開

平成14年(ワ)第20659号,第26683号,平成15年(ワ)第4440号不当利得返還請求事件
未登載
裁判官 宇田川基,室橋秀紀,岡部純子
控訴審 H17.03.30東京高裁判決
上告審 H18.11.27最高裁判決(6)

【事案の概要】
大学の入学試験に合格し,学納金を納付した後に入学を辞退し,民法又は9条1号,10条により学納金の返還を求めた。

【判断の内容】
①入学金は,在学契約により取得する地位及び利益に対する対価であり,返還を求めることはできないとした。
②平均的損害の立証責任は事業者側にあるとした。
③消費者契約法施行前の契約については返還を認めなかった。
④消費者契約法施行後の在学契約につき,3月31日までの入学辞退者については授業料の返還を認めた。
⑤不返還合意は消費者契約法10条に該当しないとした。

◆ H16.04.20名古屋地裁判決

判決年月日: 2004年4月20日
2010年5月16日 公開

未登載

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
除籍の日の翌日から当該会計年度の末日までの期間に対応する授業料等の額をもって9条1号にいう「平均的な損害の額」と解するのが相当とし,授業料を返還 しないとの特約は同号によっても無効とならないとした。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。

◆ H16.03.30東京地裁判決

判決年月日: 2004年3月30日
2010年5月16日 公開

平成14年(ワ)第20640号不当利得返還請求事件
未登載
控訴審 H17.03.10東京高裁判決
上告審 H18.11.27最高裁判決(1)
差戻審 H19.05.23東京高裁判決

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。但し,原告のうち授業が開始される前に在学契約を解除していない者については,授業料の返還を否定した。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。

◆ H16.03.30仙台地裁判決

判決年月日: 2004年3月30日
2010年5月16日 公開

平成15年(ワ)第343号不当利得返還請求事件
未登載
裁判官 髙木勝己

【事案の概要】
合格者が3月22日入学を辞退し,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学手続上の諸費用」であるとともに「入学できる地位を取得することへの対価」であるとして返還義務を否定した。
なお,平均的損害については,事業者たる被告がその情報,証拠を保有しているのであるから被告が主張,立証責任を負うとした。また,被告が4年間の学納金 全額が平均的損害になるとしたのに対し,入学辞退者が相当数あることを予測しており,定員を大きく上回る数の学生が入学している事実が認められ,事前に予 測できた範囲内の辞退者から4年間の学納金が得られなかったとしても,それは平均的損害とはいえず,原告の入学辞退が被告の予測の範囲を超えていると認め られず,むしろ定員を大きく上回る入学者がおり,平均的損害は発生しているとは認められないとした。
なお,代理徴収している後援会費等については預り金的性格であり,教育役務等の提供に密接に関連するものであるから,授業料と一体として検討されるべきものとしている。

◆ H16.03.25大阪地裁判決(2)

判決年月日: 2004年3月25日
2010年5月16日 公開

平成14年(ワ)第9620号学納金返還請求事件
未登載
裁判官 川神裕,山田明,川朋子

【事案の概要】
4月1日より前に入学を辞退した合格者が,前納した入学金及び春期授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
平均的損害について立証責任は消費者にあるとし,被告が平均的な損害額を4年分の授業料相当額としたのに対しては,在学契約は準委任又はこれに準ずる性質 を有する無名契約であり,ここにいう損害とは,契約が存続・継続することを想定していたため,他の収入を得る機会を失ったことなど,解除が不利な時期にさ れたことから生ずる損害に限定すべきであり,受け取るはずであった授業料の逸失をもって平均的損害ということはできないとし,また,被告が非財産的損害が 生じたとしたのに対しては,9条1項にいう「平均的損害」には非財産的損害が含まれるとは解することができないとした。そして,入学辞退が4月1日より前 であったことから,4月1日までの入学辞退による平均的な損害の発生はないから,入学金を除く春期授業料等については返還すべきであり,春期授業料等を返 還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「学生としての地位の取得の対価」であり,「入学手続及び受入準備に要 する手数料又は費用」「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。

◆ H16.03.25大阪地裁判決(1)

判決年月日: 2004年3月25日
2010年5月16日 公開

平成14年(ワ)第6381号学納金返還請求事件
未登載
裁判官 川神裕,山田明,川朋子

【事案の概要】
大学合格後,3月10日ごろ学納金返還システムの問い合わせをし,4月1日入学式を欠席した合格者が3月10日または遅くとも4月1日に入学を辞退したことにより,前納した入学金及び春期授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
4月1日の入学式欠席について大学からその理由の確認があり,この時に入学辞退の意思表明が認められるが,入学辞退が4月1日になされていることによって 大学には少なくとも平均的損害として,半年分の授業料及び施設費等の損害が生じているとして,春期授業料等の返還を否定した。入学金については「学生とし ての地位の取得の対価」であるとともに「入学の手続等の手数料又は費用である」として返還義務を否定した。

◆ H16.03.22東京地裁判決

判決年月日: 2004年3月22日
2010年5月16日 公開

未登載
控訴審 H17.02.24東京高裁判決(1)

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【内容の判断】
授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。4月1日以後間もない入学辞退者についても,在学契約の解除によって大学に発 生する具体的な損害はないことについて4月1日より前の入学辞退者と異なることはないとした。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否 定した。

◆ H16.03.22大阪地裁判決

判決年月日: 2004年3月22日
2010年5月16日 公開

平成14年(ワ)第9601号学納金返還請求事件
未登載
裁判官 西川知一郎,木太伸広,山本陽一

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した合格者が,前納した入学金の返還を求めた。

【判断の内容】
入学金を払った時点で双方の間に在学契約関係を成立させることを内容とする法律関係が成立しており,所定の期限までにその他の学納金を納入するなど所定の 手続を完了することにより,在学関係を成立させることができる地位を合格者は得ていたとし,入学金は入学に向けての人的,物的設備の整備や事務手続き等の 経費を賄うものとしての性格に加えて,入学しうる地位の対価であるとして返還義務を否定した。

◆ H16.03.05大阪地裁判決

判決年月日: 2004年3月 5日
2010年5月16日 公開

平成14年(ワ)第6380号,9634号学納金返還請求事件,平成15年(ワ)第434号学納金返還請求事件
消費者法ニュース60号207頁,国セン報道発表資料HP2006年10月6日
裁判官 村岡寛,小堀悟,小川暁

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
入学金は在学契約申込み資格を保持し得る権利取得の対価及び入学手続事務に関する諸費用に充当されるもの。所定の書類を入学式以前の期日までに提出していなかったり,入学式欠席で何の連絡もしていない者はこれらによって在学契約を黙示的に解除したものである。
退学については保証人との連署で退学届を提出する旨の学則があっても民法の準委任規定の趣旨等に照らして契約関係からの離脱の自由を制約することはできないから,この学則は障害となるものではなく解除は有効。
学友会費等は代理徴収だから,返還請求は学友会等にすべきである。公募推薦入学試験についても入学辞退による不当利得返還請求権をあらかじめ,放棄するま での意思を認めることはできない。平均的損害の立証責任は消費者にある。この損害は民法651条2項に基づく損害賠償であるから解除が不利益な時期になさ れた結果の損害を指す。
3月31日までに解除した場合,被告には損害はなく,4月1日以降の解除は春学期の授業料等相当額の限りで保護すべき利益がある。
なお,平均的損害については他の同種大学における前期(春学期)授業料の平均値について原告が立証していないから,被告大学等の初年度春学期の授業料等の 額をもって平均的損害と解するほかない。以上のことより,授業料等の返還については,3月31日までに解除した者については,返還しない旨の特約は9条1 号により無効であるとして返還を命じ,4月1日以降の入学辞退者については,春学期授業料等の返還を否定し,入学金については返還義務を否定。

◆ H16.02.23大阪地裁判決

判決年月日: 2004年2月23日
2010年5月16日 公開

平成14年(ワ)第9604号,10840号学納金返還請求事件
未登載
裁判官 横山光雄

【事案の概要】
専門学校合格後,入学を辞退した受験生が,入学金のみを支払った者は入学金を,入学金及び初年度授業料等を支払った者はこれら双方の返還を求めた。

【判断の内容】
授業料等を納めた者の退学は入学式(4月5日)及び学科ガイダンス(4月8日)を受けた後の4月8日であったが,授業料等を返還しないとの特約は9条1号 に該当する条項であり,被告には平均的損害は認められず9条1号により無効であるとして全額の返還を認め,入学金については「入学しうる地位の対価」とし て返還義務を否定した。

◆ H16.02.18岡山地裁判決

判決年月日: 2004年2月18日
2010年5月16日 公開

平成14年(ワ)第1058号学納金返還請求事件
最高裁HP
裁判官 小野木等,政岡克俊,永野公規

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
得べかりし利益は,9条1号の平均的損害には含まれない。本件特約のうち,授業料を返還しない部分は9条1号により無効であるとして返還を命じ,入学金に ついては「入学資格を得た対価」として返還義務を否定し,入学金の返還を認めない部分は,10条にも民法90条にも該当しないとした。

◆ H16.02.13大阪地裁判決

判決年月日: 2004年2月13日
2010年5月16日 公開

未登載

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
入学金及び授業料とも在学契約に伴う大学の種々の義務に対する対価として同じ性質であることを前提に,授業料を返還しないことは9条1号にいう平均的な損 害の額を超える部分に該当するとして返還を命じたが,入学金は平均的な損害の額を超える部分には該当しないとして返還義務を否定した。

◆ H16.01.28大阪地裁判決

判決年月日: 2004年1月28日
2010年5月16日 公開

未登載

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
入学金の返還については否定。授業料等についても,学校年度の開始(4月1日)後に契約を解除した場合には,不返還特約は9条1号及び10条によっても無効ではないとし,返還を否定した。

◆ H16.01.21大阪地裁判決

判決年月日: 2004年1月21日
2010年5月16日 公開

判例MASTERⅡ
控訴審 H16.07.22大阪高裁判決(1)

【事案の概要】
入学手続後,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。
4月以降訴状によって解除と認定された。

【判断の内容】
在学契約は準委任類似の無名契約とし,入学金は授業料の前払的性格を有するものではなく,入学済みとして返還を否定。授業料等の不返還特約は9条1号により無効であるとし,訴状送達により解除した時点までの日割り計算をし,残りの期間分について返還を命じた。

◆ H16.01.20大阪地裁判決

判決年月日: 2004年1月20日
2010年5月16日 公開

未登載
控訴審 H16.09.03大阪高裁判決

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。

◆ H16.01.14神戸地裁判決

判決年月日: 2004年1月14日
2010年5月16日 公開

未登載

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。

◆ H16.01.08大阪地裁判決

判決年月日: 2004年1月 8日
2010年5月16日 公開

未登載

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。但し,原告のうち4月1日以降の入学辞退者については,授業料の返還を否定した。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。

◆ H15.12.26大阪地裁判決

判決年月日: 2003年12月26日
2010年5月16日 公開

平成14年(ワ)第6375号等学納金返還請求事件
最高裁HP
裁判官 角隆博,井上直哉,長田雅之

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
4月1日以前に入学を辞退した者に対して授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。

◆ H15.12.24神戸地裁判決

判決年月日: 2003年12月24日
2010年5月16日 公開

平成14年(ワ)第1409号,1717号,2168号各学納金返還請求事件
最高裁HP
裁判官 田中澄夫,大藪和男,三宅知三郎

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
4月1日までに退学願いの提出又はこれに代替しうる客観的に明確な方法で通知したことの主張立証がなく,4月1日の到来によって授業料等の返還を求めうる地位を失ったとして,返還義務を否定した。
また,入学金については「入学し得る地位を得たことの対価」として返還義務を否定した。

◆ H15.12.24京都地裁判決

判決年月日: 2003年12月24日
2010年5月16日 公開

平成14年(ワ)第1814号学納金返還請求事件
最高裁HP
裁判官 山下寛,鈴木謙也,梶浦義嗣

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。

◆ H15.12.22大阪地裁判決(2)

判決年月日: 2003年12月22日
2010年5月16日 公開

平成14年(ワ)第6376号,9605号,9628号学納金返還請求事件
未登載
裁判官 岡原剛,遠藤東路,相澤聡
控訴審 H16.10.22大阪高裁判決

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
下記の理由から,消費者契約法施行後に在学契約を締結した原告のうち,3月31日までに入学を辞退した者について,入学金以外の学納金の返還を認めた。
① 入学金の法的性格は「大学に入学し得る資格ないし地位を得ることの対価」等であり,返還を求めることはできない。
② 授業料等の入学金以外の学納金は教育役務の対価である。
③ 「平均的な損害の額」(9条1号)の立証責任は消費者側にある。
④ 4月1日が到来するまでになされた入学辞退について大学に平均的損害はなく,授業料不返還特約は9条1号に反して無効である。しかし,4月1日以降の入学辞退については特約に係る学納金の額が平均的損害を超えるものは認められないから同条には反しない。
⑤ 授業料不返還特約は信義則違反とまで言えず10条無効にならない。また公序良俗にも反しない。

◆ H15.12.22大阪地裁判決(1)

判決年月日: 2003年12月22日
2010年5月16日 公開

未登載
控訴審 H16.10.01大阪高裁判決(2)

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
4月1日に入学を辞退しており,前納金の返還義務を否定した。

◆ H15.12.11大阪地裁判決

判決年月日: 2003年12月11日
2010年5月16日 公開

未登載

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。

◆ H15.12.01大阪地裁判決

判決年月日: 2003年12月 1日
2010年5月16日 公開

未登載

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。但し,原告のうち4月1日以降の入学辞退者については,授業料の返還を否定した。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。

◆ H15.11.27神戸地裁尼崎支部判決(2)

判決年月日: 2003年11月27日
2010年5月16日 公開

未登載
控訴審 H16.07.22大阪高裁判決(2)

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。

◆ H15.11.27神戸地裁尼崎支部判決(1)

判決年月日: 2003年11月27日
2010年5月16日 公開

未登載
控訴審 H16.07.13大阪高裁判決

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。

◆ H15.11.27京都地裁判決

判決年月日: 2003年11月27日
2010年5月16日 公開

平成14年(ワ)第1815号,第2661号,平成15年(ワ)第990号学納金返還請求事件
最高裁HP

裁判官 八木良一,飯野里朗,財賀理行
控訴審 H16.10.01大阪高裁判決(1)

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。一部当事者につき消費者契約法施行前の事案。

【判断の内容】
①在学契約は施設利用等を要素とする有償双務契約であり,かつ消費者契約である。②入学金は「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。③授業料を 返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じる一方,公序良俗には違反しないとして,消費者契約法施行前の当事者については返還義務を 否定した。

◆ H15.11.07大阪地裁判決(3)

判決年月日: 2003年11月 7日
2010年5月16日 公開

平成14年(ワ)第9608号学納金返還請求事件
最高裁HP
裁判官 中村隆次,宮武康,籔崇司

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金の返還を求めた。消費者契約法施行前の事案。

【判断の内容】
①入学金は「入学資格を得た対価」であり,反対給付は既に付与されており,②授業料等については,不返還特約は公序良俗に違反しないとして,各返還義務を否定した。

◆ H15.11.07大阪地裁判決(2)

判決年月日: 2003年11月 7日
2010年5月16日 公開

平成14年(ワ)第6370号学納金返還請求事件
最高裁HP
裁判官 中村隆次,宮武康,籔崇司

【事案の概要】
一般入学試験による大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
①本件在学契約は消費者契約である。②入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。③法9条1号の平均的な損害に関する立証責任について,消費者が負担するとした上で,本件では平均的損害は0であるとして,授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効として返還を命じた。

◆ H15.11.07大阪地裁判決(1)

判決年月日: 2003年11月 7日
2010年5月16日 公開

平成14年(ワ)第9633号学納金返還請求事件
最高裁HP
裁判官 中村隆次,宮武康,籔崇司

【事案の概要】
公募推薦入試方式及び外国人留学生編入学・転入学試験利用方式による大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
①本件在学契約は消費者契約である。②入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。③法9条1号の平均的な損害に関する立証責任に ついて,消費者が負担するとした上で,本件では平均的損害は0であるとして,授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効として返還を命じた

◆ H15.10.30東京簡裁判決

判決年月日: 2003年10月30日
2010年5月16日 公開

未登載

【事案の概要】
納入した留学斡旋費用の不返還特約の無効を主張し,納入した50万円の返還を求めた。

【判断の内容】
本件特約は,9条1号により「平均的な損害の額」を超える部分は無効となると判示した。その上で損害額を民事訴訟法248条に基づき10万円とした。

◆ H15.10.28大阪地裁判決

判決年月日: 2003年10月28日
2010年5月16日 公開

平成14年(ワ)第9603号学納金返還請求事件
判例タイムズ1147号213頁
裁判官 森宏司,横山巌,三輪睦
控訴審 H16.05.20大阪高裁判決

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料の返還を求めた。消費者契約法施行前の事例。

【判断の内容】
①在学契約は準委任ないし類似の無名契約であるとした上で,②入学金について「入学資格を得た対価」として,③授業料については,不返還特約は公序良俗に 反しないとし,④後援会等については,学校以外の団体に帰属し,学校に対する返還請求はできないとして,各返還義務を否定した。

◆ H15.10.23東京地裁判決(2)

判決年月日: 2003年10月23日
2010年5月16日 公開

平成14年(ワ)第22807号不当利得返還請求事件
最高裁HP
裁判官 齋藤隆,小川直人,鈴木敦士

【事案の概要】
私立中学入学手続後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。消費者契約法施行前の事例。学納金不返還条項が公序良俗違反か否かが争われた。

【判断の内容】
① 在学契約について,準委任契約又は同契約に類似した無名契約ではなく,教育法の原理及び理念により規律されることが予定された継続的な有償双務契約としての性質を有する私法上の無名契約であるとした。
② 入学金について,入学手続上の諸費用に充てられるほか,在学契約上の地位の取得についての対価として,返還義務を否定した。
③ 入学辞退について,民法651条1項の適用ないし類推適用を否定しつつ,受験生側からの自由な解除を認めた。
④ 授業料の不返還合意は,在学契約を締結した受験生の窮迫・軽率・無経験などに乗じて,はなはだしく不相当な財産的給付を約束させる行為に該当すると認 められる場合に限り公序良俗に反するものとして無効になると解すべきであるとし,本件不返還合意については公序良俗に反しないとして返還義務を否定した。

◆ H15.10.23東京地裁判決(1)

判決年月日: 2003年10月23日
2010年5月16日 公開

平成14年(ワ)第20642号,23679号,24245号,平成15年(ワ)第1738号各不当利得返還請求事件
最高裁HP,判例時報1846号29頁
裁判官 齋藤隆,小川直人,鈴木敦士
控訴審 H17.02.24東京高裁判決(2)
上告審 H18.11.27最高裁判決(2)

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
① 在学契約について,準委任契約又は同契約に類似した無名契約ではなく,教育法の原理及び理念により規律されることが予定された継続的な有償双務契約としての性質を有する私法上の無名契約であるとした。
② 入学辞退について,民法651条1項の適用ないし類推適用を否定しつつ,受験生側からの自由な解除を認めた。
③ 入学金について,入学手続上の諸費用に充てられるほか,在学契約上の地位の取得についての対価として,返還義務を否定した。
④ 大学が2条2項の「法人」にあたるかについて,情報の質及び量並びに交渉力に格差のある大量的契約の当事者については公益性を問うことなく規制の対象とするのが同法の趣旨であると指摘し,法人に含まれるとした。
⑤ 「平均的な損害の額」(9条1号)の立証責任は事業者側にあるとした。
⑥ 授業料を返還しないとの特約について,4月1日より前に入学を辞退した者について,9条1号により無効であるとして返還を命じた。4月1日以降の入学辞退者については,授業料の返還を否定した。

◆ H15.10.23大阪地裁判決

判決年月日: 2003年10月23日
2010年5月16日 公開

平成14年(ワ)第9600号学納金返還請求事件
判例タイムズ1148号214頁
裁判官 塚本伊平,金子隆雄,小山恵一郎

【事案の概要】
専門学校合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び制服代金等の返還を求めた。

【判断の内容】
① 在学契約について,学生が被告に対して,教育の提供等という事務を委任することを本質的要素とする有償双務契約であり無名契約であるとした。
② 入学金について,その入学手続を完了した時点において,被告学校に入学できることとなった資格ないし地位の対価として支払われるもので,いわば権利金的性質を有するものとして,返還義務を否定した。
③ 制服代金について,在学契約と制服の売買契約とは別個独立の契約であり,独立の解除事由が主張されていないとして,返還を認めなかった。

◆ H15.10.16大阪地裁判決

判決年月日: 2003年10月16日
2010年5月16日 公開

平成14年(ワ)第6377号学納金返還請求事件
最高裁HP,消費者法ニュース60号212頁
裁判官 田中俊次,朝倉佳秀,小川紀代子

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
① 在学契約について,準委任契約類似の無名契約とした。
② 在学契約が消費者契約となることについて,1条の趣旨(交渉力の格差からの消費者の保護)が妥当することを指摘した。
③ 入学金について,入学し得る地位を取得することの対価であり,入学事務手続等の対価たる性格をも有するとして返還義務を否定した。
④ 授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。
⑤ 「平均的な損害の額」(9条1号)の立証責任は消費者にあるとした。

◆ H15.10.06大阪地裁判決

判決年月日: 2003年10月 6日
2010年5月16日 公開

平成14年(ワ)第6374号,第9624号学納金返還請求事件
最高裁HP,判例タイムズ1148号289頁,判例時報1838号104頁,国セン暮らしの判例集HP2004年4月
裁判官 佐賀義史,永谷幸恵,神原浩
控訴審 H16.05.19大阪高裁判決

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
① 在学契約について,主として準委任契約,付随的に施設利用契約等の性質を併せ持つ有償双務の無名契約であるとした。
② 入学金について,当該大学に入学し得る地位を取得することへの対価であり,一部は,全体としての教育役務等の提供のうち,入学段階における人的物的設 備の準備,事務手続費用等,大学が学生を受け入れるために必要な準備行為の対価としての性質をも併せ有しているとして,返還義務を否定した。
③ 授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして,授業料の返還を命じた。
④ 「平均的な損害の額」(9条1号)の立証責任は消費者側にあるとした。

◆ H15.09.19大阪地裁判決

判決年月日: 2003年9月19日
2010年5月16日 公開

平成14年(ワ)第9615号学納金返還請求事件
最高裁HP,判例時報1838号104頁,判例タイムズ1143号276頁
裁判官 中村次,宮武康,藪崇司
控訴審 H16.5.20大阪高裁判決

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。消費者契約法施行前の事例であり,不返還条項が公序良俗違反か否かが争われた。

【判断の内容】
① 入学金は,大学に入学しうる地位ないし資格の対価(一種の権利金)としての性質を有する。いったん地位を取得した以上返還する義務はない。
② その他の学納金については,本件大学が定員100名で,ほぼ毎年正規合格者のうち実際に入学する者が30%未満であり,学納金納付後に入学を辞退する 者が20名以上いること,欠員補充のため繰り上げ合格させた者で納付後に辞退する者もいること,例年3月30日ころまで10回程度も繰り上げ合格を実施し ていること等から,欠員補充が困難となる一定時期以降,学納金不返還によって欠員が生じること及び欠員が生じた場合に発生する損害を可及的に回避しようと 試みることは,全く不合理とは言い切れず,いまだ公序良俗に反するとまでは言えないとして,不返還条項を有効とした。

◆ H15.07.16京都地裁判決

判決年月日: 2003年7月16日
2010年5月16日 公開

平成14年(ワ)第1789号学納金返還請求事件,平成14年(ワ)第1832号入学金返還請求事件,平成14年(ワ)第2642号学納金返還請求事件
最高裁HP,判例時報1825号46頁,消費者法ニュース56号165・167頁
裁判官 水上敏,福井美枝,尾河吉久
控訴審 H16.08.25大阪高裁判決

【事案の概要】
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。

【判断の内容】
① 学納金の法的性格について,特段の事情がない限り,その名目にかかわらず,広い意味ではすべて大学等が提供する狭義の教育活動その他の役務,施設利用 の対価であるとし,そのうち,入学金の法的性格について,学生としての地位を取得するについて一括して支払われるべき金銭であって入学に伴って必要な学校 側の手続き及び準備のための諸経費に要する手数料の性格を併せ有するとした。
② 「平均的な損害の額」(9条1号)の主張立証責任は事業者が負うとした。
③ 在学契約の始期となっている4月1日以降に入学を辞退した者については,学生としての身分を取得した以上,大学は入学金に対応する契約上の義務を履行 済であるとして,入学金の返還は認めず,それ以外の学納金の返還を認めた。4月1日より前に入学を辞退した者については入学金と授業料の返還を命じた。い ずれも,平均的損害の主張立証が不十分,またはないとして,学納金不返還特約全体が無効とした。

◆ H15.03.26さいたま地裁判決

判決年月日: 2003年3月26日
2010年5月16日 公開

平成14年(ワ)第2347号違約金請求事件
金融商事判例1179号58頁,私法判例リマークス29号50頁
裁判官 豊田建夫,松田浩養,菱山泰男
確定

【事案の概要】
消費者が,LPガスの切り替え工事,ボンベ交換の契約後1年未満で販売会社を変更した場合には,88,000円の違約金を支払う旨の違約金条項は,9条1号により無効であると主張した。

【判断の内容】
① 「平均的な損害の額」(9条1号)の立証責任について,同法が消費者を保護することを目的とする法律であること,消費者側からは事業者にどのような損 害が生じ得るのか容易には把握しがたいこと,損害が生じていないという消極的事実の立証は困難であることなどに照らし事業者側が負うとした。
② 本件においては,平均的な損害について事業者から具体的な主張立証がない以上,「平均的な損害」やそれを超える部分を認定することは相当ではないとし,88,000円の返金を命じた。

◆ H14.07.19大阪地裁判決

判決年月日: 2002年7月19日
2010年5月16日 公開

平成13年(ワ)第9030号損害賠償請求事件
最高裁HP(別紙略)
,判例タイムズ1114号73頁,金融商事判例1162号32頁,NBL761号77頁,消費者法ニュース57号
裁判官 曳野久男
確定

【事案の概要】
中古車販売の解約において車両価格の15%の損害賠償金と作業実費を請求するとの条項に基づき,販売会社が支払いを求めて提訴したのに対し,消費者が,本件では「平均的な損害」が発生していないと主張した。

【判断の内容】
① 「平均的な損害の額」(9条1号)の立証責任について,同法が消費者を保護することを目的とする法律であること,消費者側からは事業者にどのような損 害が生じ得るのか容易には把握しがたいこと,損害が生じていないという消極的事実の立証は困難であることなどに照らし事業者側が負うとした。
② 注文から2日後の撤回であること等から損害が発生しうるものとは認められないとして販売会社の請求を棄却した。

◆ H14.03.25東京地裁判決

判決年月日: 2002年3月25日
2010年5月16日 公開

平成14年(レ)第12号営業保証料請求控訴事件
判例タイムズ1117号289頁,1149号73頁,金融商事判例1152号36頁,私法判例リマークス27号38頁,NBL753号72頁
裁判官 難波孝一,足立正佳,笹川ユキコ
上告

【事案の概要】
パーティーの予約を解約すると営業保証料として一律1人当たり5,229円徴収すると定めた規約は,「平均的損害」を超える請求であるとして,消費者が,平均的な損害を超える請求を不服と主張した。

【判断の内容】
① 「平均的損害」は,契約の類型毎に合理的な算出根拠に基づき算出された平均値であり,解除の事由,時期の他,当該契約の特殊性,逸失利益,準備費用・ 利益率等の損害の内容,契約の代替可能性・変更ないし転用可能性等の損害の生じる蓋然性等の事情に照らして判断するのが相当,とした。
② その上で,民事訴訟法248条を適用して「平均的損害」を認定した。

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