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 この判例集は,公刊物,雑誌,最高裁判所HP,兵庫県弁護士会消費者問題判例検索システム,消費者契約法に関心のある方々からの情報提供等により,消費者契約法に関連する判例を集め,一覧にしたものです。記載内容については正確を期しているつもりですが,これを保証するものではありません。詳しくは原典にあたるなどして確認をしてください。
 掲載内容について,誤り等を見つけられた場合には,当法律事務所までご一報いただければ幸いです。
 また,消費者契約法に関するこんな判例を見つけた,あるいはこんな判例を獲得した!という方は,是非情報を提供していただきたく,よろしくお願いいたします。

◆ H23.04.26広島地裁判決

判決年月日: 2011年4月26日
2013年11月22日 公開

平成20年(ワ)第2320号損害賠償請求事件
金融商事判例1399号41頁、金融法務事情1966号124頁、国セン発表情報(2013年11月21日公表)
裁判官 金村敏彦、岩井一真、増子由一
控訴審 H23.11.25広島高裁判決

【事案の概要】
 被告からユーロ円建て債券を購入して損失を被った原告が,被告に対し,①同債券購入時に被告従業員の勧誘行為には,適合性違反・説明義務違反・断定的判断の提供など違法事由があったとして,使用者責任に基く損害賠償等を求め,②前記債券は欠陥商品であり,そのリスクの理解不足に乗じて行われた売買で,同売買契約は公序良俗違反・錯誤・詐欺・消費者契約法4条違反(不実告知、断定的判断の提供、不利益事実の不告知)による無効・取消原因があるとして,不当利得返還請求権に基き,①と同額の支払を求めた事案。

【判断の内容】
 被告の従業員は本件債券につき元本が保証されないことを説明していること等から虚偽の説明があったとは認められない。また、重要事項の不告知があったともいえない。また、被告の従業員は原告に対し元本毀損の可能性があることも説明していることから、不利益事実の不告知があったということもできないとして、法4条による取消しはできないとした。

◆ H23.04.20東京地裁判決

判決年月日: 2011年4月20日
2013年6月25日 公開

平成22年(レ)第2000号不当利得返還請求控訴事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 松並重雄、伊丹恭、國原徳太郎

【事案の概要】
 馬券自動購入資産運用ソフトウェアの購入契約の取消に基づく不当利得等返還請求。不利益事実の不告知が争われた。

【判断の内容】
 以下のとおり不利益事実の不告知(消費者契約法4条2項、特商法9条の3第1項2号)による取消を認め、不当利得返還請求を認めた。
① 「プランを設定すれば,本件商品が自動的に馬券を購入し,1か月で3,4割の利益が上がる。」「ワイドは,選択した2頭の馬が順不同で3着以内に入ると当たりとなる馬券であり,当たる確率が高く,ローリスク・ローリターンなので,資本金が少ない人が利用するのに向いている。」「(本件商品を用いた資産運用による)利益を保証する。」旨を述べたことは、「重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ」たものと認められる。
② 本件商品は,被控訴人が,運用金額である「資本金」を設定し,これをパソコンが馬券に自動的に投資した結果,「投資回収額」を獲得するものであると認められ,この事実に照らせば,本件商品を用いた資産運用において「投資回収額」が「資本金」を下回ることにより,被控訴人に損失が生ずる恐れがあるものと認められるから,「投資回収額」が「資本金」を下回る恐れがあることは,被控訴人の「不利益となる事実」に当たる。
③ 本件告知は,消費者をして,本件商品が馬券の購入を機械的にナビゲートするものではなく,過去のデータを分析した上で,損失を回避して利益が出るようにナビゲートするものである旨を認識させるものと認められるから,本件不利益事実は,本件告知により「不利益となる事実が存在しないと消費者が通常考えるべきもの」に当たるものと認めるのが相当。


◆ H23.03.24最高裁判決

判決年月日: 2011年3月24日
2011年5月26日 公開

平成21年(受)第1679号敷金返還等請求事件
最高裁HP、民集65巻2号903頁、判例時報2128号33頁、2145号154頁、NBL952号10頁
裁判官 金築誠志、宮川光治、櫻井龍子、横田尤孝、白木勇
原審 H21.06.19大阪高裁判決

【事案の概要】
 居住用マンション一室の賃貸借契約の保証金(敷金)の返還請求事案。敷引条項が10条に違反するかが争われた。

【判断の内容】
① 通常損耗部分を借り主の負担とするものであり、10条前段要件を満たす。
② 10条後段要件について
 敷引特約があり、金額が契約書に明示されている場合には,賃借人は,賃料の額に加え,敷引金額についても明確に認識した上で契約を締結するのであって,賃借人の負担については明確に合意されている。
 通常損耗等の補修費用は,賃料にこれを含ませてその回収が図られているのが通常だとしても,これに充てるべき金員を敷引金として授受する旨の合意が成立している場合には,その反面において,上記補修費用が含まれないものとして賃料の額が合意されているとみるのが相当であって,敷引特約によって賃借人が上記補修費用を二重に負担するということはできない。
 補修費用に充てるために賃貸人が取得する金員を具体的な一定の額とすることは,通常損耗等の補修の要否やその費用の額をめぐる紛争を防止するといった観点から,あながち不合理なものとはいえず,敷引特約が信義則に反して賃借人の利益を一方的に害するものであると直ちにいうことはできない。
 もっとも,消費者契約である賃貸借契約においては,賃借人は,通常,自らが賃借する物件に生ずる通常損耗等の補修費用の額については十分な情報を有していない上,賃貸人との交渉によって敷引特約を排除することも困難であることからすると,敷引金の額が敷引特約の趣旨からみて高額に過ぎる場合には,賃貸人と賃借人との間に存する情報の質及び量並びに交渉力の格差を背景に,賃借人が一方的に不利益な負担を余儀なくされたものとみるべき場合が多いといえる。
 そうすると,消費者契約である居住用建物の賃貸借契約に付された敷引特約は,当該建物に生ずる通常損耗等の補修費用として通常想定される額,賃料の額,礼金等他の一時金の授受の有無及びその額等に照らし,敷引金の額が高額に過ぎると評価すべきものである場合には,当該賃料が近傍同種の建物の賃料相場に比して大幅に低額であるなど特段の事情のない限り,信義則に反して消費者である賃借人の利益を一方的に害するものであって,消費者契約法10条により無効となると解するのが相当。
③ 本件では、契約締結から明渡しまでの経過年数に応じて18万円ないし34万円を本件保証金から控除するというものであって,本件敷引金の額が,契約の経過年数や本件建物の場所,専有面積等に照らし,本件建物に生ずる通常損耗等の補修費用として通常想定される額を大きく超えるものとまではいえない。
 賃料は月額9万6000円であって,本件敷引金の額は,上記経過年数に応じて上記金額の2倍弱ないし3.5倍強にとどまっていることに加えて,借主は本件契約が更新される場合に1か月分の賃料相当額の更新料の支払義務を負うほかには,礼金等他の一時金を支払う義務を負っていない。
 そうすると,本件敷引金の額が高額に過ぎると評価することはできず,本件特約が消費者契約法10条により無効であるということはできない。

◆ H23.03.23東京地裁判決

判決年月日: 2011年3月23日
2013年6月25日 公開

平成21年(ワ)第17341号不当利得返還請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 端二三彦

【事案の概要】
 沈没船引き上げに関する事業を行うと称して匿名組合契約の勧誘を受け100万円を出資した者による、不実告知による取消等に基づく不当利得返還請求。

【判断の内容】
 パンフレットの記載や勧誘行為から、業者に不実告知があったとして、4条1項1号による取消を認め全額の返還請求を認めた。

◆ H23.03.18大阪簡裁判決

判決年月日: 2011年3月18日
2011年12月3日 公開

平成22年(ハ)第27941号不当利得返還請求事件
消費者法ニュース88号276頁
裁判官 篠田隆夫

【事案の概要】
 建物賃貸借契約で、礼金が10条違反であるとして不当利得返還請求をした事案。礼金12万円、期間1年の契約で1カ月と8日のみ使用し退去した。

【判断の内容】
 以下の理由から、礼金12万円のうち、3万円を控除した9万円の返還を命じた。
① 礼金は、実質的には賃借人に建物を使用収益させる対価(広義の賃料)であるが、その他にもその程度は気迫ではあるものの賃借権設定の対価や契約締結の謝礼という性質をも有している。一定の合理性を有する金銭給付であり、礼金特約を締結すること自体が「民法1条2項に反して消費者の利益を一方的に害するもの」であるとはいえない。
② 礼金は実質的に前払い賃料であるから、予定した期間が経過する前に退去した場合は、建物未使用期間に対応する前払い賃料を返還するべきことは当然。礼金は返還しないという合意は、契約基幹系構え退去の場合に前払い分賃料相当額が返還されないとする部分について消費者の利益を一方的に害するものとして10条により一部無効というべきである。

◆ H23.03.17東京地裁判決

判決年月日: 2011年3月17日
2013年6月25日 公開

平成21年(ワ)第28066号債務不存在確認等請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 矢作泰幸

【事案の概要】
 貸金業者から1400万円を借りた者が、期限の利益を喪失したとして一括払い請求を受けたことから、契約書の約定返済方法とは異なる返済(30年分割)の説明を受けていたとして、不実告知(4条1項1号)による取消を理由として、債務不存在確認、根抵当権抹消請求をした事案。

【判断の内容】
 継続的金銭消費貸借媒介契約書の記載や返済状況等から、不実告知があったものと認定し、金銭消費貸借契約の取消を認め、債務不存在確認、根抵当権抹消請求を認めた。

◆ H23.03.04大阪地裁判決

判決年月日: 2011年3月 4日
2011年5月26日 公開

平成20年(ワ)第15684号不当利得金返還請求事件
判例時報2114号87頁
裁判官 小林康彦

【事案の概要】
 認知症が進行していた92歳の独り暮らしの女性が、梵鐘の製作等を業とする業者との間で50トンの大梵鐘を製作する請負契約を締結し、代金3億円のうち2億円を支払ったが、当該契約が不実告知、不利益事実の不告知によって締結された等と主張して、返還請求をした事案。契約書作成前に支払われた2億円が、契約書において契約解除の場合には違約金として没収されるとなっていた条項の効力が争われた。

【判断の内容】
 次の理由から、不利益事実の不告知による取消を認め、2億円の返還請求を認めた。
①4条2項の趣旨は、消費者が事業者の不適切な勧誘行為に影響されて自らの欲求の実現に適合しない契約を締結した場合には、民法上の詐欺が成立しないときであっても、消費者が当該契約に拘束されることは衡平を欠くことから、消費者に当該契約の効力を否定する手段を与えたもの。
②梵鐘の設置場所が未確定なまま巨大な梵鐘を、寺院でない一個人が注文するという極めて異例な契約内容であることから、契約書作成時点において契約が締結されたものというべき。
③前払い金2億円について、中途解約の場合違約金となることが契約書においてはじめて記載されており、趣旨が変わっているにもかかわらずそのことを告げた事実は認められない。このことは、重要事項にかかる不利益事実の不告知があるものとして、取消事由となるというべき。

◆ H23.02.24東京地裁判決

判決年月日: 2011年2月24日
2013年6月25日 公開

平成21年(ワ)第3443号、平成22年(ワ)第1164号建物賃料増額確認等本訴請求事件、建物賃料減額確認等反訴請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 小崎賢司

【事案の概要】
 建物賃貸借契約における賃料増額請求、賃料減額請求(反訴)事件。礼金、更新料の支払いが10条にあたるかどうかが争われた。

【判断の内容】
① 礼金条項について、契約締結に対する謝礼金を原告に贈与することを義務づけるもので,被告は礼金の支払によって何らの対価も取得しないことが認められるから,かかる金銭の贈与を契約締結の条件とする旨の礼金支払条項は,本件賃貸借契約の成立において,民法による場合に比べて被告の義務を一方的に加重するものと認めるのが相当とし(10条前段要件)、また、本件賃貸借契約の締結にあたって賃貸人たる原告から金額を定めて提示された条件であると認められるところ,被告は,同条項に合意することを拒否すれば本件建物を賃借することを断念せざるを得ず,あるいは,契約締結後の関係悪化を慮ってその免除ないし減額の交渉を強硬に主張し難い立場にあるといえるから,原告と被告との間には交渉力の格差が存したものというべきであり,前記礼金支払条項は,信義則に照らして被告の利益を一方的に害するとして(10条後段要件)、10条により無効とした。
② 本件更新料条項については、主に賃貸人による更新拒絶権の放棄や契約期間中の賃借人の地位の安定という利益の対価にあたるとして、賃借人たる被告の義務のみを一方的に加重したものとは認められず,それが新賃料の1か月分にとどまることに照らせば暴利にあたるとも認められないから,同条項は無効とは認められないとした。

◆ H23.02.22東京地裁判決

判決年月日: 2011年2月22日
2013年6月25日 公開

平成22年(ワ)第35889号、第39833号立替金請求事件、反訴請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 綿引穣、佐藤重憲、金洪周

【事案の概要】
 金銭消費貸借契約に関する媒介委託契約の手数料及び同契約に付随して立替金を支出したとしてその返還を求めた(本訴)ことに対し、原告が被告の所有する不動産に設定した根抵当権の抹消手続を協力しなかったことによる損害賠償請求及び不当利得の返還を求めた(反訴)事案。

【判断の内容】
 本訴請求を棄却し、反訴を一部認容したが、その理由中で、遅延損害金割合を年21.9%としていた立替金償還特約について、9条2号により年14.6%を超える部分を無効とした。
 

◆ H23.01.27京都地裁判決

判決年月日: 2011年1月27日
2011年2月6日 公開

平成21年(ワ)第4688号更新料返還請求事件
未登載
裁判官 和久田斉

【事案の概要】
建物賃貸借契約の更新料返還請求。

【判断の内容】
次の理由から返還請求を認めた。
① 更新料の法的性質について、賃料の補充、更新拒絶権放棄の対価、空室損料の違約金のいずれも否定した。
② 10条前段、後段要件を満たす。



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