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「2014年3月」アーカイブ|消費者契約法判例集

◆ H17.04.22大阪高裁判決

判決年月日: 2005年4月22日

平成16年(ネ)第1083号学納金返還請求控訴事件
民集60巻9号3698頁,ウエストロー・ジャパン
上告審 H18.11.27最高裁判決(5)

【事案の概要】
 学納金返還請求。①在学契約及び学納金の法的性格,入学辞退の法的効果,②在学契約に消費者契約法が一般的に適用されるか,③本件特約が9条1号により無効となるか,本件特約が10条により無効となるか,等が争われた。入学手続要綱等に「入学式を無断欠席した場合には入学を辞退したものと見なす」などの記載があった。

【判断の内容】
① 学生からの在学契約解消については民法651条の類推適用を認め,同条1項により,いつでも在学契約を将来に向かって解除することができるものと解するのが相当であり,学生からの入学辞退の意思表示はこの在学契約解除の意思表示と理解するのが相当。
② 授業料等の不返還を定める部分は,9条1号に当たる。
③ 平均的損害の額の立証責任は,消費者が負う。
④ 3月31日までに在学契約を解除した場合,授業料部分は平均的な損害を超えるものとなる。
⑤ 4月1日以降に在学契約を解除した場合,学部・学科の授業内容,定員数,発生すると考えられる損害の内容,等の事情を考慮し,大学,各部,学科ごとに,20万円から30万円の範囲で平均的損害を算定した。
⑥ 本件特約には10条は適用されない。

◆ H17.03.15東京地裁判決

判決年月日: 2005年3月15日

平成16年(ワ)第13205号貸金請求本訴,不当利得返還等請求反訴事件
判例時報1913号91頁,ウエストロー・ジャパン
裁判官 工藤正

【事案の概要】
 特定の法律事務所の弁護士らが主体となり、報酬を得る目的で、業として、債務整理を受任した依頼者のうちから大手消費者金融業者甲に対して不当利得返還請求権を有している不特定多数の者から甲に対して貸金債務を負担している不特定多数の者に同請求権を譲渡させ、これらの権利実現を訴訟等の手段を用いて実行している場合において、このような債権譲渡は、公序良俗に反し無効であるとされた事例。
 金銭消費貸借契約の債務不履行に基づく返済債務に関する債務弁済契約における賠償額の予定の定めには、利息制限法4条が適用されるか、消費者契約法9条2号が適用されるかが争われた。

【判断の内容】
 11条2項は、「消費者契約の条項の効力について民法及び商法以外の他の法律に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。」と規定しているところ、利息制限法が、消費貸借契約の場合における相当な利得の利率及び遅延損害金の割合の上限を定めることを目的としていることに鑑み、「金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定」については、利息制限法の規定が優先して適用されるものと解するのが相当である。そして、このことは、「金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定」についての和解契約についても同様であると解するのが相当である。

◆ H16.03.25山口簡裁判決

判決年月日: 2004年3月25日

平成15年(ハ)第406号,第411号貸金等請求事件,不当利得返還請求事件
消費者法ニュース60号109頁,兵庫県弁護士会HP
裁判官 德丸哲夫

【事案の概要】
 貸金業者である原告が、原告と訴外Aとの間の金銭消費貸借契約の連帯保証人である被告に対し、貸金残金等の支払を求めた(甲事件)のに対し、被告が、過払金が生じているとして、原告に対し、不当利得返還請求権に基づき過払金等の支払を求めた(乙事件)事案。約定利息の支払を遅滞することにより、当然に期限の利益を失う旨の条項と支払いの任意性について争われた。

【判断の内容】
 貸金業規制法43条の適用要件については厳格に解釈すべきこととあわせ,消費者契約法の消費者保護の精神を総合的に考慮すれば,契約証書等の内容については,債務者に弁済を強要することになるようなあいまいな表現を避けて,明確な記述をし,債務者に不利益を与えないようにすべきであると判示して,貸金業者の主張を排斥し,みなし弁済の適用を否定した。

◆ H15.11.26東京地裁判決

判決年月日: 2003年11月26日

平成14年(ワ)第27108号契約金請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 遠山廣直

【事案の概要】
 被告らとの間で国際結婚仲介契約を締結したとするコンサルタント会社(原告)が、中国人女性を紹介したにもかかわらず、被告らが中国への渡航を中止したとして、違約金等の支払を求めた事案。損害賠償額の予定が9条により無効となるか,契約者が契約を解約するときには原告の定める解約書を提出することによって行う旨、及び提出されたパスポートは一切返却しない旨の定めが10条により無効となるか等が争われた。

【判断の内容】
① 契約者が契約を解約するときには原告の定める解約書を提出することによって行う旨の条項は,本来意思表示をもって足りる解約の意思表示について消費者である被告の利益を害する条項というべきであり,10条により無効となる。
② 提出されたパスポートは一切返却しない旨の条項は,消費者の海外渡航の自由を制限するものであって10条により無効というべきである。
③ 10条により当該条項が無効となるとしても,本件契約全体が無効ということは出来ない。



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