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◆ H23.07.28東京地裁判決

判決年月日: 2011年7月28日
2012年12月1日 公開

平成22年(ワ)第47503号不当利得返還請求事件
判例タイムズ1374号163頁、現代消費者法19号83頁、国セン発表情報(2012年11月1日公表)
裁判官 木納敏和

【事案の概要】
 原告は、被告に対し、往復航空券及び3日分の宿泊先の手配を依頼し、手配旅行契約(本件契約)を締結した。本件契約の約款においては、「旅行者が手配旅行契約を解除した場合には、取消料、違約金その他の運送・宿泊機関等に関する費用を負担するほか、被告に対し所定の取消手数料金及び被告が得るはずであった取消料金を支払わなければならない」と定められていた。被告の担当者は原告に対し、本件契約を締結する際に、原告が予約手配を申し込んだ航空券について、発券後の取消し手続料金が代金の100%となることを説明し、原告に対し、この説明内容が記載されたパンフレットを交付した。原告は、旅行代金を支払い後、本件契約を解除する旨の意思表示をした。原告は、本件約款が公序良俗に反して無効であり、仮にそうでないとしても法9条1号により「平均的な損害」を超える部分について無効であると主張し、本件契約に基づき支払った金員からすでに返還を受けた金員を控除した分の返還を請求した。

【判断の内容】
 本件約款は、標準旅行業約款に基づくものであることから、公序良俗に反しない。
 本件約款は、①既に旅行者が受けた旅行サービスの対価、②取消料、違約金その他の運送・宿泊機関等に関する費用の負担、③旅行業者に対し、所定の取消手続料金等を定めているものであって、その内容に照らせば、「平均的な損害」の内容を一般的に定めたものと解される。そして、原告の自己都合による解除で生じた航空会社やホテルに対して支払うべき取消料・違約料に相当する額を、原告のために手配を行ったに過ぎない被告が負担しなければならない理由はないのであるから、これらの取消料・違約料相当額は、法9条1号の「平均的な損害」の範囲内のものとして、被告には返還義務が生じないと解するのが相当である、とした。



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