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「不当条項」カテゴリー|消費者契約法判例集

◆ H20.03.28福岡高裁判決

判決年月日: 2008年3月28日

平成19年(ネ)第202号手付金返還,損害賠償請求控訴事件
判例時報2024号32頁
裁判官 丸山昌一,川野雅樹,金光健二

【事案の概要】
マンション売買契約締結後,買主が代金を支払わないために契約解除となったことから,宅建業者である売主が売買代金の2割とする違約金条項に基づき違約金を請求した事案。違約金条項が9条1号,10条に違反するか否かが問題となった。

【判断の内容】
次のように判断し,消費者契約法の適用がないとしつつ,信義則により違約金の額を制限した。
① 宅建業法38条により,違約金の額は代金の10分の2を超えてはならず,これに反する特約は無効としているから,本件違約金特約は宅建業法38条には違反しない。
② 宅建業法38条があるので,消費者契約法11条2項により,9条1号,10条は適用されない。

◆ H20.02.19福岡地裁判決

判決年月日: 2008年2月19日

平成19年(ワ)第3937号敷金返還請求事件
未登載
裁判官 伊藤聡

【事案の概要】
建物賃貸借契約で,敷金家賃3ヶ月分,敷引家賃3ヶ月分とした敷引特約を無効とし,敷金の返還請求を認めた事例

【判断の内容】
① 本件敷引特約は,任意規定に比して消費者の権利を制限しまたは消費者の義務を加重するものである。
② 本件敷引特約には,合理性が認められず,信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものである。

◆ H20.01.30京都地裁判決

判決年月日: 2008年1月30日

平成19年(ワ)第1793号更新料返還等請求事件
最高裁HP,判例時報2015号94頁,判例タイムズ1279号66頁,金融商事判例1327号45頁,消費者法ニュース76号268頁
裁判官 池田光宏,井田宏,中嶋謙英

【事案の概要】
賃貸借契約における更新料を支払う旨の約定が,民法90 条及び消費者契約法10条により無効であるとはいえないと判断された事例

【判断の内容】
① 本件更新料は,主として賃料の補充(賃料の前払い)としての性質を有しており,併せて,その程度は希薄ではあるものの,更新拒絶権放棄の対価及び賃借権強化の対価としての性質を有している。
② (民法90条について)本件更新料が主として賃料の補充(賃料の前払い)としての性質を有しているところ,その金額は10万円であり,契約期間(1年間)や月払いの賃料の金額(4万5000円)に照らし,直ちに相当性を欠くとまでいうことはできない。
③ (10条について)任意規定による場合に比し消費者の義務を加重する条項にはあたるが,金額,期間に照らして過大ではなく,更新料約定の内容は明確で 説明を受けていることから不測の損害を与えるものでもなく,また,更新拒絶権放棄の対価及び賃借権強化の対価としての性質をも有していることからは,消費 者の利益を一方的に害するとはいえない。

◆ H20.12.24東京地裁判決

判決年月日: 2008年12月24日

平成20年(ワ)第18864号建物明渡請求事件
LLI
裁判官 笠井勝彦

【事案の概要】
建物の定期借家契約が終了した後,明け渡しまでの明渡遅延使用料(賃料の倍額)の支払を求めた事案。
「賃借人が本件契約終了と同時に本件建物を明け渡さない場合,賃貸人の請求により,終了の翌日から明渡しに至るまで,賃料の倍額及び管理費に相当する額の使用料を支払わなければならない」との条項が9条1号,10条に反しないかが争われた。

【判断の内容】
以下の理由から,9条1号,10条違反ではないとして,明渡遅延使用料の支払いを認めた。
① 9条1号は,消費者契約の解除に伴う損害賠償の予定又は違約金を定める条項に関する規定であるところ,本件規定はそのような条項ではないから,同号の適用はない。
② 明け渡しのために債務名義取得,強制執行には時間と費用がかかること,賃借人が明渡義務を果たさない場合に備えておくために従前の対価等以上の支払をしなければならないという経済的不利益を予定することは合理的であり,賃借人が上記義務を履行すれば不利益は現実化しないのであるから賃借人の利益を一方的に害するものではなく合理性がある。
③ 賃借人が従前と同じ経済的負担をすれば目的物の使用収益を継続できるとするのは契約の終了と整合しない不合理な事態であり,賃借人に返還義務の履行を困難にさせる経済的事情等があるとしても,その事情等が解消するまで賃貸人の犠牲において同義務の履行を免れさせるべき理由はない。
④ 本件規定は,契約書上に明記されており,これが賃借人の明渡義務の適時の履行の誘引として定められたものであることは明らか。これによって賃借人が受ける不利益は,賃料相当額の負担増だけであり,しかもそれは賃借人が上記義務を履行すれば発生しないのであって,賃貸人が暴利を得るために本件規定が定められたものでないことも明らか。
⑤ 賃借人が本件建物を居所としていたとしても,本件契約が終了すればその使用収益ができなくなるのは当然。

◆ H20.12.17東京高裁判決

判決年月日: 2008年12月17日

平成18年(ネ)第141号設備費用請求控訴事件
金融商事判例1313号42頁
裁判官 藤村啓,佐藤陽一,岸日出夫

【事案の概要】
顧客らがそれぞれ取得した各建物に業者があらかじめ設置しておいたLPガス消費設備及び給湯器に関して顧客らとの間で締結した各貸与契約に定められた中途 解約の場合の補償費支払に関する合意に基づき,顧客らに対し,各補償費の支払を求めた事案。同条項が9条1号にあたるか否かが争われた。

【判断の内容】
① 建物に設置された機器類が附合あるいは即時取得により建物所有者である顧客らの所有に属することとなるとした上で,補償費の支払いが機器類の売買代金の支払い又は利益調整であるとの業者の主張を排斥し,結局違約金条項と解するほかないと判断した。
② 平均的損害を超える額についても認められないとして,結局9条1号により同条項は無効であるとして,業者の請求を棄却した。

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