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 この判例集は,公刊物,雑誌,最高裁判所HP,兵庫県弁護士会消費者問題判例検索システム,消費者契約法に関心のある方々からの情報提供等により,消費者契約法に関連する判例を集め,一覧にしたものです。記載内容については正確を期しているつもりですが,これを保証するものではありません。詳しくは原典にあたるなどして確認をしてください。
 掲載内容について,誤り等を見つけられた場合には,当法律事務所までご一報いただければ幸いです。
 また,消費者契約法に関するこんな判例を見つけた,あるいはこんな判例を獲得した!という方は,是非情報を提供していただきたく,よろしくお願いいたします。

◆ H24.02.07東京地裁判決

判決年月日: 2012年2月 7日
2012年12月1日 公開

国セン発表情報(2012年11月1日公表)

【事案の概要】
 被告が業務執行組合員として財産を管理運用し配分するというファンドへの投資(本件投資)を行った原告が、本件投資勧誘の際に被告が必ず儲かるとの断定的判断を提供してその旨誤信させ契約させたものであるから、民法96条1項ないし法4条に基づいて契約を取消し、被告会社に支払った金銭の返還等を請求した。

【判断の内容】
 本件投資は、被告が確実に多大な利益が得られる旨の断定的判断を提供し、あるいは確実に多大な利益が得られる投資商品であるかのごとく装って、原告に対し執拗な勧誘を繰り返し、誤信させた原告に被告との間で契約を締結させたと認められることから、法4条に基づく取消しの意思表示は有効であり、被告は原告から受領した金銭の返還義務を負うとした。

◆ H24.02.03東京地裁判決

判決年月日: 2012年2月 3日
2013年11月23日 公開

国セン発表情報(2013年11月21日公表)

【事案の概要】
 建物の賃貸人である原告が、賃借人である被告Y1及び連帯保証人である被告Y2に対し、未払賃料等の支払いを求めた。被告らは、本件建物の他の居室について賃料の値下げがあったにもかかわらず、これを隠して被告Y1との間で本件賃貸借契約を締結しており、これは法4条2項に違反する行為であると主張した。

【判断の内容】
 原告が、被告Y1に対し、本件建物の居室の賃料が一律であると説明するなどして、被告Y1に利益となる旨を告げたことは認められないから、法4条2項の不利益事実の不告知による取消しは認められない。また、原告が、被告Y1に対し、他の居室の賃料額を説明しなかったからといって、それが被告Y1に対する不法行為であるとはいえない。本件賃貸借契約が無効あるいは取消し得るものとはいえない以上、被告Y1に他の居室の賃料額との差額分の不当利得返還請求権が生ずるともいえないとして、原告の請求を認容した。

◆ H24.02.01東京地裁判決

判決年月日: 2012年2月 1日
2013年6月21日 公開

平成23年(ワ)第948号保険金請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 篠田賢治

【事案の概要】
 原告株式会社の代表取締役であったCを被保険者とする保険契約を被告との間で締結していた原告が、Cの死亡により、死亡保険金の支払を求めたところ、被告が、本件契約は、保険料未払のため本件約款の無催告失効条項により失効した後、原告の申込みにより復活したものであり、復活後1年以内のCの自殺は保険金支払免責事由に当たる旨主張したのに対し、さらに原告が、本件失効条項は、継続的契約の本質及び消費者契約法の精神に鑑み、信義則違反及び公序良俗違反により無効であるなどとして争った事案。

【判断の内容】
 以下の理由から、消費者契約法の適用、類推適用を否定した。
① 本件保険契約は平成13年4月1日より前に締結されているから、消費者契約法の適用はない。
② 原告は法人であり、2条1項に規定する「消費者」にあたらないから、消費者契約法の適用はない。
③ 原告と被告との間に情報及び交渉力に格差があることは十分にうかがわれるが、原告の組織の実態等からも類推適用することはできない。
④ 仮に、本件保険契約につき消費者契約法が類推適用されるとしても、10条の類推適用の可否の問題となるが、本件失効条項は,保険契約者の保護の観点、保険契約者のモラル・ハザードを防止する必要の点から、合理性があり、保険契約者に有利な内容も含まれており、これらの事情からすると,原告と被告との間に情報の質及び量並びに交渉力の格差があるとしても、消費者の利益を一方的に害するものとはいえない。

◆ H24.01.31東京地裁判決

判決年月日: 2012年1月31日
2013年6月21日 公開

平成22年(ワ)第34752号慰謝料等請求事件
ウエストロー・ジャパン、国セン発表情報(2013年11月21日公表)
裁判官 上田哲

【事案の概要】
 旅行業者である被告との間で旅行契約を締結して被告主催のツアーに参加した原告らが、クルーズ船において割り当てられた客室が身体障害者仕様の海の見えない客室であったことが被告の債務不履行又は消費者契約法4条4項1号所定の「重要事項」に係る説明義務違反の不法行為を構成すると主張して、被告に対し、損害賠償を求めた事案。

【判断の内容】
 以下のように判断し、請求を棄却した。
① 「重要事項」(4条4項1号)とは,当該消費者契約の目的となるものの質,用途その他の内容等であって消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきものをいうところ,この「消費者の・・・判断に通常影響を及ぼすべきもの」とは,契約締結の時点の社会通念に照らし,当該消費者契約を締結しようとする一般平均的な消費者が当該消費者契約を締結するか否かについて,その判断を左右すると客観的に考えられるような,当該消費者契約についての基本的事項,換言すれば,通常予見される契約の目的に照らし,一般平均的な消費者が当該消費者契約の締結について合理的な意思形成を行う上で通常認識することが必要とされる重要なものをいうと解される。
② 本件の事情からは、「バルコニー付スタンダード」中に本件船室が含まれていることが,一般平均的な消費者が旅行契約の締結について合理的な意思形成を行う上で通常認識することが必要とされる重要なものであるとはいえないから,「重要事項」に当たるとはいえないし,その他,信義則等の一般原則に照らしても,本件契約の締結に際し,被告が原告ら主張のような説明義務を負っていたとは認められない。

◆ H24.01.31旭川地裁判決

判決年月日: 2012年1月31日
2012年1月31日 公開

平成23年(レ)第45号、平成23年(レ)第55号放送受信料請求控訴,附帯控訴事件
最高裁HP、判例時報2150号92頁
裁判官 田口治美、田中寛明、徳光絢子

【事案の概要】
NHKの受信料請求。「放送受信契約者が受信機を廃止することにより,放送受信契約を要しないこととなったときは,放送受信章を添えて,直ちに,その旨を放送局に届け出なければならない。」との規定が,受信契約の解約の方法を著しく制限し,消費者の利益を一方的に害する条項であるとして10条に反し無効であり、契約解約がなされているとの主張がなされた。

【判断の内容】
解約の意思表示が認められないと認定しつつ、なお書きで、同規定は10条の「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」に当たるとはいえないとした。

◆ H24.01.25東京地裁判決

判決年月日: 2012年1月25日
2013年6月21日 公開

平成22年(ワ)第17665号、第38763号サイト制作代金等請求事件(本訴)、(反訴)
ウエストロー・ジャパン
裁判官 秋元健一

【事案の概要】
 原告が、被告会社との間でインターネットサイト制作等の委託契約を締結したとして、被告会社に対し、代金等の支払を求めるとともに、被告会社の代表取締役である被告Y2に対し、同Y2に金銭を貸し付けた又は同Y2が被告会社の原告に対する金銭債務を引き受けたとして、金員の支払を求めた事案。

【判断の内容】
 被告会社に対する請求を一部認める一方で、被告代表取締役に対する請求については、債務引受契約の成立を認めつつ、遅延損害金利率については消費者契約法所定の制限利率の範囲内である約定の年14.6%に制限して認めた(明示はないが9条2号を適用したものと思われる。)。

◆ H24.01.19東京地裁判決

判決年月日: 2012年1月19日
2012年1月19日 公開

平成20年(ワ)第10000号、平成20年(ワ)第24477号害賠償請求事件(本訴事件)、損害賠償反訴請求事件(反訴事件)
LLI/DB 判例秘書登載、国セン発表情報(2013年11月21日公表)
裁判官 西村修

【事案の概要】
原告が,被告会社従業員の被告Y1から勧誘され,被告会社との間で委託契約を締結して商品先物取引を行ったが,適合性違反・説明義務違反があったとして,被告らに対し,預託証拠金等の損害賠償等(主的請求)を求め,上記先物取引の取消し(消費者契約法4条2項)による不当利得返還請求等(予備的請求)を求めたところ,被告会社が原告に対し,上記先物取引から生じた差損金等の支払を求め(反訴)た事案。

【判断の内容】
(金の先物取引委託契約において)将来における金の価格は,同項本文にいう「重要事項」に当たらないと解される(最高裁判所平成22年3月30日判決判タ1321号88頁参照)として、取消を認めなかった。

◆ H24.01.17京都地裁判決

判決年月日: 2012年1月17日
2012年2月4日 公開

平成22年(ワ)第4222号更新料条項使用差止等請求事件
消費者庁HP(PDF)判決写し(PDF、京都消費者契約ネットワークHP)国セン発表情報(2012年11月1日公表)
裁判官 松本清隆、井川真志、千葉康一
適格消費者団体 京都消費者契約ネットワーク
事業者 株式会社ジェイ・エス・ビー
控訴審 H24.06.29大阪高裁判決

【事案の概要】
適格消費者団体が、不動産業者である株式会社ジェイ・エス・ビーに対し、更新料条項が10条により無効であるとして、主位的に、更新料条項を含む意思表示の停止及び同行為に供する契約書用紙の破棄を求め、予備的に、更新期間1年に対する更新料の額が月額賃料の2倍以上の更新料を支払う旨の条項につき、主位的請求と同様に、その意思表示の停止及び同行為に供する契約書用紙の破棄を求めた事案。

【判断の内容】
請求棄却。
① 更新料は、一般に、賃料の補充ないし前払、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有するものであり、更新料の支払にはおよそ経済的合理性がないなどということはできない。
② 更新料条項が賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載され、賃借人と賃貸人との間に更新料の支払に関する明確な合意が成立している場合に、賃借人と賃貸人との間に、更新料条項に関する情報の質及び量並びに交渉力について、看過し得ないほどの格差が存するとみることもできない。
③ 更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらない。
④ 被告が現に使用していた更新料条項も、具体的な賃貸借契約における個別具体的な事情にかかわらず高額に過ぎると直ちに断定できず、特段の事情があると認めることができないことから、法10条により無効であるということはできない。
⑤ 更新料条項が無効となる場合があることを理由とする全部差止請求の可否については、「具体的に一部の消費者については有効となりうるとしても無効となる場合があるときにはおよそ更新料条項の使用が差し止められるべきであるという原告の主張は採用することができない」とした。
⑥ 主位的請求について一部認容が可能との主張については、「裁判所において更新料の額が高額に過ぎるか否かの評価根拠事情を特定する必要があるが」「根拠事情は多様であるから、認容すべき範囲を確定することができないおそれがある」とともに、「原告の主位的請求につき一部認容を認めるとなると、防御対象となる前記の根拠事情の多様さゆえに、被告に対して不意打ちとなるおそれもある」ことから、認めることはできないとした。
⑦ 予備的請求について、「更新期間1年に対する更新料の額が月額賃料の2倍の更新料を支払う旨の条項が個々の賃貸借に伴う個別具体的な事情を考慮することなく直ちに前記特段の事情に該当して法10条により無効となるとは認められないし、他の特段の事情の存在によりこれが無効となる場合があり得るとしても、このことを理由として、その条項の使用の全部の差止めを認めることはできない。また、裁判所において更新料の額が高額に過ぎるとの評価に至る根拠となる事情を特定してその一部を認容することができないことも、主位的請求の場合と同様である。」として原告の請求をいずれも棄却した。

◆ H24.01.12京都地裁判決

判決年月日: 2012年1月12日
2012年12月1日 公開

最高裁HP、消費者法ニュース91号252頁、国セン発表情報(2012年11月1日公表)、判例時報2165号106頁、2187号161頁
裁判官 佐藤明、栁本つとむ、板東純

【事案の概要】
 被告との間で、携帯電話端末を利用する電気通信役務提供契約(3Gサービス契約)を締結した原告は、携帯電話端末とパソコンを接続し、携帯電話端末をモデムとして用いることによりパソコンでインターネット通信をすることができるサービスを利用し、通信料として被告から約20万円を請求された。そこで、原告は被告に対し、主位的に、通信料金に関する契約条項のうち、一般消費者が本件サービスを利用するに際し通常予測する額である1万円を超える部分は法10条もしくは公序良俗に反するため無効であるとして不当利得の返還を、選択的に、被告は原告に対し契約に関する説明義務があったにもかかわらずこれを怠った等として債務不履行による損害賠償を請求した。

【判断の内容】
 パケット料金に関する条項は被告の提供する役務の対価に関する条項であるが、当事者間で明確な合意がなされた場合は、役務提供の単価の当否は基本的には市場による評価および調整に委ねるべき事柄であり、双務契約における対価または対価の決定方法を定める明文規定・一般法理は存在しないとして、法10条前段に該当しないとし、公序良俗違反にも当たらないとした。しかし、いったん利用を開始し通信料金が高額となった後の段階においては、原告のインターネット接続サービスの利用により高額なパケット通信料金が発生しており、それが原告の誤解や不注意に基づくものであることが被告においても容易に認識しうる場合は、被告には本件契約上の付随義務として原告に注意喚起する義務があり、本件では5万円を超える部分の料金について被告の義務違反があったとして、原告の請求を一部認めた。

◆ H23.12.26東京高裁判決

判決年月日: 2011年12月26日
2012年12月1日 公開

平成23年(ツ)第82号保証債務請求上告事件
判例時報2142号31頁、国セン発表情報(2012年11月1日公表)
裁判官 南敏文、野村高弘、棚橋哲夫

【事案の概要】
 金銭消費貸借契約に関する保証契約を締結した上告人と被上告人は、その債務の額を利息制限法の制限利率内で確認するとともに、その弁済方法および条件付一部債務免除等を定める和解契約(本件和解契約)を締結したが、上告人が弁済を怠ったとして、被上告人は残元金の支払いを求めたところ,上告人は遅延損害金の利率の上限を争った。原審は、本件和解契約には消費者契約法が適用され、本件和解契約は、本件貸付金契約及び本件保証契約とは別に創設的に締結された契約であり、それ自体として「金銭を目的とする消費貸借契約」(利息制限法1条)に該当しないから、法11条2項の適用はなく、法9条2号の適用は排除されないとし、期限の利益を喪失した日以降の年利14.6%を超える違約金又は損害賠償の予定の定めは無効であるとした。これに対して被告は、期限の利益喪失以前の年21.9%の遅延損害金の定めを不問にしているとして上告した。

【判断の内容】
 本件和解契約について消費貸借上の債務と取扱いを異にして利息制限法上の制限利率の適用を排除すべき実質的な理由はないというべきであるから、法11条2項により、和解契約における遅延損害金の利率には、賠償額の予定の制限を定めた利息制限法4条1項の規定の適用があり、法9条2号は適用されないとし、本件和解契約の遅延損害金の上限は年21.9%となると解すべきと判断したが、原審を上告人に不利益に変更できないとして上告を棄却した。



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