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◆ H20.09.30京都地裁判決

判決年月日: 2008年9月30日
2010年6月12日 公開

平成20年(レ)第4号礼金返還請求控訴事件
最高裁HP
吉川愼一,上田卓哉,森里紀之

【事案の概要】
控訴人は,被控訴人との間で締結した賃貸借契約に基づいて,被控訴人に礼金18万円を交付したが,同賃貸借契約には,賃貸借契約終了時に礼金を返還しない 旨の約定が付されており,被控訴人から礼金18万円が返還されなかったことから,この礼金を返還しない旨の約定が10条により全部無効であるとして,被控 訴人に対し,不当利得に基づき,礼金18万円及びこれに対する遅延損害金の支払いを求めた(1審では請求棄却)。これに対し,礼金約定が信義則に反して消 費者の利益を一方的に害するものであるような事情は認められないから,礼金約定が10条に反し無効であるということはできないとした事例

【判断の内容】
以下の理由から,10条後段の要件を欠くとして返還請求を認めなかった。
① 礼金は,賃貸人にとっては賃貸物件を使用収益させることによる対価として,賃借人にとっては賃貸物件を使用収益するに当たり必要となる経済的負担とし て,それぞれ把握されている金員であり,かかる当事者の意思を合理的に解釈すると,賃料の一部前払としての性質を有するというべきである。また,礼金が返 還されないことについては説明があったもので,何らの根拠もなく,何らの対価でもなく,賃借人が一方的に支払を強要されているとはいえない。
② 礼金は賃料の前払としての性質を有しており,これを契約時に徴求したとしても被控訴人が不当な利益を得ることにはならない。また,控訴人は自由な意思に基 づき礼金約定が付された賃貸物件を選択したというべきであり,控訴人に交渉の余地がなかったことは特段問題とするに足りない。
③ 「賃貸借住宅標準契約書」の体裁や政府委員の答弁,公営住宅法や旧国庫法などが礼金を禁止していること,本件礼金の額などから,礼金約定が非難に値するということはできない。



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