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◆ H20.11.27東京高裁判決

判決年月日: 2008年11月27日
2010年9月28日 公開

平成20年(ネ)第884号損害賠償請求控訴事件
LLI,国民生活センターHP消費者問題の判例集
裁判官 渡邉等,高世三郎,山口信恭

【事案の概要】
キャッチセールスによって展示会場に誘導され,高額な絵画を購入させられたことにつき,販売会社らに損害賠償を求めた事案。不法行為の理由として,特商法違反,消費者契約法違反(退去妨害)が争われた。

【判断の内容】
次の理由から,売買代金から絵画の実質的価値を差し引いた差額,弁護士費用について損害賠償請求を認めた。
① 1条,4条3項2号の趣旨から,消費者は,事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し,当該事業者が同法4条3項2号所定の行為をしたことに より困惑し,それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をすることがないように保護されているのであって,消費者のこのような立場は法律 上保護に値する法的利益というべきである。
② 特商法3条もしくは6条1項違反行為,又は消費者契約法4条3項2号に該当する行為をした場合において,①これらの違反行為等がたまたま当該勧誘にお いて行われたものか,あるいは当該事業者において繰り返し違反行為等が行われているか,②違反行為等が単一であるか,あるいは複数の違反行為等が組み合わ されて勧誘が行われているか,③違反行為等の違反の程度が軽微であるか,あるいは重大であるか,④勧誘を受けた消費者が販売される商品を購入するか否かを 決めるために必要な知識をあらかじめ有していたか,否か,⑤勧誘を受けた消費者が販売される商品を購入する意思をあらかじめ有していたか,否か,⑥違反行 為等により勧誘の相手方の置かれた状況(違反行為等によって生じた認識や心身の状況を含む。),⑦販売された商品の価値(市場価値等の客観的価値や主観的 価値)と販売価格との合致の有無,あるいは乖離の程度,⑧特定商取引に関する法律9条1項所定の申込みの撤回等(いわゆるクーリングオフ)が行われ,又は 消費者契約法4条3項所定の意思表示の取消しが行われた場合の事業者の対応等を総合考慮し,違反行為等を要素とする一連の販売行為を全体としてみて特定商 取引に関する法律及び消費者契約法が実現し保護しようとする法秩序に実質的に反するものと評価すべきときは,当該販売行為は社会生活上許容することができ ないものであり,当該販売行為により消費者の法律上保護される利益を侵害したときは,販売業者等は,不法行為責任に基づき,消費者に対し,これによって生 じた損害を賠償すべき義務を負うというべきである。
③ 本件では,販売目的隠匿、重要事項の不実告知、退去妨害など、特定商取引法および消費者契約法に反する行為が多数あったとし、これらは会社ぐるみで反 復継続して行われているものであるとして,版画制作会社と販売会社とに不法行為による損害賠償を、両社の取締役には取締役としての第三者責任を認めた。



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