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「不当条項」カテゴリー|消費者契約法判例集

◆ H20.07.16東京地裁判決

判決年月日: 2008年7月16日

平成19年(ワ)第22625号損害賠償請求事件
金融法務事情1871号51頁,消費者法ニュース78号203頁,国民生活センター消費者問題の判例集
裁判官 澤野芳夫,荻原弘子,長井清明

【事案の概要】
FX業者側のシステムの不具合により直ちに決済できなかったとしても一切賠償責任を負わないとの約款について,8条の趣旨からは,限定的に解釈すべきとした事例

【判断の内容】
① 原告のロスカット・ルールへの期待は合理的で法的保護に値し,被告は有効証拠金額が維持証拠金額を割り込んだ時にロスカット手続に着手する義務を負っていた。
② 被告は不十分なコンピューターシステムしか用意しておらず,そのシステムの不具合により,本件ロスカット時においてカバー取引の注文を出せなかったのであって(①の義務違反),これにより原告が受けた損害につき不法行為又は債務不履行の責任を負う。
③ コンピューターシステムの不具合によるカバー取引の遅延に関する被告の免責約款は,8条1項1号,同条項3号の趣旨に照らし,真に予測不可能な障害や 被告の影響力の及ぶ範囲の外で発生した損害といった被告に帰責性の認められない事態によって顧客に生じた損害について,被告が損害賠償の責任を負わない旨 を規定したものと解するほかなく,本件はこれに該当しない(被告は免責されない)。

◆ H20.06.10大阪地裁判決

判決年月日: 2008年6月10日

平成19年(ワ)第5823号損害賠償請求事件
判例タイムズ1290号176頁
裁判官 西岡繁靖

【事案の概要】
自動車販売会社からインターネットオークションで中古車を購入した者が,メーターの巻き戻しによって実際の走行距離が表示の8倍以上であったとして瑕疵担保責任,不法行為責任を追及した事例。現状のまま引き渡し,保証なしとの約定の有効性が争われた。

【判断の内容】
販売業者が,本件契約が業者向け販売であるから,消費者契約でないと主張したのに対し,情報・交渉力の格差が事業に由来することから,消費者と事業者の概 念を区別して消費者契約の定義で用いているのであるから,本件契約が業者向けの価格,内容で締結されたことをもって,消費者契約であることを否定すること はできないとして,消費者契約法の適用を認め,8条1項5号により免責条項を無効として,瑕疵担保責任を認めた。

◆ H20.05.19大阪高裁判決

判決年月日: 2008年5月19日

国セン報道発表資料(2011年11月11日公表)
第1審 H19.10.30大阪地裁判決

【事案の概要】
 本件団地の建替計画の共同事業予定者である不動産会社の被控訴人(原告)が、団地管理組合の一括建替え決議を踏まえて、建替え賛成者から区分所有権を取得した上で、区分所有者として任意に売り渡さないものに対して、区分所有法所定の売渡請求権を行使したとして、控訴人(被告)ら(居住者)に対して、同請求権行使によって売買契約が成立したと主張して、所有権に基づいて、所有権移転登記手続等を請求した。被告らは、手続違反等による一括建替え決議の無効、消費者契約法8条ないしは10条による無効等を主張したところ、原審は被控訴人の請求を全部認容したため、控訴人らが控訴した。

【判断の内容】
 (本件一括建替え決議の消費者契約法違反性について)控訴人らは、従前資産売買契約中の条項の消費者契約法違反をもって本件一括建替え決議の無効を主張するものであるが、従前資産売買契約は、本件一括建替え決議に基づく建替え計画実施の一部をなすものではあっても、本件一括建替え決議自体の内容をなすものではなく、現に控訴人らの主張によっても、従前資産売買契約者が締結されたのは平成17年10月だというのである。したがって、本件一括建替え決議において法定外決議事項として決議された「事業方式に関する事項」とは異なり、従前資産売買契約の法令違反が本件一括建替え決議の違反や無効を帰結する理由はないというべきである。控訴人らは、等価交換方式の場合には従前資産売買契約の内容が本件一括建替え決議の隠れた内容を構成するなどと主張するが、その時点で等価交換方式に基づく売買契約の内容を定めておくべき義務があるとは到底考えられず、控訴人らの主張は採用できない。
 更に消費者契約法に関する主張のうち同法8条1項1号については、不可分条項に基づく解除に基づく損害は事業者の債務不履行により生じた損害とはいえないから主張自体失当である。
 違約金等条項が消費者契約法10条の「消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」に該当するとの主張も、従前資産売買契約が団地の一括建替え決議の実行の一環として締結されており、一部の者の不履行を容認することが困難であることを考慮すれば、違約金等条項に定める内容が消費者契約法10条の定める民法1条2項の基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものとは認めがたい。
(なお、被控訴人の各請求を全部認容した原判決は相当であって、本件控訴はいずれも理由がないとして、控訴を棄却した)

◆ H20.04.30京都地裁判決

判決年月日: 2008年4月30日

平成19年(ワ)第2242号定額補償分担金・更新料返還請求事件
判例時報2052号86頁,判例タイムズ1281号316頁,金融商事判例1299号56頁,最高裁HP国セン報道発表資料(2008年10月16日公表)
裁判官 中村哲,和久田斉,波多野紀夫
控訴審 H20.11.28大阪高裁判決

【事案の概要】
建物賃貸借契約の定額補修分担金条項について10条で無効とした事例

【判断の内容】
16万円の定額補修分担金条項につき,下記のとおり判示した。
建物賃貸借の場合はその使用に伴う物件の損耗は賃貸借契約の中で当然に予定されているから物件の通常損耗の回収は通常賃料の支払を受けることで行われる。 そうすると,原則として,賃借人に通常損耗についての回復義務を負わせることはできない。賃貸人は通常修繕費用にどの程度要するかの情報をもっているが賃 借人はこれらの情報をもっていないので,賃借人がこれらの点について賃貸人と交渉することは難しく定額補修分担金額は賃貸人が一方的に決定している。軽過 失損耗の回復費用が設定額より多額であったという特段の事情がない限り賃借人に有利とはいえない。分担金額は月額賃料の2.5倍程度で一般的な回復費用に 比べて高額である。これらの事情からは消費者の不利益を負わせるもので,10条により無効である。

◆ H20.04.25東京地裁判決

判決年月日: 2008年4月25日

平成19年(ワ)第23907号不当利得返還等請求事件
未登載
裁判官 綿引穣

【事案の概要】
セクハラ発言を受け,プロダクションとの所属タレント契約を解除したタレントが,契約金(25万円)の返還を求めるなどしたのに対し,契約金は受領後如何なる場合であっても一切返還しない旨の条項の効力が争われた。

【判断の内容】
契約金は受領後如何なる場合であっても一切返還しない旨の条項につき,解除に伴い当該事業者に発生する平均的損害を超える部分は9条1号により無効と解す べきところ,事実関係に照らし,プロモートのために撮った写真代(1万2600円)のほかに合理的な出費の存在を認めることはできないとし,これを差し引 いた残金につき返還請求を認めた。

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