【レイアウトの手動変更】

レイアウトの種類は目安です。
【レイアウト】と【文字サイズ】を変更し、最適な閲覧環境でご覧ください。


PC・タブレット横に最適
タブレット縦に最適
ファブレット・スマホ横に最適
スマホ縦に最適
※設定は90日間有効です。
×
 この判例集は,公刊物,雑誌,最高裁判所HP,兵庫県弁護士会消費者問題判例検索システム,消費者契約法に関心のある方々からの情報提供等により,消費者契約法に関連する判例を集め,一覧にしたものです。記載内容については正確を期しているつもりですが,これを保証するものではありません。詳しくは原典にあたるなどして確認をしてください。
 掲載内容について,誤り等を見つけられた場合には,当法律事務所までご一報いただければ幸いです。
 また,消費者契約法に関するこんな判例を見つけた,あるいはこんな判例を獲得した!という方は,是非情報を提供していただきたく,よろしくお願いいたします。

◆ H24.02.07東京地裁判決

2012年12月1日 公開

国セン発表情報(2012年11月1日公表)

【事案の概要】
 被告が業務執行組合員として財産を管理運用し配分するというファンドへの投資(本件投資)を行った原告が、本件投資勧誘の際に被告が必ず儲かるとの断定的判断を提供してその旨誤信させ契約させたものであるから、民法96条1項ないし法4条に基づいて契約を取消し、被告会社に支払った金銭の返還等を請求した。

【判断の内容】
 本件投資は、被告が確実に多大な利益が得られる旨の断定的判断を提供し、あるいは確実に多大な利益が得られる投資商品であるかのごとく装って、原告に対し執拗な勧誘を繰り返し、誤信させた原告に被告との間で契約を締結させたと認められることから、法4条に基づく取消しの意思表示は有効であり、被告は原告から受領した金銭の返還義務を負うとした。

◆ H23.12.21東京地裁判決

2012年12月1日 公開

国セン発表情報(2012年11月1日公表)

【事案の概要】
 原告が、被告の従業員の勧誘に応じて仕組債および投資信託(本件商品)を購入したところ、勧誘の際、被告従業員による断定的判断の提供および重要な不利益事実の不告知があり、また、適合性原則および説明義務違反があったとして、法4条1項2号および法4条2項による取消しを主張し、不当利得返還等と不法行為による損害賠償等を選択的に請求した。

【判断の内容】
 原告が本件商品を購入する際、被告が、確実に利益が得られる旨の断定的判断を提供したとは認められない。また、被告は原告に対し、本件商品の内容及びリスクについて説明を行っており、不利益事実の不告知の事実も認められないとして、取消し事由はないと判断した。不法行為についても認められないとし、原告の請求を棄却した。

◆ H23.12.19大阪地裁判決

2012年12月1日 公開

判例時報2147号73頁、金融商事判例1385号26頁、証券取引被害判例セレクト41巻80頁、国セン発表情報(2012年11月1日公表)

【事案の概要】
 原告は、被告の担当者から仕組債購入に関する勧誘を受け、これを購入した。その後、仕組債の発行体が米国法に基づく会社社更正手続適用を申請した。原告は、被告に対し、本件仕組債の購入契約は錯誤無効である旨、また、被告の担当者の勧誘が法第4条1項2号、同条2項に該当する旨、さらに、被告の担当者の勧誘が適合性原則違反、説明義務違反、断定的判断の提供に該当し、違法性を有し不法行為を構成する旨を主張して、民法715条ないし金融商品販売法5条に基づく損害賠償請求及び不当利得返還請求等をした。

【判断の内容】
 被告の担当者が断定的判断を提供したとまで評価することはできないし、勧誘の時点において不実告知があったと認めるには足りない。また、仕組債の発行体の信用不安が高まっていることや、仕組債の発行体の信用性が失われた場合には償還されないことがあることを告げていなかったことは事実であるが、担当者がそれらの事実を故意に告げなかったとは認められないことから、法4条1項2号および同条2項には該当しない。さらに、錯誤無効は認めなかったが、不法行為については説明義務違反があったとし、原告の請求を一部認容した(過失相殺3割)。

◆ H23.12.12東京地裁判決

2012年12月1日 公開

国セン発表情報(2012年11月1日公表)

【事案の概要】
 脱退被告と金銭消費貸借契約(本件契約)を締結した原告が、本件契約にかかる事務手数料条項が法10条により無効であること、本件契約締結時に事務手数料条項についてほとんど説明を行わなかったことは契約の重要事項について消費者の不利益となる事実の不告知に当たるため法4条2項により取消権を有すること、契約時、脱退被告の担当者6名から契約締結を迫られ、一時退出して再検討する機会を与えられないまま締結に至ったものであるため法4条3項2号により取消権を有すること等を主張して、貸付金の債権譲渡を受けた引受参加人に対し債務不存在の確認を求めた。

【判断の内容】
 事務手数料については、民法その他法律の任意規定の適用による場合に比べて消費者の義務を加重するというに足りる事実の主張はないとして、10条の該当性を否定した。また、契約締結時の事務手数料に関する説明については、契約証書にも明記され原告がこれを融資実行より前に受領していること、融資実行時に原告が事務手数料控除について疑問を持った形跡がないこと等を認定し、本件契約締結時に不利益事実の不告知があったとは認められないとして、法4条2項の該当性を否定した。さらに、契約締結時、原告が退去の意思を示したにもかかわらず、脱退被告担当者が退去させなかった事実は認められないとして、法4条3項2号の該当性も否定し、原告の請求を棄却した。

◆ H23.11.08福岡地裁判決

2012年12月1日 公開

金融法務事情1951号137頁、国セン発表情報(2012年11月1日公表)

【事案の概要】
 被告銀行との間で、変額個人年金、仕組債、投資信託、外貨預金に関する契約(本件契約)を締結した原告は、被告銀行の行員が原告の理解できない金融商品への投資を勧誘したことにより被害を被ったとして、本件契約の錯誤無効を主張し、また、本件仕組債の勧誘に関しては重要事項についての不利益事実の不告知および不実告知があったとして法4条に基づき契約を取消したと主張して不当利得の返還等を請求した。

【判断の内容】
 錯誤無効の主張については、被告銀行の行員が原告に渡した書類等において、満期や早期償還の可能性があることが記載されていることから、原告が錯誤に陥っているとはいえないとした。法4条に基づく取消しについては、本件各仕組債に関する満期、利率、元本割れの可能性等、リスクに関する具体的な説明が原告に対してなされていること、また、販売資料および目論見書に満期が明確に記されており原告が満期を誤認することはないと考えられ、行員の説明が虚偽であったことを直ちに認めることはできないと判断し、本件仕組債について原告に対する不利益事実の不告知(法4条2項)、不実告知(同条1項1号)に該当する事実はないとして、法4条に基づく取消しを認めなかった。

◆ H23.10.25最高裁判決

2012年12月1日 公開

平成21年(受)第1096号債務不存在確認等請求及び当事者参加事件
最高裁HP、金融商事判例1378号12頁、裁判所時報1542号1頁、判例タイムズ1360号88頁、判例時報2133号9頁、金融商事判例1384号29頁、金融法務事情1945号90頁、消費者法ニュース91号138頁、国セン発表情報(2012年11月1日公表)
第2審 H21.02.19名古屋高裁判決

【事案の概要】
 宝飾品の販売業者との間で売買契約(本件売買契約)を締結し、あっせん業者との間で購入代金にかかる立替払契約(本件立替払契約)を締結した被上告人は、本件あっせん業者から事業の譲渡を受けた上告人に対し、本件売買契約は公序良俗に反し無効であるから本件立替払契約も無効であること、または法5条1項が準用する同法4条1項1号もしくは同条3項2号により本件立替払契約の申込みの意思表示を取消したことを主張して、不当利得の返還等を請求をした。原審は、売買契約が無効になれば立替払契約は目的を失って失効するとして被上告人の請求を認めたため、上告人がこれを不服として上告した。

【判断の内容】
 個品割賦購入あっせんにおいて、購入者と販売業者の売買契約が無効となった場合でも、購入者とあっせん業者との立替払契約については、販売業者とあっせん業者との関係、販売業者の立替払契約締結手続きへの関与の内容および程度、販売業者の公序良俗に反する行為についてのあっせん業者の認識の有無および程度に照らし、売買契約と一体的に立替払契約についても効力を否定することを信義則上相当とする特段の事情がない限り、立替払契約が無効となる余地はないとし、本件ではそのような特段の事情はないとして、原審の被告敗訴部分を破棄した。法による取消権については、7条1項により時効消滅しているとした。

◆ H23.08.10東京地裁判決

2012年12月1日 公開

金融法務事情1950号115頁、国セン発表情報(2012年11月1日公表)

【事案の概要】
 生命保険会社Y1との間で保険(本件保険契約)を契約した原告は、媒介代理店Y2の従業員が、本件保険契約の勧誘の際、解約時の返戻金につき不実の説明を行い、また、解約による返戻金額が運用実績により振込保険料を下回ることになるリスクがあるという重要事項を告げず、さらに本件保険契約には契約初期費用はかからないなどと説明したことから、原告がその旨誤信し本件保険契
約を締結するに至ったとして、被告Y1に対し錯誤無効、法4条1項および2項に基づく保険契約の取消しによる不当利得返還請求をし、また、適合性原則違反、説明義務違反があったとして、被告Y1および被告Y2に対し、不法行為あるいは債務不履行に基づく損害賠償を請求した。

【判断の内容】
 本件保険契約締結時の被告Y2の説明については、解約時の返戻金の額に関する不実の説明がなされたこと、解約返戻金額が一時払い保険料を下回るリスクがあるという不利益事実の不告知があったことのいずれも認められないとして、原告の法4条1項1号または2号による取消しの主張を退けた。
 また、被告Y2の従業員は、本件保険契約につきパンフレットを読み上げて原告に説明しており、中途解約が最も大きいリスクであるという本件保険契約の特長に関し特に重点的に説明をしたと認められることから説明義務違反はないとし、適合性原則違反についても、本件保険契約の特徴、原告の経歴等を鑑みれば、被告Y2が本件保険契約を原告に紹介したことが不適当な勧誘であるとまでは認めることはできないとした。

◆ H23.05.19名古屋地裁判決

2012年12月1日 公開

平成22年(フ)第3876号損害賠償請求事件
消費者法ニュース89号138頁、国セン発表情報(2012年11月1日公表)
裁判官 渡部美佳

【事案の概要】
 原告は、被告との間で、パチンコ・パチスロの攻略情報の提供契約(本件契約)を締結し、約6年半の間に合計約550万円を支払った。契約締結の際、被告の従業員は、攻略情報に従えば必ず利益が上がるとして勧誘をした。その後、原告が、被告から提供された情報を元に遊技をしても利益が上がらないというと、被告の従業員は、より高額な契約を締結すれば確実に利益を得られる旨述べてその契約を勧め、その後も、利益が得られないと訴える原告に対し、従業員を交替させながら新たな契約の締結を言葉巧みに勧め、その代金を支払わせた(本件各契約)。原告は、被告の従業員らの勧誘行為は断定的判断の提供であるとして法4条1項2号により契約の取消および不当利得の返還等を請求した。

【判断の内容】
 原告が被告から攻略法の情報提供を受けていたパチンコ・パチスロ機種の攻略法は存在しないこと、パチンコ・パチスロの業界団体で構成されているセキュリティー対策委員会、全日本遊技事業協同組合などからパチンコ・パチスロの攻略法があるとの詐欺的行為について警鐘を鳴らされていること、本件契約の利用規約においても確実性・正確性について保証しない旨の記載があることから、パチンコ・パチスロにおいて確実に利益を得られる攻略法は存在しないことは明らかであり、利益を得られるかどうかは、不確実な事項である。被告の従業員は、原告に対し確実に利益が得られるとの断定的判断を提供し、原告は、同断定的判断の内容が確実であると誤認して本件各契約を申し込んでいるとして、法4条1項2号に基づく本件各契約の取消を認めた。

◆ H22.10.07三島簡裁判決

2012年12月1日 公開

消費者法ニュース88号225頁、国セン発表情報(2012年11月1日公表)

【事案の概要】
 被告Y1は、連鎖販売取引において波動エネルギーを記憶させた水(本件商品)を販売していたところ、本件商品が近眼、花粉症、アトピー等に効果があるとの説明を受けた原告は、本件商品を割安に購入する目的で連鎖販売取引の仕組みに参加し本件商品を購入した(本件売買契約)。しかし、本件商品に当該効能はなかったとして、原告が被告Y1に対し、被告Y1の勧誘行為は不実の告知に該当するとして、法4条1項1号他による本件売買契約の取消および不当利得の返還を請求した。また、原告は被告Y2と本件商品購入につきクレジット契約を締結したところ、被告Y2は法5条の「事業者」に該当するとして、クレジット契約についても同法5条・4条1項1号による取消を請求した。

【判断の内容】
 連鎖販売取引における売買契約の一方当事者が法2条1項の「消費者」に該当するかにつき、連鎖販売取引であっても自らの消費のためだけに商品の購入契約を締結する場合は同条項の「消費者」に該当するとして、原告の「消費者」該当性を認めた。その上で、被告Y1に対する請求については、本件売買契約の勧誘に当たり、被告Y1が本件商品を飲むことで病気が治る等の説明をしたことは法4条1項1号の不実の告知に該当するとして、同条項による取消を認めた。なお、被告Y2に対する請求については、被告Y1が同法5条にいう「媒介の委託を受けた第三者」には当たらないとして、クレジット契約の取消を認めなかった。

◆ H24.11.20京都地裁判決

2012年11月20日 公開

平成23年(ワ)第146号解除料条項使用差止請求事件
最高裁HP消費者庁HP(PDF)判決写し(PDF、京都消費者契約ネットワークHP)、判例時報2169号68頁、判例タイムズ1389号340頁
裁判官 杉江佳治、小堀悟、畦地英稔
適格消費者団体 京都消費者契約ネットワーク
事業者 ソフトバンクモバイル株式会社
控訴審 H25.07.11大阪高裁判決

【事案の概要】
適格消費者団体が,電気通信事業等を営む事業者に対して,2年間の契約期間の定めのある携帯電話通信契約を中途解約する際に解除料として9975円の支払義務があることを定める条項が消費者契約法9条1号・10条に反するとして同条項の使用の差止めを求めたもの。

【判断の内容】
① 契約の主要な目的や物品又は役務等の対価それ自体(いわゆる中心条項)については,契約自由の原則が最も強く働くものであるから,消費者と事業者との格差が存在することを踏まえても,当事者の合意に委ねるべきであり,公序良俗違反となるような例外的な場合に民法によって無効とされることがあるにとどまり,法9条及び10条は適用されない。
 中心条項に該当するか否かについては,当該条項の文言,契約全体での位置づけ及び当事者の意思などを総合的に考慮して決すべき。
 本件解除料条項は中心条項にはあたらない。
② 本件契約の平均的損害を算定するためには,逸失利益も考慮に入れるべきであるところ、本件解除料の額は平均的損害を超えることはないので、9条1号に反しない。
③ 本件当初解除料条項及び本件更新後解除料条項はいずれも10条に反しない。



ひとつ前のページにもどる弁護士法人 近江法律事務所|トップページにもどる