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「2012年」アーカイブ|消費者契約法判例集

◆ H23.07.12最高裁判決

判決年月日: 2011年7月12日

平成22年(受)第676号保証金返還請求事件
最高裁HP、最高裁判所裁判集民事237号215頁、裁判所時報1535号257頁、判例タイムズ1356号81頁、金融商事判例1378号28頁、判例時報2128号33頁、判例時報2145号154頁、金融法務事情1948号90頁、現代消費者法13号110頁
裁判官 田原睦夫(補足意見)、那須弘平、岡部喜代子(反対意見)、大谷剛彦、寺田逸郎(補足意見)
第1審 H21.07.30京都地裁判決
控訴審 H21.12.15大阪高裁判決

【事案の概要】
 マンション居室の敷金返還請求。敷引条項の有効性が争われた。

【判断の内容】
 原判決を破棄し、本件敷引条項は10条違反にならないとした。
① 敷引特約について、賃貸人は,通常,賃料のほか種々の名目で授受される金員を含め,これらを総合的に考慮して契約条件を定め,また,賃借人も,賃料のほかに賃借人が支払うべき一時金の額や,その全部ないし一部が建物の明渡し後も返還されない旨の契約条件が契約書に明記されていれば,賃貸借契約の締結に当たって,当該契約によって自らが負うこととなる金銭的な負担を明確に認識した上,複数の賃貸物件の契約条件を比較検討して,自らにとってより有利な物件を選択することができる。賃貸人が契約条件の一つとしていわゆる敷引特約を定め,賃借人がこれを明確に認識した上で賃貸借契約の締結に至ったのであれば,それは賃貸人,賃借人双方の経済的合理性を有する行為と評価すべきものであるから,消費者契約である居住用建物の賃貸借契約に付された敷引特約は,敷引金の額が賃料の額等に照らし高額に過ぎるなどの事情があれば格別,そうでない限り,これが信義則に反して消費者である賃借人の利益を一方的に害するものということはできない(最高裁平成21年(受)第1679号同23年3月24日第一小法廷判決・民集65巻2号登載予定参照)。
② 本件では、敷引き条項について明確に読み取れる条項が置かれていたのであり、賃借人は本件契約によって自らが負うこととなる金銭的な負担を明確に認識した上で本件契約の締結に及んだものというべき。
③ 本件契約における賃料は,契約当初は月額17万5000円,更新後は17万円であって,本件敷引金の額はその3.5倍程度にとどまっており,高額に過ぎるとはいい難く,本件敷引金の額が,近傍同種の建物に係る賃貸借契約に付された敷引特約における敷引金の相場に比して,大幅に高額であることもうかがわれない。
(補足意見および反対意見がある)

【岡部喜代子反対意見】
① 敷引金は個々の契約ごとに様々な性質を有するものであるのに,消費者たる賃借人がその性質を認識することができないまま賃貸借契約を締結していることが問題なのであり,敷引金の総額を明確に認識していることで足りるものではない。
② 敷引金は,損耗の修繕費(通常損耗料ないし自然損耗料),空室損料,賃料の補充ないし前払,礼金等の性質を有するといわれており,その性質は個々の契約ごとに異なり得るものである。そうすると,賃借物件を賃借しようとする者は,当該敷引金がいかなる性質を有するものであるのかについて,その具体的内容が明示されてはじめて,その内容に応じた検討をする機会が与えられ,賃貸人と交渉することが可能となるというべきである。例えば,損耗の修繕費として敷引金が設定されているのであれば,かかる費用は本来賃料の中に含まれるべきものであるから(最高裁平成16年(受)第1573号同17年12月16日第二小法廷判決・裁判集民事218号1239頁参照),賃借人は,当該敷引金が上記の性質を有するものであることが明示されてはじめて,当該敷引金の額に対応して月々の賃料がその分相場より低額なものとなっているのか否か検討し交渉することが可能となる。また,敷引金が礼金ないし権利金の性質を有するというのであれば,その旨が明示されてはじめて,賃借人は,それが礼金ないし権利金として相当か否かを検討し交渉することができる。事業者たる賃貸人は,自ら敷引金の額を決定し,賃借人にこれを提示しているのであるから,その具体的内容を示すことは可能であり,容易でもある。それに対して消費者たる賃借人は,賃貸人から明示されない限りは,その具体的内容を知ることもできないのであるから,契約書に敷引金の総額が明記されていたとしても,消費者である賃借人に敷引特約に応じるか否かを決定するために十分な情報が与えられているとはいえない。
③ 消費者契約においては,消費者と事業者との間に情報の質及び量並びに交渉力の格差が存在することが前提となっており(消費者契約法1条参照),消費者契約関係にある,あるいは消費者契約関係に入ろうとする事業者が,消費者に対して金銭的負担を求めるときに,その対価ないし対応する利益の具体的内容を示すことは,消費者の契約締結の自由を実質的に保障するために不可欠である。敷引特約についても,敷引金の具体的内容を明示することは,契約締結の自由を実質的に保障するために,情報量等において優位に立つ事業者たる賃貸人の信義則上の義務であると考える(なお,消費者契約法3条1項は,契約条項を明確なものとする事業者の義務を努力義務にとどめているが,敷引特約のように,事業者が消費者に対し金銭的負担を求める場合に,かかる負担の対価等の具体的内容を明示する義務を事業者に負わせることは,同項に反するものではない。)。このように解することは,最高裁平成9年(オ)第1446号同10年9月3日第一小法廷判決・民集52巻6号1467頁が,災害により居住用の賃借家屋が滅失して賃貸借契約が終了した場合において,敷引特約を適用して敷引金の返還を不要とするには,礼金として合意された場合のように当事者間に明確な合意が存することを要求していること,前掲最高裁平成17年12月16日第二小法廷判決が,通常損耗についての原状回復義務を賃借人に負わせるには,その旨の特約が明確に合意されていることが必要であるとしていることから明らかなように,当審の判例の趣旨にも沿うものである。
④ 10条前段要件は満たす。
⑤ 後段該当性についてみると,原審認定によれば,本件敷引金の額は本件契約書に明示されていたものの,これがいかなる性質を有するものであるのかについて,その具体的内容は本件契約書に何ら明示されていないのであり,また,上告人と被上告人との間では,本件契約を締結するに当たって,本件建物の付加価値を取得する対価の趣旨で礼金を授受する旨の合意がなされたとも,改装費用の一部を被上告人に負担させる趣旨で本件敷引金の合意がなされたとも認められないというのであって,かかる認定は記録に徴して十分首肯できるところである。したがって,賃貸人たる上告人は,本件敷引金の性質についてその具体的内容を明示する信義則上の義務に反しているというべきである。加えて,本件敷引金の額は,月額賃料の約3.5倍に達するのであって,これを一時に支払う被上告人の負担は決して軽いものではないのであるから,本件特約は高額な本件敷引金の支払義務を被上告人に負わせるものであって,被上告人の利益を一方的に害するものである。
 以上のとおりであるから,本件特約は消費者契約法10条により無効と解すべきである。
⑥ 上告人は,建物賃貸借関係の分野では自己責任の範囲が拡大されてきている,本件特約を無効とすることにより種々の弊害が生ずるなどと述べるが,賃借人に自己責任を求めるには,賃借人が十分な情報を与えられていることが前提となるのであって,私が以上述べたところは,賃借人の自己責任と矛盾するものではなく,かつ,敷引特約を一律に無効と解するものでもないから,上告人の上記非難は当たらない。

◆ H23.05.19名古屋地裁判決

判決年月日: 2011年5月19日

平成22年(フ)第3876号損害賠償請求事件
消費者法ニュース89号138頁、国セン発表情報(2012年11月1日公表)
裁判官 渡部美佳

【事案の概要】
 原告は、被告との間で、パチンコ・パチスロの攻略情報の提供契約(本件契約)を締結し、約6年半の間に合計約550万円を支払った。契約締結の際、被告の従業員は、攻略情報に従えば必ず利益が上がるとして勧誘をした。その後、原告が、被告から提供された情報を元に遊技をしても利益が上がらないというと、被告の従業員は、より高額な契約を締結すれば確実に利益を得られる旨述べてその契約を勧め、その後も、利益が得られないと訴える原告に対し、従業員を交替させながら新たな契約の締結を言葉巧みに勧め、その代金を支払わせた(本件各契約)。原告は、被告の従業員らの勧誘行為は断定的判断の提供であるとして法4条1項2号により契約の取消および不当利得の返還等を請求した。

【判断の内容】
 原告が被告から攻略法の情報提供を受けていたパチンコ・パチスロ機種の攻略法は存在しないこと、パチンコ・パチスロの業界団体で構成されているセキュリティー対策委員会、全日本遊技事業協同組合などからパチンコ・パチスロの攻略法があるとの詐欺的行為について警鐘を鳴らされていること、本件契約の利用規約においても確実性・正確性について保証しない旨の記載があることから、パチンコ・パチスロにおいて確実に利益を得られる攻略法は存在しないことは明らかであり、利益を得られるかどうかは、不確実な事項である。被告の従業員は、原告に対し確実に利益が得られるとの断定的判断を提供し、原告は、同断定的判断の内容が確実であると誤認して本件各契約を申し込んでいるとして、法4条1項2号に基づく本件各契約の取消を認めた。

◆ H23.12.26東京高裁判決

判決年月日: 2011年12月26日

平成23年(ツ)第82号保証債務請求上告事件
判例時報2142号31頁、国セン発表情報(2012年11月1日公表)
裁判官 南敏文、野村高弘、棚橋哲夫

【事案の概要】
 金銭消費貸借契約に関する保証契約を締結した上告人と被上告人は、その債務の額を利息制限法の制限利率内で確認するとともに、その弁済方法および条件付一部債務免除等を定める和解契約(本件和解契約)を締結したが、上告人が弁済を怠ったとして、被上告人は残元金の支払いを求めたところ,上告人は遅延損害金の利率の上限を争った。原審は、本件和解契約には消費者契約法が適用され、本件和解契約は、本件貸付金契約及び本件保証契約とは別に創設的に締結された契約であり、それ自体として「金銭を目的とする消費貸借契約」(利息制限法1条)に該当しないから、法11条2項の適用はなく、法9条2号の適用は排除されないとし、期限の利益を喪失した日以降の年利14.6%を超える違約金又は損害賠償の予定の定めは無効であるとした。これに対して被告は、期限の利益喪失以前の年21.9%の遅延損害金の定めを不問にしているとして上告した。

【判断の内容】
 本件和解契約について消費貸借上の債務と取扱いを異にして利息制限法上の制限利率の適用を排除すべき実質的な理由はないというべきであるから、法11条2項により、和解契約における遅延損害金の利率には、賠償額の予定の制限を定めた利息制限法4条1項の規定の適用があり、法9条2号は適用されないとし、本件和解契約の遅延損害金の上限は年21.9%となると解すべきと判断したが、原審を上告人に不利益に変更できないとして上告を棄却した。

◆ H23.12.21東京地裁判決

判決年月日: 2011年12月21日

国セン発表情報(2012年11月1日公表)

【事案の概要】
 原告が、被告の従業員の勧誘に応じて仕組債および投資信託(本件商品)を購入したところ、勧誘の際、被告従業員による断定的判断の提供および重要な不利益事実の不告知があり、また、適合性原則および説明義務違反があったとして、法4条1項2号および法4条2項による取消しを主張し、不当利得返還等と不法行為による損害賠償等を選択的に請求した。

【判断の内容】
 原告が本件商品を購入する際、被告が、確実に利益が得られる旨の断定的判断を提供したとは認められない。また、被告は原告に対し、本件商品の内容及びリスクについて説明を行っており、不利益事実の不告知の事実も認められないとして、取消し事由はないと判断した。不法行為についても認められないとし、原告の請求を棄却した。

◆ H23.12.20京都地裁判決

判決年月日: 2011年12月20日

平成23年(ワ)第1875号未公開株勧誘行為等差止請求事件
消費者庁HP(PDF)判決写し(PDF、京都消費者契約ネットワークHP)国セン発表情報(2012年11月1日公表)
裁判官 瀧華聡之、奥野寿則、堀田喜公衣
適格消費者団体 京都消費者契約ネットワーク
事業者 J・C・I投資事業有限責任組合

【事案の概要】
適格消費者団体が、投資事業として消費者と契約を行うJ・C・I 投資事業有限責任組合に対し、不当勧誘の差し止めを求めた事案。

【判断の内容】
特段の主張のない答弁書を提出しただけで欠席したため、請求原因事実に争いがないものとした上で、差止ができる範囲について以下のとおり判断した。
① 「未公開株式の購入を勧誘してはならない」との請求については、4条1項1号の不実告知をする場合に限り、当該未公開株式の客観的な価値と比較して、著しく異なる価額を告げて勧誘する行為の差止の限度で認めた。
② 「未公開株式の購入を勧誘するに際し、被告が内閣総理大臣の登録(金融商品取引法第29条)を受けておらず、金融商品取引業を行うことが法律上禁止されている者であることを告げずに勧誘をしてはならない」との請求については、不利益事実の不告知(4条2項)にあたるとして認めた。
③ 「第三者をして、消費者に対して、株式を購入できる者が限定されている旨を告げさせてはならない。被告は、第三者をして、消費者に対して、株式を買い取る旨を告げさせてはならない。」との請求については、あらかじめ購入できる者が限定されていないのに告げること、株式を買い取る具体的予定がないのに買い取る旨を告げる行為の差止の限度で認めた。

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