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「2013年11月」アーカイブ|消費者契約法判例集

◆ H25.04.19東京地裁判決

判決年月日: 2013年4月19日

平成23年(ワ)第38665号、平成24年(ワ)第5632号違約金請求事件(本訴)、(反訴)
ウエストロー・ジャパン、国セン発表情報(2013年11月21日公表)
裁判官 樋口真貴子

【事案の概要】
 本訴では、不動産業者である原告が、土地の買主である被告に対し、被告の売買代金未払いを理由に売買契約を解除した上、売買契約の違約金条項に基づき、売買代金の20%相当額から既に受領済の代金を控除した額及び遅延損害金の支払いを求めた。反訴では、被告が原告に対し、主意的には原告の建築条件(土地の売主が同土地上の建物の建築も請け負うという条件)を付さないという義務違反及び融資協力義務違反を理由に売買契約を解除した上、原状回復義務の履行として、支払済代金の返還及び売買契約の違約金条項に基づく違約金の支払い並びに遅延損害金の支払いを求めた。そして、予備的には第一に、原告が重要事項である建築条件について事実と異なることを告げて被告を誤認させたとして法4条1項1号または法4条2項による売買契約の取消し、または錯誤無効を主張して支払済代金及び遅延損害金の支払いを求め、第二に、被告は売買契約を手付解除したとして、原告に対し、支払済売買代金から手付金を控除した額及び遅延損害金の支払いを求めた。

【判断の内容】
 原告は、被告との間で、建築条件なし及び更地渡しをすることに合意して本件売買契約を締結したにもかかわらず、建物建築についても原告に請け負わせ、ひいては本件土地上の建物の解体費用を事実上被告に負担させる意図を隠して仮請負契約書を作成させ、原告と建築請負契約を締結させようと強引な営業活動を行ったことが認められるものの、原告と建築請負契約を締結しなければ本件土地を引き渡さない、現実に具体的な解体費用を被告に請求したなどの客観的事実はなく、債務不履行とまでは認められない。また、融資協力義務についても原告に債務不履行があるとは認められない。本件売買契約において、建築条件が付されていないことや更地渡しであることは法4条4項2号にいう重要事項に該当するが、重要事項についての不実告知、不利益事実の不告知は認められない。他方、被告が原告に対し行った解除の意思表示は手付解除として有効であると認められるから、原告は、被告に対し、既に受領済の売買代金から手付金を控除した額及び遅延損害金を支払う義務があるとした。

◆ H25.03.27東京地裁判決

判決年月日: 2013年3月27日

国セン発表情報(2013年11月21日公表)

【事案の概要】
 放送法の規定に基づき設置された法人である被控訴人と控訴人は放送受信契約を締結したが、その後、控訴人は受信料を支払わなくなった。このため、被控訴人は、控訴人に対し、本件契約に基づき未払い受信料及び約定遅延損害金の支払いを求めた。控訴人は、被控訴人の会計検査院法27条違反、放送法27条違反、放送法4条及び14条違反などを理由に、本件契約が民法90条に違反し無効であると主張した。また、本件契約は消費者契約であり、被控訴人が控訴人に重要事項である受信契約の内容を十分に説明していないなどとして法4条1項1号による本件契約の取消しを主張した。さらに、本件契約に基づく受信料債権は、民法173条による2年の短期消滅時効または民法169条の定期給付債権として5年の短期消滅時効により消滅するとして、消滅時効を援用する旨の意思表示をした。原審は、被控訴人の請求を全部認容した。

【判断の内容】
 本件受信契約が公序良俗に反するとはいえない。放送受信契約は、放送法64条2項によりその締結を義務付けられている上、同条3項において、同契約の条項につきあらかじめ総務大臣の認可を受けなければならないとされていることからすれば、当事者の自由意思により締結されるものとはいえないから、放送受信契約の締結について法4条1項が適用される余地はない。本件受信料債権については、民法173条に定める債権には該当しない。本件受信料債権は、本件受信契約という基本契約に基づいて発生し、受信規約により月額が定められ、2カ月毎に支払うことを内容とするものであるから、基本権たる定期金債権から派生する支分権として、民法169条に定める債権に該当する、として控訴を棄却した。

◆ H25.03.26東京地裁判決

判決年月日: 2013年3月26日

国セン発表情報(2013年11月21日公表)

【事案の概要】
 消費者である原告は、肩こりや頭痛などの症状についてインターネットで通院先を探し、被告らとの間でカイロプラクティックの施術契約を締結し、施術を受けた。原告は、被告らが、原告の猫背、頭痛、肩こりはカイロプラクティックによる施術によって治るとは限らないにもかかわらず、それを故意に告げず、かえって、原告らの症状が治ると将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供したため、原告は、本件各施術によって症状が治るのが確実であると誤認したと主張し、法4条2項により本件各施術契約を取消す旨の意思表示をし、不当利得の返還請求をした。

【判断の内容】
 カイロプラクティックの施術における「猫背、頭痛、肩こりの症状を改善させる効果の有無」については、消費者契約の目的となる役務についての「質」に該当すると認められる。被告らが、本件各施術によって猫背、頭痛、肩こりの症状が改善していく旨の説明をしたことは認められるが、施術によって症状が改善しないと認めることはできないから、被告らが本件各施術によって症状が改善しないにもかかわらず改善する場合があると告げたと認めることはできない。また、被告らが、原告に対し症状が軽減、消失しないことを告知しなかったことが法4条2項に反するとはいえない。そして、被告らが「猫背、頭痛、肩こりが治る」などという断定的明言をした事実を認めることはできず、原告において、猫背、頭痛、肩こりが確実に治ると誤信したと認めることは困難である。被告らが、症状が改善しない場合があることを故意に告げなかったとも認められない。以上により、原告の本件各施術契約の申込みの意思表示につき、法4条2項に基づいて取消すことはできないとして、原告の請求を棄却した。

◆ H25.03.19東京地裁判決

判決年月日: 2013年3月19日

国セン発表情報(2013年11月21日公表)

【事案の概要】
 放送法の規定に基づき設置された法人である被控訴人と控訴人は放送受信契約を締結したが、その後、控訴人は受信料を支払わなくなった。このため、被控訴人は、控訴人に対し、本件契約に基づき未払い受信料及び約定遅延損害金の支払いを求めた。控訴人は、被控訴人の会計検査院法27条違反、放送法27条違反、放送法4条及び14条違反などを理由に、本件契約が民法90条に違反し無効であると主張した。また、法4条1項1号による本件契約の取消しを主張した。さらに、本件契約に基づく受信料債権は、民法173条による2年の短期消滅時効または民法169条の定期給付債権として5年の短期消滅時効により消滅するとして、消滅時効を援用する旨の意思表示をした。原審は、被控訴人の請求を全部認容した。

【判断の内容】
 控訴人が主張する事情はいずれも控訴人と被控訴人との間の本件契約の目的及び内容が公序良俗に反することを認めるに足りるものではなく、本件契約は民法90条に違反するとは認められない。本件契約は法人である被控訴人と個人である控訴人の間で締結された契約であるから消費者契約であり、法の適用を受ける。しかし、本件契約の締結時において、法4条1項1号の要件を充足する事実は認められない。本件受信料債権については、民法169条の適用があり、弁済期から5年間これを行使しないときは時効消滅する。しかし、本件受信料債権の消滅時効は、控訴人の配偶者による債務の承認により中断した。控訴人は、配偶者による債務の承認がなされた時点で、既に消滅時効が完成していた本件受信料債権について消滅時効を援用することができないとして控訴を棄却した。

◆ H25.02.27東京地裁判決

判決年月日: 2013年2月27日

平成23年(ワ)第6307号求償金請求事件
ウエストロー・ジャパン、国セン発表情報(2013年11月21日公表)
裁判官 川﨑聡子

【事案の概要】
 消費者である被告は、補助参加人から宝飾品の購入契約を締結し、その資金を訴外銀行から借り受けるにあたり、別業者と保証委託契約を締結した。その後別業者の権利義務を承継した原告が、保証委託契約に基づき求償権を取得したとして、被告に対し、求償金及び遅延損害金の支払いを求めた。被告は、本件契約は特定商取引法に定める訪問販売に該当し、申込みを撤回する旨の意思表示をしたと主張した。また、補助参加人は、本件商品の質及び価格に関する重要事項の不実告知(法4条1項1号)を行い、宝石は後まで残る財産であるとの断定的判断を提供し(法4条1項2号)、被告を退去困難に陥らせ(法4条3項)、これにより誤認または困惑を生じた結果本件契約の締結に至ったものであると主張した。また、商品の対価その他の取引条件について、不利益事実の不告知(法4条2項)を行ったと主張し本件契約を取消す旨の意思表示をした。そして、法5条及び4条の類推適用によって、本件保証委託契約自体も取消すと主張した。

【判断の内容】
 被告は、補助参加人の店舗を頻繁に訪れ本件商品を自ら希望して本件販売契約に至ったものであり、訪問販売には該当しないから特定商取引法による申込みの撤回はできない。単に宝飾品の買取業者や鑑別業者が査定した価格と販売価格との間に差異があることをもって、売主が、商品の質及び価格に関する重要事項につき不実の告知をしたということはできない。本件契約において、補助参加人の従業員らが述べた内容はセールストークの域を出ず、補助参加人が被告に対し、将来における本件商品の価額その他変動が不確実な事項について断定的判断を提供したということはできない。また、補助参加人が、被告が店舗から退去すべき旨の意思表示をしたにもかかわらず被告を退去させなかったと認めることはできない。本件契約の締結につき、不利益事実の不告知があったともいえない。以上により、法4条に基づく取消しをすることはできない。そして、法4条の取消し事由に該当するような違法な勧誘が行われたとはいえないから、本件保証委託契約が法5条及び4条の類推適用により取消し得るということもできないとした。

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