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 この判例集は,公刊物,雑誌,最高裁判所HP,兵庫県弁護士会消費者問題判例検索システム,消費者契約法に関心のある方々からの情報提供等により,消費者契約法に関連する判例を集め,一覧にしたものです。記載内容については正確を期しているつもりですが,これを保証するものではありません。詳しくは原典にあたるなどして確認をしてください。
 掲載内容について,誤り等を見つけられた場合には,当法律事務所までご一報いただければ幸いです。
 また,消費者契約法に関するこんな判例を見つけた,あるいはこんな判例を獲得した!という方は,是非情報を提供していただきたく,よろしくお願いいたします。

◆ H23.10.24東京地裁判決

2013年6月23日 公開

平成22年(ワ)第12243号保証金返還等請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 武藤真紀子

【事案の概要】
 建物賃貸借契約の終了に基づく保証金返還請求。保証金償却条項が10条違反に当たるかが争われた。

【判断の内容】
 10条の「消費者契約」とは,消費者と事業者との間で締結される契約をいうと定義されるが(2条3項),個人であっても,事業として又は事業のために契約の当事者となる場合は「消費者」に該当しない(2条1項)ものであるところ,原告は,本件建物をクラブとして使用する目的で賃借し,現に,本件建物においてクラブを営業していたのであって,事業のために本件賃貸借契約を締結したものであるから,本件賃貸借契約は10条にいう「消費者契約」とはいえず,原告の主張は前提を欠くとして、消費者契約法は適用されないとした。

◆ H23.10.27東京地裁判決

2013年6月23日 公開

平成22年(ワ)第13457号敷金返還等請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 和久田道雄

【事案の概要】
 マンションの貸室を目的とする賃貸借契約に関し、同貸室を退去した原告(当時司法修習生、現在弁護士)が、賃貸人である被告に対し、造作買取請求権不行使特約、礼金及び更新料の各支払特約、敷金から清掃費用を控除する旨の特約は消費者契約法10条に反し、無効であるとして、造作買取代金の支払、各既払金員相当額の不当利得返還、敷金のうち返還を受けた部分を除いた残額等の各支払を求めた事案。

【判断の内容】
 以下の理由から、いずれも請求を棄却した。
① 造作買取請求権排除条項、礼金条項、更新料条項について、当該条項が信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであるか否かは,消費者契約法の趣旨,目的(同法1条参照)に照らし,当該条項の性質,契約が成立するに至った経緯,消費者と事業者との間に存する情報の質及び量並びに交渉力の格差その他諸般の事情を総合考慮して判断されるべき。
 本件条項は、いずれも内容が一義的に明確であり、金銭的負担を明確に意識した上で契約条件を比較検討して選択することが可能であったから、信義則に反して消費者である原告の利益を一方的に害するものということはできない。
② 賃貸人は契約終了時に使用状況,清掃状況にかかわらず,清掃費用7万2093
円を敷金から控除するとの条項(敷引条項)について、消費者契約である住居用建物の賃貸借契約に付された敷引特約は,当該建物に生ずる通常損耗等の補修費用として通常想定される額,賃料の額,礼金等他の一時金の授受の有無及びその額等に照し,敷引金の額が高額に過ぎると評価すべきものである場合には,当該賃料が近傍同種の建物の賃料相場に比して大幅に低額であるなど特段の事情のない限り,信義則に反して消費者である賃借人の利益を一方的に害するものであって,消費者契約法10条により無効となると解するのが相当。
 本件の場合、経過年数(4年)、賃料額、礼金額、更新料額を考慮しても、敷引金の額が高額に過ぎると評価することはできず、無効とはいえない。

◆ H23.10.28東京地裁判決

2013年6月23日 公開

平成22年(ワ)第8460号授業料返還等請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 生野考司、前澤功、仲田憲史

【事案の概要】
 ラインパイロットになることを目指した原告が、ニュージーランドの航空大学校で語学研修を受けた上、飛行訓練等を受けるなどして事業用免許等を取得し、帰国した後さらに事業用操縦士免許を取得して就職するという訓練システムの受講契約を被告との間で締結し、ニュージーランドの語学学校で研修していたところ、上記大学校での訓練を受けるための規定の英語能力が得られなかったことなどから、本件受講契約を解除したとして、被告に対し、前払い費用の精算として未使用授業料等の支払を求めた事案。学納金の不返還条項の効力が争われた。

【判断の内容】
① 入学金については、学生が大学に入学し得る地位を取得する対価の性質を有しており,その納付をもって学生は上記地位を取得するものとして、返還義務を否定した。
② 入学金以外の部分に係る本件不返還合意は,消費者契約法9条1号の損害賠償の額の予定に係る合意であるから,解除の事由,時期等の区分に応じ,本件契約と同種の契約の解除に伴い被告に生ずべき平均的な損害を超えるものについては無効であるとして、施設費、学費・訓練費、滞在費、寮費等の一部について返還請求を認めた。

◆ H24.01.25東京地裁判決

2013年6月21日 公開

平成22年(ワ)第17665号、第38763号サイト制作代金等請求事件(本訴)、(反訴)
ウエストロー・ジャパン
裁判官 秋元健一

【事案の概要】
 原告が、被告会社との間でインターネットサイト制作等の委託契約を締結したとして、被告会社に対し、代金等の支払を求めるとともに、被告会社の代表取締役である被告Y2に対し、同Y2に金銭を貸し付けた又は同Y2が被告会社の原告に対する金銭債務を引き受けたとして、金員の支払を求めた事案。

【判断の内容】
 被告会社に対する請求を一部認める一方で、被告代表取締役に対する請求については、債務引受契約の成立を認めつつ、遅延損害金利率については消費者契約法所定の制限利率の範囲内である約定の年14.6%に制限して認めた(明示はないが9条2号を適用したものと思われる。)。

◆ H24.01.31東京地裁判決

2013年6月21日 公開

平成22年(ワ)第34752号慰謝料等請求事件
ウエストロー・ジャパン、国セン発表情報(2013年11月21日公表)
裁判官 上田哲

【事案の概要】
 旅行業者である被告との間で旅行契約を締結して被告主催のツアーに参加した原告らが、クルーズ船において割り当てられた客室が身体障害者仕様の海の見えない客室であったことが被告の債務不履行又は消費者契約法4条4項1号所定の「重要事項」に係る説明義務違反の不法行為を構成すると主張して、被告に対し、損害賠償を求めた事案。

【判断の内容】
 以下のように判断し、請求を棄却した。
① 「重要事項」(4条4項1号)とは,当該消費者契約の目的となるものの質,用途その他の内容等であって消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきものをいうところ,この「消費者の・・・判断に通常影響を及ぼすべきもの」とは,契約締結の時点の社会通念に照らし,当該消費者契約を締結しようとする一般平均的な消費者が当該消費者契約を締結するか否かについて,その判断を左右すると客観的に考えられるような,当該消費者契約についての基本的事項,換言すれば,通常予見される契約の目的に照らし,一般平均的な消費者が当該消費者契約の締結について合理的な意思形成を行う上で通常認識することが必要とされる重要なものをいうと解される。
② 本件の事情からは、「バルコニー付スタンダード」中に本件船室が含まれていることが,一般平均的な消費者が旅行契約の締結について合理的な意思形成を行う上で通常認識することが必要とされる重要なものであるとはいえないから,「重要事項」に当たるとはいえないし,その他,信義則等の一般原則に照らしても,本件契約の締結に際し,被告が原告ら主張のような説明義務を負っていたとは認められない。

◆ H24.02.01東京地裁判決

2013年6月21日 公開

平成23年(ワ)第948号保険金請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 篠田賢治

【事案の概要】
 原告株式会社の代表取締役であったCを被保険者とする保険契約を被告との間で締結していた原告が、Cの死亡により、死亡保険金の支払を求めたところ、被告が、本件契約は、保険料未払のため本件約款の無催告失効条項により失効した後、原告の申込みにより復活したものであり、復活後1年以内のCの自殺は保険金支払免責事由に当たる旨主張したのに対し、さらに原告が、本件失効条項は、継続的契約の本質及び消費者契約法の精神に鑑み、信義則違反及び公序良俗違反により無効であるなどとして争った事案。

【判断の内容】
 以下の理由から、消費者契約法の適用、類推適用を否定した。
① 本件保険契約は平成13年4月1日より前に締結されているから、消費者契約法の適用はない。
② 原告は法人であり、2条1項に規定する「消費者」にあたらないから、消費者契約法の適用はない。
③ 原告と被告との間に情報及び交渉力に格差があることは十分にうかがわれるが、原告の組織の実態等からも類推適用することはできない。
④ 仮に、本件保険契約につき消費者契約法が類推適用されるとしても、10条の類推適用の可否の問題となるが、本件失効条項は,保険契約者の保護の観点、保険契約者のモラル・ハザードを防止する必要の点から、合理性があり、保険契約者に有利な内容も含まれており、これらの事情からすると,原告と被告との間に情報の質及び量並びに交渉力の格差があるとしても、消費者の利益を一方的に害するものとはいえない。

◆ H24.02.16東京高裁判決

2013年6月19日 公開

平成23年(ネ)第5197号保険金請求控訴事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 園尾隆司 櫻井佐英 吉田尚弘

【事案の概要】
 被保険者が自殺したことによる保険金請求。無催告失効特約が10条違反かが争われた。

【判断の内容】
 本件無催告執行特約は、その要件として,保険料支払期限後1か月の猶予期間を設け,その間になお支払がない場合に失効するものとしていること,保険料の払込みがないまま猶予期間を経過しても,保険契約者からあらかじめ反対の申出がなく,かつ,猶予期間満了の日の解約返戻金が未払込みの保険料相当額を超えているときは,猶予期間満了の日に積立金から保険料が払い込まれたものとして取り扱うものとされている。また,保険契約が失効した日から3年以内であれば,保険契約者は,保険者の承諾を得て,失効期間に対応する保険料を払い込むことにより,保険契約を復活させることができる措置が用意されており,保険料の不払が生じたときは,その旨及び猶予期間内に保険料の支払がなければ一定の日に保険契約が失効する旨の葉書を保険契約者に送付することとされている。
 上記の無催告失効条項は,上記の関連条項全体の中で考察すると,保険契約に係る大量の事務を合理的に処理することを目的として,保険者と保険契約者の利害得失を考慮して定められたものであると認められ,これが消費者である保険契約者に一方的に不利益であるということはできないから,この条項について消費者契約法10条に規定する無効事由があるものということはできない。

◆ H24.03.27東京地裁判決

2013年6月19日 公開

平成22年(ワ)第38195号不当利得返還請求事件
ウエストロー・ジャパン、国セン発表情報(2013年11月21日公表)
裁判官 杉本宏之

【事案の概要】
 原告が被告から,不動産投資と勧められて2件の不動産を購入したが,その後,本件不動産の価格が下落していることが判明したこと,被告から重要事項について不実の事実を告げられ,かつ,断定的判断の提供をされたなどを主張し,4条1項2項等による本件不動産の売買契約の取消しを求めた事案。

【判断の内容】
 本件契約締結の際,重要事項である物件の客観的な市場価格を提示していないこと,家賃収入が30年以上に亘り一定であるなど非現実的なシュミレーションを提示し,原告に月々の返済が小遣い程度で賄えると誤信させたこと及びその他原告が物件についての不動産投資をするに当たっての不利益な事情を十分説明していなかったことを認定し、不利益事実の不告知により契約を締結したものとして、4条2項による取消を認めた。

◆ H24.04.17東京地裁判決

2013年6月19日 公開

平成22年(ワ)第25620号手付金返還等請求事件
ウエストロー・ジャパン
裁判官 阿閉正則

【事案の概要】
 マンションの居室の売買契約(売主は宅建業者)後、エレベーターの設置工事で死亡事故が生じたことから、買主が債務不履行解除、瑕疵担保責任による解除、事情変更による解除を主張するとともに、手付金の返還を請求した事案。手付金相当額を違約金として支払うものとする条項が9条1号に違反するかが争われた。

【判断の内容】
 売主が宅建業者であるところ、宅建業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約における契約の解除に伴う違約金の額については、宅建業法38条に別段の定めがあり、この規定が消費者契約法9条1号に優先して適用される(11条2項)として、本件違約金条項は9条1号に違反し無効とはいえないとした。

◆ H24.05.15東京地裁判決

2013年6月18日 公開

平成23年(ワ)第616号損害賠償請求事件
ウエストロー・ジャパン、国セン発表情報(2013年11月21日公表)
裁判官 始関正光

【事案の概要】
 土地売買契約の解除にともなう違約金請求。契約の締結に際し原告に不実告知があったとして、売買契約の取消が争われた。

【判断の内容】
 見積書に記載された試算は、本来の意味における評価額の算定をしたものではなく、原告の見積額として提案する額が被告にとって本件各土地を保有し続けて地代を収受するよりもはるかに有利であると見せかけるために記載されたものと認定し、本件各土地の対価という重要事項について事実と異なることを告げ、被告をして、本件各土地を原告に1450万円で売却する方が、これらを保有し続けて地代を収受するよりも有利であると誤信させたものであるとして、4条1項1号による取消を認め、違約金請求を棄却した。



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