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◆ H25.10.17大阪高裁判決

判決年月日: 2013年10月17日
2014年2月15日 公開

平成24年(ネ)第3565号,平成25年(ネ)第590号契約解除意思表示差止等請求控訴,同附帯控訴事件
消費者法ニュース98条283頁,消費者庁HP(PDF)判決写し(PDF,消費者支援機構関西)
裁判官 河邉義典,大澤晃,山下寛
第1審 大阪地裁平成23年(ワ)第13904号
適格消費者団体 消費者支援機構関西

【事案の概要】
 適格消費者団体が、不動産賃貸業者に対し、①破産、後見開始、保佐開始等を理由とする解除権を賃貸人に付与する条項、②契約終了後の明渡しの履行遅滞による損害として家賃2か月分に相当する賠償額を予定する条項、③滞納家賃を督促する手数料を賃借人が1回あたり3,150円支払う条項、④自然損耗を超える汚損の有無にかかわらず賃借物件の補修費用(面積に応じた一定額)を賃借人に負担させる条項などが、9条各号又は10条に該当するとして、同契約書による意思表示の差止め、契約書用紙の廃棄等を求めた事案の控訴審。
 第1審では,①のうち賃借人に対する後見開始又は保佐開始の審判や申立てがあったときに直ちに契約を解除できる旨の条項に係る部分についてのみ10条に該当するとして差止め等を認めたが、その余を棄却していた。

【判断の内容】
 以下の理由から,①の賃借人が破産等の決定又は申立てを受けた場合に解除を認める部分についても10条により無効であるとして差止請求を認めるという内容に変更したが、その余は差止等を認めなかった。
① 破産等の決定又は申立てを受けたことは,一般的には賃借人の経済的破綻を徴表する事由であるが、賃借人の賃料債務の不履行の有無や程度は個別事案によって異なるものであり、上記事由が発生したからといって直ちに賃貸借契約から発生する義務違反があり信頼関係が破壊されていると評価するのは、相当ではない。
② 賃貸人は、特約において解除事由としている一定の要件を満たせば、催告の上、
本契約を解除できるのであるから、本件解除条項が無効とされた場合に賃貸人が被る不利益も、本件解除条項が有効とされた場合に賃借人が被る不利益に比して、大きいものとはいえない。
③ 後見・保佐について、後見開始や保佐開始の審判がされれば、成年後見人や保佐人が付され、同人らによって財産管理がされ、近隣紛争の解決が期待できるから、成年被後見人、被保佐人の宣告や申立てを受けたことは、賃貸借契約の信頼関係破壊の徴表に当たるとはいえない。
④ ②については、10条前段に該当するが、原審での理由に加えて、賃貸人の損害の填補や賃借人の明渡義務の履行を促すという観点に照らし、あらかじめ賃料以上の一定の額を損害賠償額の予定として定めることは、合理性を有しており、賃料の2倍という額は、高額過ぎるとまではいえない。
⑤ ③については、10条前段に該当するが、原審での理由に加えて、賃貸人は、単に普通郵便で催告するのみでなく、内容証明郵便を送ったり、場合によっては、現地に従業員を赴かせて直接督促したりするなど相応の費用を要することが少なくないこと、実際に要した費用が定められた金額を超える場合でも賃借人は定められた金額を支払えば足りるという点では賃借人に有利な面もあること等から、同条後段には該当しない。
⑥ ④については、10条前段に該当するが、原審での理由等から同条後段には該当しない。



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